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災害に強い安全な国土づくり・危機管理に備えた体制の充実強化(国土交通白書 2013)

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災害に強い安全な国土づくり・危機管理に備えた体制の充実強化

(1)気候変動への対応

 今後20年から30年の間に実施する気候そのものの変化と変動性を緩和させる緩和策の規模にかかわらず気温が上昇し、大雨の頻度の増加、台風の強度の増大、海面水位の上昇、降雨の変動幅の拡大等が予測されており、これらに伴う洪水や土砂災害、高潮災害、渇水等の被害を回避・低減させる適応策が必要である。
 適応策の実施に当たっては、関係する主体が連携して、長期的視点に立った予防的な施設の整備に加え、避難、危機管理等を中心とした取組みを進め、持続可能で強靭な社会を目指していく。

(2)水害対策

 我が国の大都市の多くは洪水時の河川水位より低い低平地に位置しており、洪水はん濫に対する潜在的な危険性が極めて高い。これまで、洪水を安全に流下させるための河道の拡幅、築堤、放水路の整備や、洪水を一時的に貯留するダム、遊水地等の治水対策を進めてきたことにより、治水安全度は着実に向上してきている。しかしながら、平成24年7月の九州の豪雨災害により矢部川の直轄管理区間で堤防が決壊するなど、大きな被害があったほか、各地で水害・土砂災害が発生し、新たな課題も明らかになっている。
 引き続き、大規模災害についても的確に対応するため、東日本大震災から得られた教訓である「災害に上限はない」こと、「人命が第一」であることの重要性を再認識し、ハード・ソフト施策を適切に組み合わせた防災・減災対策をより一層推進する。

 
図表II-7-2-1 平成14年~23年 水害・土砂災害の発生件数
図表II-7-2-1 平成14年〜23年 水害・土砂災害の発生件数
 
 
 1)予防的な治水対策
 大規模な水害が発生すると、人的、経済的被害が発生するなど、社会経済活動に大きな影響を与え、その復旧・復興には、多大な時間と費用を要することから、それを未然に防止する予防的治水対策が重要である。そのため、築堤、河道掘削、ダム、放水路等の治水施設の整備を計画的に実施している。また、既存ダムの再開発や複数ダムにおける容量再編等のダム再生技術を活用した既存施設の有効活用にも取り組んでいる。さらに、既設の堤防については、洪水時における浸透破壊や侵食に対して安全性が不十分なものについて、強化対策を推進している。

 
図表II-7-2-2 治水安全度等の国際比較
図表II-7-2-2 治水安全度等の国際比較
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5)地域防災力向上に資する土砂災害対策
 土砂災害により社会・経済的に壊滅的な被害が生じやすい中山間地域において、各集落における警戒避難体制の強化や、人命保全上、重要な施設・防災基幹集落の保全を推進している。

 
図表II-7-2-5 全国の土砂災害警戒区域等の指定状況
図表II-7-2-5 全国の土砂災害警戒区域等の指定状況
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8)土砂災害警戒情報の発表
 大雨による土砂災害発生の危険度が高まった時に、市町村長が避難勧告等を発令する際の判断や住民の自主避難の参考となるよう、土砂災害警戒情報を都道府県と気象庁が共同で発表し、都道府県消防防災部局等を通じて市町村等に提供している。

 
図表II-7-2-6 土砂災害警戒情報
図表II-7-2-6 土砂災害警戒情報
 
 
 図表II-7-2-7 「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された47火山における 火山ハザードマップ、リアルタイム火山砂防ハザードマップ、噴火警戒レベルの整備状況
図表II-7-2-7 「火山防災のために監視・観測体制の充実等が必要な火山」として火山噴火予知連絡会によって選定された47火山における 火山ハザードマップ、リアルタイム火山砂防ハザードマップ、噴火警戒レベルの整備状況
 
 
 
5)国土地理院における取組み
(ア)火山活動観測・監視体制の強化
 全国の活動的な火山において、電子基準点(GNSS注5連続観測施設)、自動測距測角装置等の火山変動測量やGNSS火山変動リモート観測装置(REGMOS)等による機動観測を実施し、地殻の三次元的な連続監視を行っている。さらに、他機関のGNSS観測データを合わせた統合解析を実施し、火山周辺の地殻のより詳細な監視を行っている。24年4月に大きな隆起を観測した硫黄島においても火山活動の監視を行っている。

 
図表II-7-2-8 GNSS連続観測がとらえた日本列島の動き
図表II-7-2-8 GNSS連続観測がとらえた日本列島の動き
 
 
図表II-7-2-9 密集市街地の整備イメージ
図表II-7-2-9 密集市街地の整備イメージ

4)密集市街地の緊急整備
 防災・居住環境上の課題を抱えている密集市街地の早急な整備改善は喫緊の課題である。住生活基本計画(全国計画)において、地震時等に著しく危険な密集市街地の面積を平成32年度までにおおむね解消することとしている。
 この実現に向け、幹線道路沿道建築物の不燃化による延焼遮断機能と避難路機能が一体となった都市の骨格防災軸(防災環境軸)や避難地となる防災公園の整備、防災街区整備事業、住宅市街地総合整備事業等による老朽建築物の除却と合わせた耐火建築物等への共同建替え、避難や消防活動の向上を図る狭あい道路の拡幅等のきめ細かな対策等による密集市街地の防災性の向上と居住環境の整備を推進している。
 
 
 ハザードマップ等の整備
 災害発生時に住民が適切な避難行動をとれるよう、避難場所、避難経路等を住民にあらかじめ周知すべく市町村によるハザードマップの作成及び住民への配布を促進するとともに、全国の各種ハザードマップを検索閲覧できるインターネットポータルサイト注10を開設している。

 
図表II-7-2-10 ハザードマップの整備状況
図表II-7-2-10 ハザードマップの整備状況
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図表II-7-2-11 津波・高潮防災ステーションのイメージ図
図表II-7-2-11 津波・高潮防災ステーションのイメージ図
 
 
 
 

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