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[転載]森林内の放射性物質の分布状況調査結果について(第二報)

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森林内の放射性物質の分布状況調査結果について(第二報)

 農林水産省は、東京電力福島第一原子力発電所の事故により生じた放射性物質による森林の汚染実態の調査を進めています。
 東京電力福島第一原子力発電所から距離が異なる3箇所(川内村、大玉村、只見町)において、森林内の土壌や落葉、樹木の葉や幹などの部位別に放射性セシウム濃度とその蓄積量を調べました。
 調査の結果、同じ調査地であっても、樹種が異なると森林内の土壌や部位別の放射性セシウム濃度が異なり、針葉樹林では落葉と葉の濃度が、落葉広葉樹林では落葉の濃度が高く、調査地毎の部位別の放射性物質の濃度を比較すると、同じ樹種でも空間線量率が高い地域であるほど、森林内の土壌や部位別の放射性物質の濃度が高いことがわかりました。

1.調査の概要

 東京電力福島第一原子力発電所の事故により、発電所周辺の大半を占める森林地域に大量の放射性物質が降下し、広範囲にわたり汚染されました。
 チェルノブイリ原子力発電所事故による森林への影響等については、これまで様々な調査が行われて知見も得られているところですが、我が国の森林と気候や地形、土壌、森林植生が大きく異なることから、今般の事故による森林の汚染の実態を的確に把握した上で、汚染された森林をどのように取り扱っていくべきか等の対策を検討する必要があります。
 
 このため、農林水産省では、独立行政法人森林総合研究所(以下「森林総研」という。)が中心となって、発電所から距離別に、福島県内の3箇所(川内村、大玉村、只見町)の国有林内で森林内に調査地を設定しました。
 具体的には、スギやアカマツ、コナラの3樹種の立木を伐倒し、部位別(葉、枝、樹皮、幹材)及び林内の落葉(落葉や落枝からなる堆積有機物層)と土壌の放射性物質濃度を調査するとともに、森林内全体の放射性物質の蓄積量を推定しました。
 
 なお、このうち、大玉村のスギ林の調査結果については、去る9月30日にお知らせしたところです。(平成23年9月30日付「森林内の放射性物質の分布状況及び分析結果について(中間とりまとめ)」)。

2.調査結果

 (1)同一調査地の樹種別の放射性セシウム濃度について
 大玉調査地における3樹種(スギ、アカマツ、コナラ)の土壌や葉、枝など部位別の放射性物質の濃度は、針葉樹林であるスギ林やアカマツ林では落葉と葉の濃度が高く、落葉広葉樹林(コナラ)では落葉の濃度が高い結果となりました。
 
(2)同一樹種(スギ林)の調査地別の放射性セシウム濃度について
 スギ林について、東京電力福島第一原子力発電所から距離が異なる3箇所で比較すると、森林内の土壌や部位別の放射性物質の濃度は空間線量率と概ね比例関係にあり、空間線量率が高い調査地ほどそれぞれの濃度が高い結果となりました。
 
(3)森林全体の放射性セシウム蓄積量等について
 土壌や葉、枝など部位別の放射性物質の濃度と、単位面積あたりのそれぞれの重量から、森林全体の放射性セシウムの蓄積量を計算したところ、もっと多かったのは発電所に最も近い川内調査地で1m2あたり約138万ベクレル、次いで大玉調査地で同8~12万ベクレル、最も少なかったのは発電所から最も遠い只見調査地で同約2万ベクレルという結果でした。
 
 また、森林内の分布割合を樹種別に見ると、スギ林では樹冠の葉や落葉層に多く分布し、落葉広葉樹林(コナラ)では地上の落葉層に多く、葉にはそれほど多く分布していないことがわかりました。また、アカマツ林はスギ林と落葉広葉樹林の中間的な分布割合を示していました
 
 以上の結果から、9月30日のプレスリリースでお知らせしたとおり、特に落葉広葉樹林においては、落葉の除去が効果的な森林の除染方法であることが改めて確認できました。

3.今後の予定

 樹冠の葉の落葉や落葉層の分解、樹木による吸収等によって、今後放射性物質が移行していくことが予想されます。農林水産省としても、引き続き森林総研や他の機関とも連携しながら、森林内の放射性物質の分布状況等についての詳細な把握や、森林内における挙動についての調査を進めていくこととしております
 
 
 
 
 
 
<参考>
平成23年9月30日付プレスリリース「森林内の放射性物質の分布状況及び分析結果について(中間とりまとめ)」
 
森林内の放射性物質の分布状況の概要について(別添1)
 
 森林総研では、現在、福島県内の3箇所(川内村、大玉村、只見町)の国有林で森林内の放射性物質の汚染実態の調査を進めているところです。具体的には、調査プロットを設定し、スギ等を伐倒して部位別(葉、枝、樹皮、辺材※1、心材※2 )及び林内の落葉(落葉や落枝からなる堆積有機物層)と土壌の放射性セシウム濃度を調査しています。
 
 このうち、大玉村の国有林のスギ林の調査結果について明らかとなりました。これによると、放射性セシウム濃度については、土壌をおおう落葉が一番高く、次いで葉の部分が高くなっています。
 また、その結果を用いて森林内の放射性セシウムの分布を計算すると、葉に38%、落葉に33%と多く分布していることがわかりました。
 
 この傾向は、平成23年9月14日に文部科学省が公表した「文部科学省による放射性物質の分布状況等に関する調査研究(森林内における放射性物質の移行調査)の結果について」※3と同様となっています。
 
 また、現時点においては、木材として利用される樹木の辺材・心材部分には放射性セシウムがほとんど含まれていないことがわかりました。
 
※1 丸太の周辺の色の薄い部分
※2 丸太の中心の色の濃い部分
※3 文部科学省の調査結果は、以下で御覧になれます。
 
<添付資料>(添付ファイルは別ウィンドウで開きます。)
 
 
 
 
放射性物質の分布状況を踏まえた住居等近隣の森林における除染のポイントについて(別添2)
 特に生活圏に位置する森林は、森林そのものが放射性物質の線源となります。追加被ばく線量がおおむね年間1から20ミリシーベルトの間の地域において、居住する方々の日常の被ばく線量を下げるためには、住居等近隣の森林の除染を行う必要があります。
このため、現時点で明らかになった森林内の放射性セシウムの分布状況から、住居等近隣の森林について、効果的・効率的な除染を行う上でのポイントは、以下のように考えられます。
 
(1)落葉等の堆積有機物の除去
スギ人工林などの常緑針葉樹林については、放射性物質の大量放出後約半年程度が経過している現状において、葉と堆積有機物の双方に多くの放射性セシウムが蓄積しており、常緑針葉樹の葉については、通常3~4年程度をかけて落葉することから、一度のみではなく、これらの期間にわたって継続的に落葉等の除去を行うことが適当と考えられます。落葉広葉樹林については、放射性物質の放出が集中した3月において新葉が展開していなかったことから、堆積有機物に多くの放射性物質が蓄積している傾向にあり、一回の除去作業による除染効果がより高いと見込まれます。
また、落葉等の除去は、今後様々な条件の森林で検証する必要がありますが、今回の森林内における放射性物質の分布状況から落葉等の除去効果をシミュレートし、実証試験により検証した結果から、林縁から20m程度の範囲を目安に行うことが効果的・効率的と考えられます。
なお、除去にあたっては、森林の保全や放射性物質の再拡散防止の観点から降雨等により除去後に露出した表土を流出させないことが必要ですので、一度に広範囲を除去するのではなく、様子を見ながら、徐々に面積を広げていくことが適当と考えられます。
 
(2)枝葉等の除去
立木の枝葉には、特にスギやヒノキ等の常緑針葉樹林においては、多くの放射性セシウムが付着している結果が明らかとなりましたので、落葉等の除去で十分な効果が得られない場合には、林縁部周辺の立木の枝葉等の除去を行うことも有効と考えられます。
 特に、住居等に接している林縁の部分の立木は一般的に着葉量が多く、比較的多くの放射性物質が付着していると考えられることから、現地の状況に応じ、出来るだけ高い位置まで枝葉を除去することが考えられます。ただし、その場合、立木の成長を著しく損なわないためには、樹冠の長さの半分程度までを目安に、枝葉の除去を行うことが望ましいと考えられます。
 
 (3)除染後における森林保全について
 急な斜面の森林において、落葉等の堆積有機物の除去により土壌が露出すると、降雨により土壌が流亡するおそれがあります。そのような箇所で除去を実施する場合や、実際に除去後に降雨等で流亡がみられた場合には、林縁部に土嚢を並べるなどして、土壌の移動や流亡を防ぐことが必要と考えられます。
 
また、森林は農地と異なり、基本的に施肥管理を行わず、養分の供給は落葉等の堆積有機物に依存していることから、堆積有機物を除去すると地力が低下するおそれがあります。しかしながら、除去の範囲が小面積であれば、その後の落葉や降雨による養分供給により、地力は回復することから、樹木の成長が一時的に低下する可能性はありますが、森林の機能に大きな影響はないと考えられます。
 
 
<添付資料>

東京電力福島第一原子力発電所事故による農畜水産物等への影響

 
 
 
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林野庁森林整備部研究・保全課
 
 
 
 
 
  
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 木々の間には雨や樹幹流を捉える装置が据えられていました。また落葉なども設置されたネットで捉えます。
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 水や落葉に含まれる放射性物質を計測することで森林内での放射性物質の移動を調べます。今回の調査では平地の土壌と森林では放射性物質の分布に大きな違いがあることが分かりました。
平地と森林の高さ別の放射線レベルを比較してみましょう。
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転載元: 2012年3月11日の 放射性除染対処シンポジウムの参加者募集


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