【3月22日 AFP】人類は地球上で過去6600万年の間に起きた自然な温暖化のどれよりも10倍速いペースで、大気中に温室効果ガスを排出しているとする研究が21日、発表された。
 研究者らによるとこの排出ペースは、5580万年前の気候大変動さえも上回り、人類を未知の危険な領域に追い立てているという。
 5580万年前の「暁新世(ぎょうしんせい)始新世(ししんせい)境界温暖化極大期(Paleocene-Eocene Thermal MaximumPETM)」と呼ばれる期間には、2000~3000年の間に地表の温度が5度以上上昇した。
 一方、2世紀前から現在の気候変動は、特に過去50年が顕著だが、気温上昇はこれまでわずか1度にとどまっている。しかし、すでに超巨大ハリケーンや海面上昇による高潮、壊滅的な干ばつなどが発生しており、このままの道をたどれば、温室効果ガスによって地球の気温は2100年までに3~4度上昇するだろう。
 二酸化炭素(CO2)汚染によって起こり得る同様の影響を予測するために、PETMについては詳しい研究が行われてきたが、大量のCO2排出とそれに続く急速な気球温暖化、生物種の大規模な消滅と、状況は現在と相似している。一方、約5600万年前に種の絶滅が起きたのは主に海だったが、現在のいわゆる「6度目の大量絶滅期」では、海と陸の両方で種が絶滅の危機にひんしている。
 論文の主筆者リチャード・ジーベ(Richard Zeebe)氏は「生態系への影響は、気温変化の幅よりも速度で現れる傾向がある」と述べる。地球上で現在起きている変化は、その速さの面でPETMのような時期よりも、彗星の激突によって恐竜が絶滅した白亜紀(Cretaceous)末期に近いと同氏はいう。
 米カリフォルニア大学サンタクルーズ校(University of California, Santa Cruz)、ハワイ大学(University of Hawaii)の科学者らによるこの研究は、英科学誌ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)に掲載された。(c)AFP/Marlowe HOOD