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復興の現実見据え細やかな支援を

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復興の現実見据え細やかな支援を

2014/12/3
 衆院選が公示され、14日の投票に向けて本格論戦が始まった。安倍政権になって2年の評価と日本の針路を問う選挙である。
 自民党の安倍晋三総裁(首相)と民主党の海江田万里代表は、福島県で選挙戦の第一声をあげた。東日本大震災から3年9カ月たつが、被災地の復興は道半ばだ。生活基盤や産業の再建をどう進めるか。必要なのは現実を見据えた、きめ細かな支援策だ。

住民帰還後の未来像を
 東京電力・福島第1原子力発電所事故で甚大な被害を受けた福島県の復興はとくに遅れている。原発に近い10市町村はなお避難地域に定められたままだ。県外への避難者も4万6千人にのぼる。
 福島第1原発では汚染水対策が手間取り、廃炉の工程表もまだ漠としている。除染は当初計画より大きく遅れ、汚染された土壌などを保管する中間貯蔵施設も大熊町と双葉町にようやく立地のメドが立った段階だ。
 各党とも選挙公約では、これらの課題への対応をひと通り盛ってはいる。だが「廃炉を着実に進める」「除染を加速する」など抽象的な文言が目立つ。とくに自民党の公約は、政府がすでに表明している施策を並べたものが多い。
 福島の復興を加速するため、具体的な政策提言を競うべきだ。今年に入り、田村市や川内村の一部で避難指示が解除され、住民が戻り始めた。彼らの声にしっかりと耳を傾け、これからの復興の取り組みに生かす必要がある。
 住民の本格的な帰還を実現するには、放射線による健康への不安を拭う体制づくりが不可欠だ。政府は当初掲げた「最終的に年間被曝(ひばく)線量を1ミリシーベルトに」との目標を見直し、住民の線量をチェックしながら除染を進めることにした。だがそれで安心して暮らせるのか、住民の懸念は強い。
 民主党は公約に「国の責任で、住民ごとの線量を長期にわたり一元的に管理できる仕組みを築く」とうたっている。ほかの党も具体策を示し、建設的な政策論争につなげてほしい。
 住民が将来に希望を抱けるように、地元による未来像づくりを国が後押しすることも大事だ。
 太陽光など再生可能エネルギーを活用したり、先端技術を使った植物工場を誘致したりして、産業再生をめざす地域がある。国としても、県外からの企業の進出を税制面で支援するなど、やるべきことはまだ多いはずだ。
 一方で、原発に近い大熊町や双葉町では、帰還をあきらめて別の地域で生活再建を考える住民が増えている。こうした住民の職探しを支援する職業訓練などの拡充も必要だろう。
 岩手県や宮城県などでも被災者の生活再建は途上にある。宮城県岩沼市など一部地域を除くと、避難者が戻る宅地造成が予定より遅れ避難生活が長期化している。
 復興庁によると、被災者が集団で移転する高台の造成事業や土地をかさ上げする事業が完了したのは、計画の3割にも満たない。政府は復興特区法を改正して自治体が用地を買い上げやすくしたが、まだ不十分だ。

長期避難の解消急げ
 被災者向けの災害公営住宅は、計画された約2万2千戸のうち完成したのが14%にとどまる。建設現場の人手不足や資材価格の上昇が、住宅整備の足かせになっている。一時ほどではないにしろ、復興事業の入札が不調になる場合が少なくない。
 最近の急速な円安の影響も心配だ。復興事業の資材が適正な価格で円滑に確保できるよう、政府は最大限に配慮すべきだろう。
 住宅再建が遅れれば仮設住宅での生活がさらに長引く。高齢の被災者は高血圧や心臓病など持病を抱えている人が多いだけに、医療や介護の人材確保も要る。
 避難生活の長期化とともに、もともと住んでいた地域に戻ることを断念する人が増え、市町村が高台の宅地造成の規模を縮小せざるを得ない事態も相次いでいる。被災者の事情に配慮し柔軟に支援策を再検討するしかないだろう。
 被災地には、突然の衆院選で復興がさらに遅れかねないと懸念する声がある。そうしたことにならないよう、候補者は被災地の実情を改めて見据え政策づくりに生かすべきだ。被災者の生活再建や地域の再生にいま何が必要か、しっかりと考えたい。

 

広島市が土砂災害の復興ビジョン素案

2014/12/3
 8月に広島市北部で発生した大規模土砂災害について、広島市は2日、今後の被災地の復興計画の骨格となる「復興まちづくりビジョン」の素案を公表した。同日開いた検討会議で議論した。被災した安佐南区、安佐北区の一部地域について、砂防ダムや避難用道路の整備などを10年間かけて進めることが柱。年内にも住民に説明を始め、2015年3月下旬までにまとめる。
 素案ではまず、被災前の街を災害に強い安全なまちに「よみがえらせる」(松井一実市長)ことに主眼をおいた。
 最初の5年間を「集中復興期間」とし、被災した家屋の再建や砂防ダムなど防災・減災のための基盤施設の緊急的な整備にあてる。再び災害が発生した場合に備えた避難道路も拡充する。
 その後の5年間は「継続復興期間」として路地の拡幅や農道の整備などを行う。必要な施設・インフラについては、県や国の事業と連動しながら建設を急ぐ。
 危険性の高い地域からの移転支援などの施策については、ビジョン案に盛り込むかどうかも含めて住民の意見をききながら検討を進める。
 
 
福島の雇用創出へ 食品加工工場建設 三菱商事復興支援財団
2014.12.3
 三菱商事復興支援財団が5000万円を出資した、しらかわ五葉倶楽部(福島県白河市)は2日、同市に食品加工工場「しらかわ・きずな農場」を建設したと発表した。
 併設する植物工場で栽培するホウレンソウや地元契約農家が生産するトマトなどを使い年間750万食の高齢者向けムース食品を生産する。地元病院や高齢者施設向けに販売し、付加価値を高める。
 風評被害を自ら払拭し、農家の自立や雇用創出を目指している。5年後に6億円の売り上げを目指し、現在の30人の陣容を事業拡大に合わせ100人に拡大する計画。給食センター事業への参入や敷地内に高齢者向け福祉施設も併設し働く環境も整備する。
 

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