【『地球温暖化対策における
経済的手法を用いた施策に係る
競争政策上の課題について
~国内排出量取引制度における論点~
(中間報告)の概要』
/ポイント整理
/丸山幹夫氏
(公正取引委員会事務総局経済取引局調整課・課長補佐)
/100501 NBL】
【第7 排出量規制に伴う事業者等の行為のうち独占禁止法上問題となり得る行為】
【1】排出量規制に伴う事業者等の行為のうち独禁法上問題となり得る行為
【1-1】事業者等による共同行為
【1-1-1】排出量削減の実施に伴う共同行為
■
排出量規制の導入
|
①
●国
↓
個々の事業者、事業所に
★一定の排出枠を義務づけ
★一定の排出量削減義務を課す
↓
②
●事業者が共同して・・・
●事業者団体
|
上記①の義務を目安として
各事業者の商品、役務の供給量を決定すること
↓
★
供給量に係るカルテル・・・独禁法上問題となり得る
★
事業者が共同してor事業者団体が
国の規制がないにも拘わらず
排出枠にかかる義務の達成方法を制限する場合・・・独禁法上問題となり得る
【1-1-2】排出量削減に伴う費用負担の増加に対応するための共同行為
●事業者
|
必要な応じて
他社の排出枠、外部クレジットの購入・・・追加的なコストを継続的に負担
↓
事業者が共同して
商品、役務の価格を
一定額引き上げるといった行為・・・独禁法上問題となり得る
【1-1-3】排出量の削減に関する共同研究開発
■
事業者が共同で
排出量の削減につながる
革新的な生産技術等に冠する研究開発を行う場合
|
コスト削減、リスク分散等により
研究開発活動を活発で効率的なものとし、
技術革新を促進
・・・多くの場合、競争促進的な効果をもたらす
●
(他方)
共同研究開発・・・複数の事業者による行為
|
共同研究開発の実施に伴う取り決め
↓
★参加者の事業活動の不当な拘束
★技術市場、製品市場における公正な競争を阻害するおそれ
のある場合も考えられる
●
共同研究開発された技術が
大きな排出削減効果をもたらす革新的な技術である場合・・・
|
その技術を用いて排出削減を行わなければ
他の事業者の事業活動が困難となる場合
|
費用等合理的な条件による申し入れにもかかわらず、
その技術の実施許諾を拒絶するする行為
↓
例外的に
★不公正な取引方法(共同の取引拒絶等)
★私的独占
等の独占禁止法上の問題となることがある
【1-1-4】排出量の算定に関する基準等の策定
■カーボン・フットプリント制度
「1単位の商品・役務に係る排出量」の表示・・・
|
個々の商品・役務の特性に応じて
算定基準を定める必要あり
|
事業者団体が主体となって
排出量の算定基準等を定めることが想定される
|
事業者団体が
環境保全等の社会公共的な目的で
排出量の算定に関する自主的な基準・規約等を設定すること
↓
商品・役務の需要者の利益を不当に害するものではない
↓
構成事業者間において
不当に差別的ではなく、
その遵守を強制するものでない限り、
原則として
独禁法上問題とはならない。
●
(ただし)
排出量の算定方法によっては、
「算定による排出量」と「実際の排出量」との乖離が大きくなることも想定され
、
事業者間の競争に影響を与えるおそれも考えられる
↓
事業者団体が
基準・規約等を設定する際
|
関係する構成事業者からの意見聴取の十分な機会が設定されるべき
|
必要に応じ、
対象となる製品・役務の需要者、
知見のある第三者等との間で
意見聴取等が行われることが望ましい
【1-2】取引先等に関する行為
【1-2-1】外部クレジット制度の実施に関する行為
【1-2-1-1】
■
大規模事業者等
|
外部クレジット制度において
効率的に一定規模のクレジットを確保するため、
例えば、
系列の取引先、
納入事業者等を囲い込むかたちで
それらの事業を行うことも考えられる
|
この場合、
当該大規模事業者等が
自らと既存の取引先等との間でのみ同事業を実施することを条件として取引
|
これにより
当該大規模事業者等の競争者の取引の機会が減少し、
他の代替取引先を容易に見出すことができなくなるおそれがあるとき
↓
不公正な取引方法(拘束条件付取引)として
独禁法上問題となり得る
【1-2-1-2】
■外部クレジット制度による事業の実施
|
想定よりも排出量が削減できずに
クレジットの発生量が少なくなる場合等、
新たな費用発生、利益の減少が発生する可能性がある
|
優越的地位にある事業者が
取引先事業者に対して
「正常な商慣習に照らして不当に」
この新たな費用、利益の減少を負担させること
↓
不公正な取引方法
(優越的地位の濫用)として
独禁法上問題となり得る
【1-2-2】融資事業等に関する行為
■排出枠、外部クレジットに係る取引
|
金融機関も販売主体として参加
|
金融機関が
事業者に対して融資を行うにあたり、
自己、自己の子会社から排出枠、外部クレジットを購入することを要請
|
融資を受ける事業者に対し
これに従うことを事実上余儀なくさせること
↓
不公正な取引方法
(抱き合わせ販売等)として
独禁法上問題となり得る
●
特に価格が低下した排出枠、外部クレジット・・・
|
融資関係等の継続的な取引関係を背景として
優越的地位にある金融機関等が
融資先事業者に対して
不当にこれらの購入を強制すること
↓
不公正な取引方法
(優越的地位の濫用)として
独禁法上問題となり得る
経済的手法を用いた施策に係る
競争政策上の課題について
~国内排出量取引制度における論点~
(中間報告)の概要』
/ポイント整理
/丸山幹夫氏
(公正取引委員会事務総局経済取引局調整課・課長補佐)
/100501 NBL】
【第7 排出量規制に伴う事業者等の行為のうち独占禁止法上問題となり得る行為】
【1】排出量規制に伴う事業者等の行為のうち独禁法上問題となり得る行為
【1-1】事業者等による共同行為
【1-1-1】排出量削減の実施に伴う共同行為
■
排出量規制の導入
|
①
●国
↓
個々の事業者、事業所に
★一定の排出枠を義務づけ
★一定の排出量削減義務を課す
↓
②
●事業者が共同して・・・
●事業者団体
|
上記①の義務を目安として
各事業者の商品、役務の供給量を決定すること
↓
★
供給量に係るカルテル・・・独禁法上問題となり得る
★
事業者が共同してor事業者団体が
国の規制がないにも拘わらず
排出枠にかかる義務の達成方法を制限する場合・・・独禁法上問題となり得る
【1-1-2】排出量削減に伴う費用負担の増加に対応するための共同行為
●事業者
|
必要な応じて
他社の排出枠、外部クレジットの購入・・・追加的なコストを継続的に負担
↓
事業者が共同して
商品、役務の価格を
一定額引き上げるといった行為・・・独禁法上問題となり得る
【1-1-3】排出量の削減に関する共同研究開発
■
事業者が共同で
排出量の削減につながる
革新的な生産技術等に冠する研究開発を行う場合
|
コスト削減、リスク分散等により
研究開発活動を活発で効率的なものとし、
技術革新を促進
・・・多くの場合、競争促進的な効果をもたらす
●
(他方)
共同研究開発・・・複数の事業者による行為
|
共同研究開発の実施に伴う取り決め
↓
★参加者の事業活動の不当な拘束
★技術市場、製品市場における公正な競争を阻害するおそれ
のある場合も考えられる
●
共同研究開発された技術が
大きな排出削減効果をもたらす革新的な技術である場合・・・
|
その技術を用いて排出削減を行わなければ
他の事業者の事業活動が困難となる場合
|
費用等合理的な条件による申し入れにもかかわらず、
その技術の実施許諾を拒絶するする行為
↓
例外的に
★不公正な取引方法(共同の取引拒絶等)
★私的独占
等の独占禁止法上の問題となることがある
【1-1-4】排出量の算定に関する基準等の策定
■カーボン・フットプリント制度
「1単位の商品・役務に係る排出量」の表示・・・
|
個々の商品・役務の特性に応じて
算定基準を定める必要あり
|
事業者団体が主体となって
排出量の算定基準等を定めることが想定される
|
事業者団体が
環境保全等の社会公共的な目的で
排出量の算定に関する自主的な基準・規約等を設定すること
↓
商品・役務の需要者の利益を不当に害するものではない
↓
構成事業者間において
不当に差別的ではなく、
その遵守を強制するものでない限り、
原則として
独禁法上問題とはならない。
●
(ただし)
排出量の算定方法によっては、
「算定による排出量」と「実際の排出量」との乖離が大きくなることも想定され
、
事業者間の競争に影響を与えるおそれも考えられる
↓
事業者団体が
基準・規約等を設定する際
|
関係する構成事業者からの意見聴取の十分な機会が設定されるべき
|
必要に応じ、
対象となる製品・役務の需要者、
知見のある第三者等との間で
意見聴取等が行われることが望ましい
【1-2】取引先等に関する行為
【1-2-1】外部クレジット制度の実施に関する行為
【1-2-1-1】
■
大規模事業者等
|
外部クレジット制度において
効率的に一定規模のクレジットを確保するため、
例えば、
系列の取引先、
納入事業者等を囲い込むかたちで
それらの事業を行うことも考えられる
|
この場合、
当該大規模事業者等が
自らと既存の取引先等との間でのみ同事業を実施することを条件として取引
|
これにより
当該大規模事業者等の競争者の取引の機会が減少し、
他の代替取引先を容易に見出すことができなくなるおそれがあるとき
↓
不公正な取引方法(拘束条件付取引)として
独禁法上問題となり得る
【1-2-1-2】
■外部クレジット制度による事業の実施
|
想定よりも排出量が削減できずに
クレジットの発生量が少なくなる場合等、
新たな費用発生、利益の減少が発生する可能性がある
|
優越的地位にある事業者が
取引先事業者に対して
「正常な商慣習に照らして不当に」
この新たな費用、利益の減少を負担させること
↓
不公正な取引方法
(優越的地位の濫用)として
独禁法上問題となり得る
【1-2-2】融資事業等に関する行為
■排出枠、外部クレジットに係る取引
|
金融機関も販売主体として参加
|
金融機関が
事業者に対して融資を行うにあたり、
自己、自己の子会社から排出枠、外部クレジットを購入することを要請
|
融資を受ける事業者に対し
これに従うことを事実上余儀なくさせること
↓
不公正な取引方法
(抱き合わせ販売等)として
独禁法上問題となり得る
●
特に価格が低下した排出枠、外部クレジット・・・
|
融資関係等の継続的な取引関係を背景として
優越的地位にある金融機関等が
融資先事業者に対して
不当にこれらの購入を強制すること
↓
不公正な取引方法
(優越的地位の濫用)として
独禁法上問題となり得る