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[転載]中国「大気汚染防止法」「水汚染防止法」「固体廃棄物環境汚染防止法」

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http://img2.blogs.yahoo.co.jp/ybi/1/ae/b7/atcazia/folder/20048/img_20048_31485599_0?20110319080418

1.大気汚染防止法

 「大気汚染防止法」は1987 年に制定された後、1995 年と2000 年の2 回にわたり改正されている。2000 年の改正は同年4 月の第 9 期全国人民代表大会常務委員会によって決定されたもので、同年9 月から2000 年改正法が施行されている。
 同法では、大気汚染を排出する工場等を新設・拡張する場合の環境影響評価の実施や手続き、排汚費(汚染物質排出費)徴収や大気汚染物質の総量規制の実施、環境行政機関による立ち入り検査権、石炭燃焼による大気汚染の防止措置、工場等による排ガス・粉じん・悪臭の防止措置、大気汚染発生者への罰則などに関する基本規定が示されている。

 2000 年の改正では、特に石炭燃焼による大気汚染規制の強化、直轄市や省の中心都市、沿海部の開放都市などが対象とされる大気汚染防止重点都市に対する規制の強化が盛り込まれている。

2.水汚染防止法

 一方、もう一つの主要な環境汚染である水質汚濁の防止を目的とした「水汚染防止法」は、1984 年の第6 期全国人民代表大会常務委員会で採択後に施行され、その後1996 年に改正されている(水汚染防止法の日本語訳を資料編の参考資料3 に収録)。
 同法の適用範囲は、河川、湖沼、運河、水路、ダムなどの表流水と地下水で、海洋については別途制定されている「海洋環境保護法」がカバーしている。水汚染防止法では、水域環境における望ましいレベルを示す水環境質基準と水質汚濁物質の排出基準の設定、建設プロジェクトにおける環境影響評価の実施、都市汚水の集中処理の推進、生活飲料水源の保護対策、地表水および地下水の汚染防止、罰則規定など、水質汚濁防止に関する幅広い規定を盛り込んでいる。

 企業活動に関連するものとしては、水質汚濁防止対策への三同時制度、排汚費(汚染物質排出費)徴収、汚染物質排出登記などの環境管理制度導入を規定し、このうち排汚費に関連して「企業が水源に汚染物質を排出している場合は、国の規定に従い汚染物質排出費を納めなければならない。
 国あるいは地方政府が定めた汚染物質排出基準を超える場合は、国の規定に従い基準超過汚染物質排出費を納付しなければならない」とし、排出基準を超えなくとも排出費を支払うよう規定している。
 また、環境行政機関による立ち入り検査権も明記している。そのほか、環境影響報告書に、建設プロジェクト所在地の住民の意見の記載を求めている点や、水質汚濁によって被害を受けた関係者による損害賠償請求権を認めていること、水資源の有効利用に関する規定があることが特徴となっている。

 なお、日系企業の水質汚濁防止対策に直接関係する「汚水総合排出基準」については、具体的な基準値等の情報も含め、第1 章第3 節で詳しく紹介する。また、「水汚染防止法実施細則」については、日本語訳を資料編の参考資料4 に収録している。

3.固体廃棄物環境汚染防止法

 廃棄物対策は、1995 年に制定され1996 年に施行された「固体廃棄物環境汚染防止法」に基づいて対策が進められている。同法は、廃棄物による環境汚染の防止を目的としたもので、固体廃棄物の管理体制、管理制度、廃棄物の収集、貯蔵、運搬、処理に関する規定を定めている。
 中国が廃棄物発生量の抑制と資源の総合利用促進を重点政策の一つに掲げていることから、同法にも廃棄物の減量化・無害化・資源化の廃棄物処理の3 原則、廃棄物のリサイクルと管理に関する責任・義務規定なども盛り込まれている。

 同法では、固体廃棄物を
々業活動に応じて発生する固体・半固体廃棄物(いわゆる産業廃棄物)
⊃祐屬瞭鐇験茲よび消費活動によって発生する廃棄物(生活廃棄物)
産業廃棄物および生活廃棄物に含まれる有害廃棄物(Hazardous Waste)
――の3 種類に分類しているが、このうち日系企業の環境対策にとって重要な有害廃棄物については、同法に基づいて1998年に示された「国家有害廃棄物カタログ(The National Catalogues of Hazardous Wastes)」に規定されている。
 また、毒性や環境リスクが大きいものや通常の方法では処理処分が困難な、例えばPCB 廃棄物やゴミ焼却炉から排出されるフライアッシュ、医療系廃棄物などは特別有害廃棄物と位置づけられている。

 また、固体廃棄物環境汚染防止法では、産業廃棄物に関しては排出企業が自己責任で処理することが規定されているが、このうちの有害廃棄物については、それを総合的に処理・処分可能な施設は現在中国国内に1 ヵ所(天津市内)しかないといわれており、すべての産業廃棄物が法規制通りに処理されるまでにはもう少し時間がかかるようである。

 なお、固体廃棄物環境汚染防止法は現在改正作業が進められており、2004 年中に改正が実施される予定となっている。

4.産業環境対策に関するその他の法令

 そのほか、日系企業の環境対策に直接関係する汚染防止関連法としては、1996 年に制定され1997 年に施行された「環境騒音汚染防止法」があげられる。同法は、環境騒音全般を規制するものだが、その中には工業騒音の防止を規定した「章」が設けられている。

 それによると、固定設備から騒音を発生する工場は、工場を管轄する地方環境行政機関に発生源となる設備に関する情報や正常な作業状況での騒音値を届け出るとともに、同法に基づいて1990 年に施行された「工業企業境界騒音基準」を満たさなければならないとされている。
 騒音基準では、例えば工業地区に立地する工場の規制値は昼間(午前6 時~午後10 時)においてLeq(等価騒音レベル)で60 デシベル(A)、それ以外の夜間は55 デシベル(A)とされ、違反した場合には罰金が科されるとともに、後述する「排汚費徴収使用管理条例」に基づいて、違反レベルに応じた汚染物質排出費の支払いが要求されることとなる。

 「排汚費徴収使用管理条例」は、中国独特の環境管理制度の一つである排汚費(汚染物質排出費)徴収制度の具体的な運用規定である。これは1982 年に制定された排汚費徴収臨時弁法が2003 年7 月に改正施行されたもので、あわせて具体的な徴収費用の計算方法を示した命令(排汚費徴収基準管理弁法)も施行されている。
 それによると、排汚費の対象となるのは、排水、排ガス、固体廃棄物および危険廃棄物、基準を超える騒音の4 種類で、このうち排水、排ガスについてはすべての排出について汚染物質の種類と排出量に応じた排出費が徴収されるとともに、排出基準を超える排水には超過排出費が追加徴収されることになる。また、廃棄物と騒音に関しては定められた法令に違反する場合に排出費が徴収され、特に廃棄物の場合は保
管・処分施設がなかったり、それがあっても関連の基準にあわない場合に支払い義務が生じる。

「環境影響評価法」は、2002 年に制定され2003 年に施行された。従来から中国では環境保護法の規定に基づいて、工場新設などの建設プロジェクトの実施に際して環境影響評価が実施されてきたが、同法は環境影響評価制度を法的にきちんと位置づけるとともに適用範囲などの明確化を図ったもの。
 同法では建設プロジェクトが環境へ及ぼす影響の程度に応じた3 段階の環境影響評価の実施および環境影響評価文書の作成について規定されており、重大な環境影響を引き起こす可能性がある場合には環境影響報告書、環境影響が軽度である場合は環境影響報告表、環境影響が非常に小さいと予想される場合は、環境影響評価を実施せずに環境影響登録表をそれぞれ作成することとされている。
 加えて、環境影響報告書への記載事項や行政機関による環境影響評価文書の審査手順などが規定されている。

 基本的に環境に影響を与えるすべての新規・改造・増築に関するプロジェクトに環境影響評価が要求されていることから、日系企業の工場建設や増設も当然対象となる。ただし、造成に当たってすでに環境影響評価を実施済みの工業団地(通常、経済開発区と呼ばれる)に立地する場合は、環境影響評価手続が大幅に省略されることになる。

 なお、同法では建設プロジェクトごとにその環境影響の程度に応じた環境影響評価の実施を定める分類管理リストが環境保護総局によって別途規定されることとなっているが、調査時期が同法の施行後数ヵ月しか経っていない時点だったこともあって、規定は入手できなかった。

5.新たな視点に立った環境法令づくりも

 また、前述した「クリーナープロダクション促進法」(2003 年1 月施行)や、わが国の化審法(化学物質の審査および製造等の規制に関する法律)に相当する「新規化学物質環境管理弁法」(2003 年10 月施行)などの運用がこれから本格化する一方、電子・電気機器への有害物質の使用を禁止するEU 指令に対応する「電子情報製品汚染防止管理弁法」や家電リサイクル法(仮称)などの新しいタイプの環境関連法令の施行も近く予定されている。
 今後は、わが国同様の「循環型の経済社会づくり」をキーワードとした新たな視点に立った環境関連法体系の整備が矢継ぎ早に進められるものと予測され、日系企業もエンドオブパイプの公害規制に対応するだけではない、新たな対応が求められることとなる。

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ttp://www.env.go.jp/earth/coop/oemjc/china/j/china_j_1.pdf

転載元: アジア・太平洋貿易振興・環境保全・環境産業振興


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