ホストクラブの脱税に協力した現役国税調査官とOBを逮捕
大阪地検特捜部は8月28日、ホストクラブ運営会社の脱税が発覚しないよう、税務調査で虚偽の内容を説明したとして、法人税法違反(虚偽答弁)の疑いで、大阪国税局西税務署の上席国税調査官の男(43=大阪府門真市)を逮捕した。また、国税OBの税理士の男(61=兵庫県西宮市)=法人税法違反罪などで起訴=を再逮捕した。
2人は93年から2年間、同じ税務署で勤務していた元同僚で、OBの男はホストクラブ運営会社「M」の顧問税理士。調査官の男は先輩であるOBの男から依頼され、国税局が将来の税務調査を見据えて作成した運営会社の調査資料を漏えいした疑いがある。
2人の逮捕容疑は、西署管内にあるホストクラブ運営会社の脱税を隠そうと共謀。11年7月、同社事務所で税務調査をしていた国税調査官に対し、同社の代表者に売上金を除外した金額を実際より少なく答弁させたとしている。調査官の男も、この場に同席していたという。
特捜部は、西税務署など関係先を家宅捜索。癒着していたとみられる2人の間に、金品のやりとりがなかったかについても捜査する。OBの男については、同社の代表者らと共謀し、11年9月期までの2年間で、約9200万円の所得を隠し、同社の法人税約2400万円を免れた法人税法違反(脱税)容疑でも逮捕された。
OBの男は98年に調査先企業に税理士を紹介したとして、国税局を懲戒免職になり、税理士となっていたが、調査官の男はその後もOBの男の事務所に出入りしていたという。
大阪国税局は28日夜、職員の逮捕を受けて記者会見。山崎浩二総務部長は「職員の逮捕は税務行政に対する信頼を損ない、申し訳ございませんでした」と謝罪した。
同局によると、逮捕された調査官の男は90年採用。大阪府内や京都府の税務署で法人税の調査を担当し、10年7月から現在の西税務署に勤務していた。
また、その後の捜査でOBの男が調査官の男を飲食接待していた疑惑が浮上。他の現職の税務署員やOBにも、接待していた可能性もある。
2人は93年から2年間、同じ税務署で勤務していた元同僚で、OBの男はホストクラブ運営会社「M」の顧問税理士。調査官の男は先輩であるOBの男から依頼され、国税局が将来の税務調査を見据えて作成した運営会社の調査資料を漏えいした疑いがある。
2人の逮捕容疑は、西署管内にあるホストクラブ運営会社の脱税を隠そうと共謀。11年7月、同社事務所で税務調査をしていた国税調査官に対し、同社の代表者に売上金を除外した金額を実際より少なく答弁させたとしている。調査官の男も、この場に同席していたという。
特捜部は、西税務署など関係先を家宅捜索。癒着していたとみられる2人の間に、金品のやりとりがなかったかについても捜査する。OBの男については、同社の代表者らと共謀し、11年9月期までの2年間で、約9200万円の所得を隠し、同社の法人税約2400万円を免れた法人税法違反(脱税)容疑でも逮捕された。
OBの男は98年に調査先企業に税理士を紹介したとして、国税局を懲戒免職になり、税理士となっていたが、調査官の男はその後もOBの男の事務所に出入りしていたという。
大阪国税局は28日夜、職員の逮捕を受けて記者会見。山崎浩二総務部長は「職員の逮捕は税務行政に対する信頼を損ない、申し訳ございませんでした」と謝罪した。
同局によると、逮捕された調査官の男は90年採用。大阪府内や京都府の税務署で法人税の調査を担当し、10年7月から現在の西税務署に勤務していた。
また、その後の捜査でOBの男が調査官の男を飲食接待していた疑惑が浮上。他の現職の税務署員やOBにも、接待していた可能性もある。
国税は何でも知っている
「すごいワルだが、仕事はできる—」
それが細名高司(61歳)の、国税調査官時代の評判だった。
8月28日、大阪国税局の上席国税調査官・平良辰夫が逮捕された。現在の容疑は脱税に協力した法人税法違反だが、捜査する大阪地検特捜部の狙いは別のところにある。それは、別件ですでに逮捕、起訴されていた国税OBの細名と現職の平良の「癒着」である。
全国紙社会部記者が解説する。
「細名は今年6月に法人税法と所得税法違反の容疑で逮捕、起訴されました。顧問先の法人7社と1個人事業主に対し、計20回にわたって所得を低く申告させ、法人税と所得税約8600万円を不正に免れさせていたんです。それに加え、'09~'11年の間に、実質的な経営者を務める税理士法人『ナイスアシスト』の売り上げを仮装し、法人税約4000万円を脱税していた」
平良が細名に国税の内部情報を横流ししていたことは、その一連の捜査の過程で発覚した。
「細名の顧問先の一つである大阪・ミナミのホストクラブの税務調査情報をまとめた内部資料が、家宅捜索をした細名の関係先から見つかったんです。そこから、細名の現職時代に東大阪税務署で先輩・後輩の間柄にあった平良の名前が上がり、逮捕へとつながりました」(前出の記者)
「マルサ(国税局査察部)の情報は取られへんけど、リョウチョウなら取れる」
細名は以前から、顧問先の企業経営者にこう吹聴していたという。今回受け取っていたのは、その言葉通り、国税局資料調査課、通称「リョウチョウ(料調)」の資料だったと見られる。
リョウチョウは、査察事案とまではいかないが、脱税の疑いが強いものに調査を行う、マルサへの登竜門とされる部署だ。
では細名が入手したリョウチョウの資料とは何か。かつて、細名と机を並べて仕事をしていた、ある大阪国税OBが言う。
元国税調査官再逮捕:複数風俗店資料も流出 脱税に悪用か
毎日新聞 2013年09月20日 07時45分
大阪国税局の調査官が脱税に関与したとされる事件で、国税局OB税理士の関係先から、複数の風俗店に関する国税内部の資料が見つかったことが、捜査関係者への取材で分かった。国家公務員法(守秘義務)違反容疑で再逮捕された西税務署の元上席国税調査官、平良(たいら)辰夫容疑者(43)=起訴休職中=らが流出させた疑いがあり、大阪地検特捜部が経緯を調べている。
再逮捕容疑は2011年7月22日ごろ、大阪市のホストクラブ運営会社「M」への税務調査を同月28日に実施することを、OB税理士の細名高司被告(61)に電話で漏えい。同年10月4日ごろには、国税局が調査を検討していた風俗店に関する国税内部の資料を細名被告に渡した、としている。特捜部は平良容疑者の認否を明らかにしていない。
捜査関係者によると、細名被告の関係先から見つかったのは、所得を申告していない大阪市内の風俗店経営会社や脱税の疑いがある別の風俗店経営者に関する調査資料など。細名被告が平良容疑者らから入手し、脱税や顧問先の開拓に悪用した疑いがあるという。
また、細名被告の携帯電話から、平良容疑者を含む複数の国税職員の連絡先が消去されていた。特捜部の捜査対象となったことを知り、現役職員との交友関係を隠そうとした可能性があるという。
大阪国税局の山本吉伸・国税広報広聴室長は「職員が再逮捕されたことは誠に遺憾。事態を厳粛に受け止め、税務行政に対する国民の信頼回復に努める」とコメントした。