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Channel: 持続可能な開発(水・土・廃棄物)
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安全のためのリスク評価入門セミナー 「大震災後の社会を生きる知恵 ~化学物質から自然災害まで~」

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20140210
【公開セミナー開催のご案内】
主催:一般社団法人日本リスクマネジャネットワーク
共催:一般社団法人日本リスク研究学会
・ 日時:2014年3月1日(土) 13時~17時
・ 場所:大阪市北区中ノ島4-3-53 大阪大学中ノ島センター3階 講義室301
http://www.onc.osaka-u.ac.jp/others/map/index.php
・ 内容:安全のためのリスク評価入門セミナー
     「大震災後の社会を生きる知恵 ~化学物質から自然災害まで~」
講師  産業技術総合研究所安全科学研究部門 持続可能性ガバナンスグループ長 
        岸本充生先生

1)基礎編
 安全とは何かという基本的な話からリスク評価の枠組みまでを解説する。大気汚染物質、食品汚染物質、残留農薬、自然災害、機械・ロボットなどを想定し、それらの間での共通点や差異(特徴)についても触れる。
  
2)応用編
 閾値が無いあるいは科学的に不確実であるといった難問に対して、どのように考えることができるかについて述べる。リスク評価とリスク管理の関係、新規技術イノベーションと安全の関係などについて具体的なケースをもとに解説する。
・ 定員:70名(参加費1,000円)
・ 参加申し込み:セミナー参加を希望される方は、件名「3・1セミナー参加」として
氏名(ふりがな)、年齢、性別、所属団体、住所(会社又は自宅)、電話番号、E-mailを記載の上、日本リスクマネジャネットワーク(jrmn_master@jrmn.net)宛にE-mailでお申し込みください。
 
 
 
 

 

自己紹介

岸本充生 Atsuo-Kishimoto
 
 東日本大震災は、「安全」とは何かもう一度深くそして広い視点から考えさせるきっかけとなりました。安全とは「受け入れられないリスクがないこと」と解釈します。つまり2つの要素からなります。
 1つはリスクの大きさを推計すること、もう1つはどのレベルを「受け入れられない」とするか決めること、です。
 後者には社会の合意が不可欠です。そういう意味で、何をもって安全とみなすは、自然科学だけで決めることができません。
 私は、社会や個人が、安全や健康に関するリスクを合理的に減らすために役に立つ評価手法、管理手法、社会の仕組みについて、専門分野だとかはほとんど気にせず、必要に応じて何でも取り込みつつ、嗅覚を頼りに研究をしてきました。
 振り返ってみると、修士論文では 、交通事故とがん検診とアスベスト対策で「1人救うためにかけられた費用(CPLS)」を比較。
 博士論文では、環境健康安全(EHS)リスクに関して、米国の省庁が規制策定に費用便益分析を活用しているかどうか調査したり、自動車交通に起因する排気による健康影響が事故による被害よりも大きいことを定量的に示したり、公害裁判の判例文を費用便益分析の枠組みで再解釈する試みを示したり。
 その後の仕事は、化学物質のリスク評価の仕事、統計的生命価値(VSL)の推計、規制影響評価(RIA)の制度化、工業ナノ材料のリスク評価、新規技術のリスクガバナンスの研究。
 現在関わっている仕事は、ナノ材料の安全性を確認する手続きを産業技術にすること、新規技術のイノベーションの中に安全性評価を組み込むこと、化学物質か ら自然災害まで、多様な分野を共通のリスク評価手法で横串に刺すこと。最近気になることは、火山の破局噴火、新たなパンデミック、小惑星衝突。
 東日本大震災による津波被害は私たちが歴史の中を生きているんだという当たり前の事実を思い起こさせました。そういう広い視点を持っておきたいと強く思います。
 
 

持続可能性ガバナンスグループ

 持続可能で安全な社会に向かうために、行政部門、企業部門、一般市民それぞれが合理的な意思決定を行うことが可能となるような各種評価手法を開発し、それらが社会に実装されることを目標としています。
メンバー紹介

 グループの研究課題は、評価研究制度設計研究の2つに分けることができます。両者が合わさって初めて、合理的な意思決定とそれらの社会への実装が実現します。また評価研究は、評価の対象が新規技術であるものと、政策や規制であるものに分けられます。そのため、持続可能性ガバナンスグループが扱っているテーマは3つにまとめることができます。

 1つ目は新規技術の評価研究です。新しい技術が社会に導入される前の段階で、起こりうる様々な(悪)影響を予測する手法を開発することを目標としています。新規技術の中でも、特に工業ナノ材料に焦点を当てて、それらの安全性を事前に確保するために必要となる有害性評価手法およびリスク評価手法の開発を行っています。
 従来の化学物質リスク評価と違って、工業ナノ材料はその新規性、多様性、説明責任といった観点から、事業者による自主安全管理の重要性が増すとともに、経済開発協力機構(OECD)や国際標準化機構(ISO)における標準化の議論の重要性が増しています。そういった多面的な観点からのアプローチ、すなわちガバナンスの視点が必要不可欠になっています。

 2つ目は制度設計研究です。従来の工学的なアプローチや、法規制によるアプローチに加えて、人間や組織の持つインセンティブ(誘因)を効果的に利用することで、環境や安全を向上させるための仕組みの提案を行っています。環境問題については、主に、温室効果化ガスの排出抑制を扱っています。
 例えば、全上場企業を対象として株式保有に基づいた温室効果ガス排出責任量の割り当て評価を実施するとともに、環境に配慮した投資先選定指標の開発を行っています。安全問題については、主に、労働事故抑制を対象としています。例えば、事故報告書の精査、企業データを用いた統計分析、関連法令調査を通じてインセンティブを利用した事故抑制手法などを検討しています。

 3つ目は、政策や規制の評価研究です。環境や安全に関する政策や法規制による各種影響を事前に予測するための手法や制度化の研究を行っています。
 手法開発としては、環境規制の産業別影響評価モデルを開発し、温室効果ガス排出規制と各種産業影響緩和措置の実施に伴うステークホルダー間のトレードオフ構造を定量的に予測しています。また、公的意思決定において規制影響評価政策評価が現状よりももっと活用されるための制度を検討しています。

 持続可能性ガバナンスグループでは、各人が研究テーマや研究スタイルを確立し、狭くてもその分野の第一人者になることを目標としています。
 また、当グループは、社会科学出身のメンバーが自然科学的な研究に従事したり、自然科学出身のメンバーが社会科学的な研究に従事したり、学際性が強いという特徴を持っています。このため,当グループでしかできないような特徴ある成果を目指すだけでなく,様々なプロジェクト内外での橋渡し役も務めたいと考えています。
 
 

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