カメラマン
カメラマン(英: Cameraman)は広義には写真・映画・テレビ・ホームビデオなど様々なメディアにおいてプロ・アマ問わず撮影を行う人物。ビデオグラファー(英: Videographer)とも呼ばれる。狭義には前述のメディア等において撮影領域を専門とし職業としている人物。映画撮影においてのみカメラを操る役職はシネマトグラファー(英: Cinematographer)という。
名称
英語・日本語
日本語で定着している「カメラマン」の日本語訳は「撮影技師」という固い語彙となってしまうが、これはあくまで直訳でありCamera Manは英語圏で使用される最も一般的な「カメラを持つ人物」を表す名詞である。
通常、写真家は"Photographer"(フォトグラファー)が、テレビカメラマンは"Camera Crew"(カメラクルー)が、映画は"Cinematographer"(シネマトグラファー)が一般的に呼ばれる名称であり、最も広い意味を持つのはCamera Operator(カメラオペレーター)であるがこれら全ての名称は基本的にプロに対して使われる語彙であり、ホームビデオで子供を撮影している父親などアマチュアには使用されない。
アマチュアの場合は「Camera○○○」となる場合が普通で男性ならCamera Man、女性であればCamera Lady、中性的な表現であればCamera Person、など決まった名詞は無い。ただし写真の場合はプロ・アマ問わずフォトグラファーと呼ぶのが普通である。
俗称
- 日本ではカメラマンは女性であってもカメラマンと呼ばれる。またテレビの出演者等は「カメラさん」や「1カメ(第1カメラ)さん」などと呼ぶことが多い。
- アイドル撮影会などのイベントに集まる素人カメラマンをカメコ(カメラ小僧)と呼ぶことがある。
- 映画のカメラマンは伝統的にキャメラマンと呼称することもある。
職業カメラマンの仕事
写真
- メディアカメラマン:雑誌・新聞などの画像素材の制作及び収集。写真スタジオに入り完璧な環境でグラビア撮影を行うこともあれば週刊誌のパパラッチのように極めて悪い環境下で行う場合もある。報道、スポーツ、芸能人と様々なものを被写体とする。報道写真撮影は記者の同行が伴う。有名な写真家は篠山紀信など。
- 学校カメラマン:様々な行事に同行し記念写真の撮影を請け負う。主たる現場は入学式・卒業式(卒業アルバム)・修学旅行・創立記念行事など。
- 写真スタジオや写真館の経営:経営方針によっては時代と共に廃れている事業であるが七五三や成人式・結婚式などの記念撮影を請け負う。
- ドキュメンタリーカメラマン:戦争や貧困国、各種被災地に赴き、実情をカメラに収め、その記録もしくは作品を新聞社や雑誌社に販売したり、個展を開催する。ピューリッツァー賞を受賞するカメラマンは概ねこの職種であることが多い。有名な写真家はロバート・キャパなど。
- 戦場カメラマン:戦争の戦場などの現場を取材して真実と現状と現実と悲惨さを教えて撮るカメラマン。有名な写真家はロバート・キャパ・橋田信介・渡部陽一など。
- 芸術家としてのカメラマン:風景から人物、無機質なオブジェに至るまで「光の芸術」(写真は光を使用したアートメディアであるから)を制作し個展の開催および作品の販売を行う。有名な写真家は木村伊兵衛など。
テレビ・広告など
- ディレクターやプロデューサーなどの演出畑の役職とは一線を画し、技術系職種に分類される。当然、現場の指揮権を握る演出家陣がフレーミングを支持する(ドラマ撮影やCM撮影にて顕著)が演出家に画の構成・色彩などを助言し適切な補正を行う。カメラマンを中心に照明・音声などが総合的に動き高度な技術的アプローチによって現場の環境を作りだす。
映画
- 一人の映画監督の絶対的な指揮の元で行われる映画撮影においてカメラマン(この場合撮影監督)は画の構成において非常に重要な役職で、映画監督の右腕とも言われる。監督が頭の中で描くイメージを察知し、照明・色合いやアングル、ワーキング等の助言を行い、また監督の指示を受けさらなる補正を行う。フィルムを使用する映画撮影においては非常に高度でテクニカルな撮影技術及び経験が求められる為、適切なフィルムやレンズの選択で被写界深度やF値を求め監督が求める映像に近づける必要がある。映画監督スタンリー・キューブリックとその右腕撮影監督ジョン・オルコットのタッグは有名でオルコットの高度なテクニックを駆使しキューブリックは映画「バリー・リンドン」において「ろうそくの光のみで撮影」という技術革新をもたらした(通常フィルムはビデオに比べ暗所の撮影が困難)。
その他
- ビデオクリエーターなど。
備考
写真家(しゃしんか、英: photographer)とは、主に写真を撮影もしくは製作する事を生活の中心にしている人。カメラマンと区別して写真家と呼ぶ場合、特に芸術的な写真を撮影し発表する人(芸術写真家)を指す場合がある。
概説[編集]
新聞などの報道写真を撮影する人(彼らはフォトジャーナリストといわれる)、風景を専門に撮っている人や人物だけを専門に撮っている人、商品撮影(ブツ撮り)専門の人などもいる。ジャンルにより、戦争写真家、動物写真家などとも呼ばれる。使用しているカメラも様々で、白黒のみの人やカラーでも少し変化を加えていたり、インスタントカメラを使ったり、コンピュータグラフィックス(CG)で加工することを前提とする場合もある。報道写真など急を要するケースではデジタルカメラで撮影したデータを、すぐインターネット経由で送るということも行われている。
関連語
カメラマンと写真家(フォトグラファー)の違い
報道写真家、広告写真家、ファッション写真家といった、クライアントである企業から仕事を受けて写真撮影をするタイプの職業写真家を特にカメラマンと呼ぶ場合がある。
しかし、報道カメラマン、芸能カメラマン、アマチュアカメラマンなど、すべての写真家をカメラマンと呼ぶ場合もあり、一様ではない。英語では、芸術性の如何やプロアマを問わず、写真の撮影者をフォトグラファー(英: photographer)と呼び、同様にビデオカメラの撮影者をカメラマン(英: cameraman)と呼ぶ。昨今ではフォトグラファーに対し動画撮影者の事をビデオグラファー(英: videographer)と呼ぶ場合がある。
町の写真館
写真を撮ることで生計を立てていても、町の営業写真館(フォトスタジオ)を経営して写真撮影をしている人のことは「写真家」と呼ぶことに違和感を覚え、フリーの写真家のみ、もしくは広告業界や出版・放送関連業界の企業に属している者を加えて写真家と呼ぶ傾向がある。その理由についてはいくつか考えられる。
- 「町の写真屋」に対する蔑視が原因という説(被写体から言われた通り記念写真やお見合い写真を撮っている人は、芸術家たる写真家の名に値しない、そのような作品には芸術性や報道性がなく撮影者の主体性がない、というような蔑視。映画の看板を描く「看板屋」はあくまでも看板屋であって画家ではない、というような蔑視と同じタイプのもの)
- 逆に「町の写真屋」からアマチュアに対する蔑視が原因という説(もともと「町の写真屋」は、明治以降写真師と呼ばれて尊敬を受けており、「写真家」という呼び方は写真師がアマチュアを蔑視した言い方で、それゆえ写真師の方が蔑称である写真家と呼ばれることを拒否していた。ところが写真師という言葉がなくなり、「写真家」という呼び方がプロまで飲み込んでしまったという説)