除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のための省令の公布及びガイドライン制定
本日、東日本大震災で生じた放射性物質により汚染された土壌等を除染するための業務等に係る電離放射線障害防止規則(以下「除染電離則」といいます。)及びこれに基づく厚生労働大臣告示が公布され、平成24年1月1日から施行されることとなりました。
これに合わせ、除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドラインを策定しましたので、お知らせします。
このガイドラインは、除染電離則と相まって、除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のため、除染電離則に定める事項のほか、事業者が講ずることが望ましい事項を一体的に示すものです。
具体的には、放射性物質汚染対処特別措置法に基づき指定された、除染特別地域及び汚染状況重点調査地域内において、除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止対策として
1 被ばく線量管理の対象及び被ばく測定線量管理の方法
2 被ばく低減のための措置
3 汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置
4 労働者に対する教育
5 健康管理のための措置
6 安全衛生管理体制等
などについてまとめています。
1 被ばく線量管理の対象及び被ばく測定線量管理の方法
2 被ばく低減のための措置
3 汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置
4 労働者に対する教育
5 健康管理のための措置
6 安全衛生管理体制等
などについてまとめています。
このガイドラインは、除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止を目的としたものですが、住民、ボランティア等が活用できることも意図しています。
なお、本ガイドラインに加え、除染電離則に定める労働者に対する特別の教育のテキストを作成し、関係労働局(8県)において、事業者向け講習会(別添3参照)を実施しています。
なお、本ガイドラインに加え、除染電離則に定める労働者に対する特別の教育のテキストを作成し、関係労働局(8県)において、事業者向け講習会(別添3参照)を実施しています。
除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン概要
1 被ばく線量管理の対象及び被ばく測定線量管理の方法について
1 被ばく線量管理の対象及び被ばく測定線量管理の方法について
(1)放射性物質汚染対処特別措置法により指定された、除染特別地域及び汚染状況重点調査地域内における
(a)土壌等の除染等の業務、
(b)汚染廃棄物又は除去土壌(セシウムの濃度が10,000Bq/kgを超えるもの)の収集、運搬又は保管の業務(以下「除染等業務」という。)を行う事業者(以下「除染等事業者」という。)は、労働者の線量を次により測定する。
(2)除染等事業者以外の事業者は、作業場所が2.5μSv/h以下の場所であって、かつ、年間数十回(日)(年間1mSvを十分に下回る。)の範囲内で除染等業務に労働者を就かせる。自営業者、住民、ボランティアについても次の事項に留意の上、同様とすることが望ましい。
ア 住民、自営業者は、自らの住居、事業所、農地等の除染を実施するために2.5μSv/hを超える場所で除染等業務を行う場合は、作業による実効線量が1mSv/年を超えることのないよう、作業頻度を年間数十回(日)よりも少なくすること。
イ ボランティアを募集する場合、ICRPによる計画被ばく状況において放射線源が一般公衆に与える被ばくの限度が1mSv/年であることに留意すること。
(3)労働者の被ばく線量限度は、5年間で100mSv、かつ、1年間で50mSvとする。
(医学的に妊娠可能な女性は、3月間で5mSv、また、妊娠中の女性は、内部被ばくによる実効線量が1mSv、腹部表面に受ける等価線量が2mSvを上限とする。)
除染等事業者は、原子力発電所等で放射線業務に従事した労働者を除染等業務に就かせるときは、当該労働者が放射線業務で受けた実効線量と除染等業務で受けた実効線量の合計が上記の限度を超えないようにすること。なお、平成23年3月11日から平成23年12月31日に受けた線量は、平成24年1月1日に受けた線量と見なして合計すること。
(医学的に妊娠可能な女性は、3月間で5mSv、また、妊娠中の女性は、内部被ばくによる実効線量が1mSv、腹部表面に受ける等価線量が2mSvを上限とする。)
除染等事業者は、原子力発電所等で放射線業務に従事した労働者を除染等業務に就かせるときは、当該労働者が放射線業務で受けた実効線量と除染等業務で受けた実効線量の合計が上記の限度を超えないようにすること。なお、平成23年3月11日から平成23年12月31日に受けた線量は、平成24年1月1日に受けた線量と見なして合計すること。
(4)線量の測定結果は、記録し、30年間保存(5年間保存した後は、指定機関に引き渡し可)するほか、労働者に通知すること。
(5)除染等事業者は、除染等業務従事者が離職するとき又は事業を廃止しようとするときには、(4)の記録の写しを除染等業務従事者に交付すること。
(6)除染等事業者は、有期契約労働者又は派遣労働者を使用する場合には、放射線管理を適切に行うため、以下の事項に留意すること。
ア 3月未満の期間を定めた労働契約又は派遣契約による労働者を使用する場合には、 被ばく線量の算定は、1月ごとに行い、記録すること。
イ 契約期間の満了時には、当該契約期間中に受けた実効線量を合計して被ばく線量を算定して記録し、その記録の写しを当該除染等業務従事者に交付すること。
2 被ばく低減のための措置
(1)除染等業務を行うときは、あらかじめ、当該作業場所について事前調査を行うこと。
(2)除染等業務を行うときは、あらかじめ、作業計画を策定すること。
(3)除染等業務を行うときは、必要な能力を有すると認める者から当該作業を指揮する者を定め、作業計画に基づき作業を指揮させること。
(4)作業場所が2.5μSv/h超の区域で除染等業務を行うときは、あらかじめ、「作業届」を所轄の労働基準監督署長に提出すること。
(5)
①放射性物質を誤って吸入摂取し、又は経口摂取した場合、
②放射性物質により汚染された後、洗身等によっても汚染を40Bq/cm2以下にする事ができない場合等は、
速やかに医師の診察又は処置を受けさせること。
3 汚染拡大防止、内部被ばく防止のための措置
(1)除染等事業者は、汚染拡大防止のため、高濃度汚染土壌等の取扱い作業又は高濃度の粉じんが発生するおそれのある作業を行うときは、土壌等を湿潤化する等粉じんの発生を抑制する措置を講ずる。また、除去された土壌等を収集・運搬等する場合には専用の容器を用い、保管する場合には飛散・流出しないよう必要な措置等を講ずること。
(1)除染等事業者は、汚染拡大防止のため、高濃度汚染土壌等の取扱い作業又は高濃度の粉じんが発生するおそれのある作業を行うときは、土壌等を湿潤化する等粉じんの発生を抑制する措置を講ずる。また、除去された土壌等を収集・運搬等する場合には専用の容器を用い、保管する場合には飛散・流出しないよう必要な措置等を講ずること。
(2)除染等事業者は、作業者による汚染拡大防止のため、作業場所の近隣に汚染検査所を設け、労働者の退去時に汚染の状態を検査する。この時、身体汚染が認められた場合には洗身等を行い、また装具に汚染が認められた場合には取り外す。また、持ち出し物品の汚染が認められた場合には、原則として持ち出し不可とすること。
(3)除染等事業者は、身体・内部汚染の防止のため、以下の区分に応じて、有効な呼吸用保護具及び有効な保護衣類等を労働者に使用させること。