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[転載]韓国の原子力発電

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韓国の原子力発電
<概要>
 韓国の原子力発電計画は、1970年に韓国初の原子力発電所である古里1号を米国に発注して始まった。続いて1970年代後半から現在までに立て続けて発注された発電所が稼働し、2002年現在18基(設備容量:1571.6万kW)が運転中で、2基(設備容量:200.0万kW)が建設中である。
 古里1号と月城1号は、運転開始後数年は設備利用率が低く、初期トラブルに見舞われたものと見られるが、その後建設した原子炉は国産化に努めて信頼性を高めた結果、近年の平均設備利用率は92.7%とかなり高くなった。韓国の総発電設備の中で原子力発電設備の占める位地は2002年末で29.2%、発電電力量は1190億kWhで、総発電電力の38.9%を占めている。
 現行の第5次長期電源開発計画によると、2008~2014年までに新たに8基の原子力発電所を増設する一方で、古里1号機と月城1号機を2008年と2013年にそれぞれ閉鎖する予定になっており、2014年時点では26基となる計画である。
 
<更新年月> 2004年02月   
 
<本文>
1.原子力発電の経緯と現状
1.1 原子力発電の経緯と現状
 韓国の原子力発電計画は、1970年最初の原子力発電所である古里(Kori)1号をウェスチングハウス社に発注して始まった。既に経済成長にともなってエネルギー消費が急速に増加し、エネルギー資源を持たない韓国のエネルギー資源輸入が急増しつつあった。
 続いて1975年、建設しようとした月城(Wolsong)1号と古里(Kori)2号は、当時韓国がフランスと技術提携して再処理のパイロットプラントを建設しようとしたことが支障となって停滞する局面もあったが、韓国の再処理断念の代償によって進行することとなった。
 
 以後、順次原子力発電所の建設が進み、霊光(Yonggwang)4号が1996年1月、月城(Wolsong)2号が1997年7月、3号が1998年7月に、蔚珍(Ulchin)3号が1998年8月に、1999年10月に月城(Wolsong)4号、1999年12月に蔚珍(Ulchin)4号が、2002年5月に霊光(Yonggwang)5号、2002年12月に霊光(Yonggwang)6号が営業運転開始したことによって、2002年12月末現在運転中の発電所は18基1571.6万kW、建設中のものは2基200.0万kWとなった。
 韓国水力・原子力発電会社KHNP)が作成した韓国における電力統計によると、2002年末現在、総発電設備容量に占める原子力発電の割合は29.2%であり、総発電電力量(3059億kWh)に占める原子力による発電電力量(1190億kWh)の割合は38.9%に達した。
 また、最近ここ数年間の設備利用率は90%以上と安定した高い水準を示し、2002年には92.7%に達している。
  表1に運転中および建設中の原子力発電所(運転中および建設中)を、図1に原子力発電所等の位置図を示した。
 
 
 
 
原子力発電所運転の初期には、いろいろトラブルも経験したようであるが、近年はかなり良い運転成績を上げている。 表2に韓国の原子力発電所の設備利用率を、 表3に韓国の電源別発電設備容量と発電電力量を示した。
 
また、韓国の原子力発電開発(韓国標準型炉の建設計画)を図2に、霊光原子力発電所外観図を図3に示す。
 

1.2 長期電源開発計画
 韓国では、産業資源省により長期電源開発計画が策定され、電力需給の変化と経済状況を考慮しながら約2年毎に計画は改訂されている。
 
(1)第3次長期電力需給計画(1995年12月)
 「第3次長期電力需給計画」では、原子力発電を次のように位置づけている。
・2010年までに11基を増設する。しかし、古里1号機(1978年運転開始)を2009年に廃炉とするため、総計では27基(2,632万9,000kW)となる。
・2007年の送電開始を目標に、新たに130万kW級の次世代炉(KNGRと呼称。二重格納容器や過酷事故対策システム採用のPWR)を建設する。
注:2005年~2006年に運転開始予定の原発を、100万kWのPWR2基とするのか90万kWのCANDU2基とするのかは、今後決定する。
 
(2)第4次長期電源開発計画(1998年8月)
 1998年8月25日、2015年までの電源開発である「第4次長期電源開発計画」を公表した。それまで順調な成長をみせていた韓国経済にも、東南アジアを震源とした金融危機が波及したため、需給計画も下方修正を余儀なくされ、大幅に公表が遅れた。
 改訂にあたっては、経済危機により、短期的には電力需要の伸びが大きく鈍化するものの、2000年以降は経済成長が回復するとの前提にたち、考慮すべき重要なポイントとして安定供給の確保、電気事業の効率向上、環境に配慮した電気事業の推進などをあげている。
 第4次長期計画では、1998年から2015年までに、合計57基(2,819万kW)の新規発電所建設が盛り込み、合計117基(5159万kW)に達する。長期的に原子力発電の規模を拡大していく方針に変更はないものの、原子力発電所の建設ペースは減速し、2010年までに27基(2632.9万kW)の原子力発電所建設が、25基(2342.9万kW)へと下方修正された。
 
(3)第5次長期電源開発計画(2000年1月)
 2000年1月に確定した「第5次長期電源開発計画」では、2015年までに現在稼動中の発電所を含め、合計28基、2605万kWの設備容量を持つ原子力発電所が稼動し、原子力の比率が33%になる見込みである。また原子力は、ベース負荷としての役割が拡大し、2015年には国内総発電電力量の44.5%を賄う予定であり、2001年7月韓国原子力委員会は2002年から2006年にかけての韓国での原子力推進に向けた「第2次総合基本計画」を発表し、現行の長期電源開発計画に沿った原子力発電所建設計画を正式に了承した。
 2015年における総発電設備容量7905万kWに占める各電源別の設備容量とその割合は、原子力2605万kW(33.0%)、石炭火力2122万kW(26.8%)、LNG火力1885万kW(23.8%)、石油火力600万kW(7.6%)などを見込んでいる(表4参照)。

 現行の計画では、2008~2014年までに新たに8基の原子力発電所を増設する一方で、韓国初の原子力発電所である古里1号機が2008年に月城1号機が2013年にそれぞれ閉鎖する予定になっており、2014年時点では26基となる計画である(表1参照)。
2.原子力開発国産化の経緯
 国産化の諸段階は次の通りである(表5表6および表7参照)。
(1)第一段階:1977年までの発注。第1-3号機。
 (古里1、2(WH社)、月城1(AECL))。外国企業によるターンキー・ベース契約で、韓国産業界の受注は一部付帯工事のみ。
 
(2)第二段階:1978-1980年の発注。第4-9号機。
 (古里3、4(WH社)、霊光1、2(WH社)、蔚珍1、2(フラマトム社))。コンポーネント・ベース契約。韓国電力が外国企業へ機器を発注。韓国企業も一部は下請受注。
 
(3)第三段階:1987年の発注。第10-11号機。
 (霊光3、4(CE社)。韓国初の2ループの100万kW炉)。韓国重工業が単独主契約者で、炉本体は米CE社(現ABB-CE社)に下請発注。他の機器も下請業者に発注。CE社との機器共同設計で自主技術の確立を志向。この時期から炉本体とタービン系の国産化が本格化。
 
(4)第四段階:1990年以降の発注。第12-20号機。
 (月城2、3、4、蔚珍3、4、5、6、霊光5、6)。
 PWR完全国産化と標準化を目指しており、韓国が全責任を負う契約方式である。「95 in 95」(1995年に95%の国産化を!)のスローガンの下で、原子力技術自立に取り組んできた。
 1995年の第3次長期電力需給計画では、2006年以降100万kWの韓国標準型炉(KSNP: ABB-CE社の「システム80」、130万kW級に改良を加え、100万kW級にしたもの)高度化路線を継続するか、130万kWの大容量化路線に移るかを検討中であったが、1998年の第4次長期電力需給計画で後者が選ばれた。
 また、1992年末から国家改良技術開発事業の一環として安全性と経済性に優れた140万kW級の改良型加圧水型炉(APR)の開発に取り組んできた。「システム80+」をベースにした130万kW級PWRである韓国次世代原子炉(KNGR)を140万kWに改良したAPR1400は、1999年に基本設計を、2001年12月に詳細設計を完了している。APR1400は2010年に運転開始を予定している新古里3、4号機に採用される予定である。
 さらに、100万kW級韓国標準型原子炉(KSNP)を改良し、安全性・経済性を高めた改良型KSNP(KSNP+)も新古里1、2に採用される見通しである。
 
3.電力の民営化
 2001年4月、40年間電力事業を独占してきた韓国電力公社(KEPCO)の発電部門が、経営効率の向上と発電コストの削減のため、5社の火力発電会社と、1社の水力・原子力発電会社(KHNP)に分割され、送電・配電部門は韓国電力公社が行うことになった。法制面では電力産業再編推進法が制定され、2002年12月には電力事業法が改定されている。発電子会社のうち火力発電会社は、2002年2月より順次民営化される予定である。韓国の電気事業再編のプロセスは4段階に分けて行われる予定である。
 
(1)準備段階(2001年4月まで):関係法令の整備、KEPCOの発電部門の分社化、卸電力取引所の設立を行う。
 
(2)発電競争段階:設立された発電子会社(火力)を順次民営化し、その一方でKEPCOの送電・配電部門の分割民営化、独立規制機関の設立を行う。また、相互的な競争入札卸電力市場の運営規則を策定する。
 
(3)卸競争段階:発電会社による大口需要家への直接売電を認め、配電会社も入札に参加する競争入札卸電力市場へ移行する。
 
(4)小売競争段階:配電ネットワークにもオープン・アクセスを導入し、小口部門にも自由化を導入する。
 韓国では、電力業界の完全自由化を2009年までに完成させることを目指している。この民営化政策の波に押された形で、原子力発電の主要機器製造企業、韓国重工業(Hanjung)も筆頭株主となった斗山(トゥサン)に移管され、2001年3月から斗山工業になった。
 

 
 
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転載元: 3.11 ATC放射性物質汚染対処シンポジウムは動画配信中


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