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[転載]4 人類の移動―その原動力は何か 1章4

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4 人類の移動―その原動力は何か 1章4

★ 南極の氷が溶けたら
 氷河期・間氷期で海進・海退が140メートルもあったというのは本当か。こうなるには、南北極に生じる大陸氷河の量を計算せねばならない。

 現在、最大の氷河は、南極とグリーンランド。この氷が溶けたら、どれだけ海水面が上がるか。まず手始めに、それから計算してみよう。なお、北極海には、雪原があるが、その下は海で、この氷が溶けても海水面に変化はない。コップの上の縁すれすれに氷を浮かせた場合、その氷が溶けても、水は溢れない。周知の事実だ。

 まず、南極の紹介。南極の底の岩石である岩盤は、意外に低く千m以下の所が多い。そしてその上に厚さ3千mもの氷床が乗っかっている。全て同じ高さではなく、海岸から数キロから百キロ進むと急激勾配がきつくなる。日本が海岸から急に山になるのと同じだ。それから、南極の中央部に向かうに従い徐々に高度を増し、最高高度は4000mほどだ。そして、その付近に積もった雪が年間5mの速度で流落ちる。なぬ、それじゃ、チベット高原から、水でなく氷がずり落ちる姿か。そんな感じだが、ちょっと違う。氷の流れは遅く、海岸付近まで高地が続く。言わば、氷の台地・まんじゅうみたいな感じの陸があるのだ。海岸から急に高くなるとはこの感じだ。海岸付近では、200mにも達する棚氷が沖合遠くまで伸びている。水は冷たくなかなか溶けない。ロス海は、極点付近まで入込んでいるので、ここでは、その棚氷は何百キロも続いている。大陸と少しも変わらない。

 もう少し続けよう。この大陸の降水量は、年間30ミリ。非常に少ない。アフリカの砂漠並だ。いや、雪嵐(ブリザード)があるだろう。そう、だが、一旦降った雪が舞上がって、また別の所に降るので、赤道付近から運ばれる水分は、この程度なのだそうだ。また、驚き。氷床の厚いところは、地圧で氷が溶け、地底に大きな湖があるという。琵琶湖が入る大きさだという。この水は、かなりの速度で流れる。だから、その上の氷も、年間1000mもずり落ちているという。鍾乳洞の中の地底湖みたいな感じだ。全体として、氷が、南極の中心から海岸まで流れ着くのは数万年かかるという。尤も、山頂付近に流れはないから、ここには100万年前からの氷が残っている。
 
 南極の面積は、1400万平方キロ。いや、棚氷が沖合何キロも伸びているから、来ているものを脱げば1200万平方キロだとも言える。米国、中国の1.5倍、欧州の1.3倍程度だ。地図で見ると小さいが意外に大きい。いや、初めて知った。氷の厚さは、1500mから2000mだ。資料により、かなりばらついていて確定できない。

 さて、本論に戻ろう。地球の総面積は、5.1億平方キロ。これは、地球の半径から簡単に計算できる。そう、πr(2乗)で、3.14×6400キロ(2乗)だ。そして、陸と海の割合は、3対7だから、陸1.5億平方キロ、海3.6億平方キロ。これだけ分かれば、南極の氷が溶けた時の海水面の上昇が計算できる。

 南極の氷の総量、それを知る必要はないが、一応計算しておこう。
 南極の氷の量=1400万平方キロ×1.7キロ=2400万立方キロ(=キロの3乗)

 1辺が1000mのさいころが2400万個ある勘定だ。

 海面が何メートル上がるかは、南極の氷を、南極面積の何倍の世界海洋に広げるかを考えればよい。

 世界海洋面積/南極面積 = 3.6億平方キロ/1400万平方キロ
             = 25.7(→26倍)
従って、
 上昇海面 = 1700/26 = 65m

意外に簡単な計算で出てくる。他の資料を見ると、60m前後の値のものが多い。

 いや、何と凄い。60mも上昇したら、東京も大阪も海面下じゃないか。そればかりじゃない、世界に主要都市は全て海面下だ。温暖化の心配なのがよく分かる。




★ 氷河期の北半球の氷床
 氷河期には、北極海周辺には、氷河が広がった。ウイキ百科事典には、総量で南極の氷の2倍くらいだとあった。これは、どの範囲の氷床を表すものか。
 まず、その前提をなす諸元を見てみよう。

 北極海の面積は、どこまでを北極海と認定するかで問題があるが、南極と同じかやや小さめだ。1000~1400万平方キロ。それと、この海の特徴は、水深が1300mほどととても浅いことだ。大西洋、太平洋の3分の1しかない。これは、熱容量が小さく、長期の寒暖海流によって、沿岸地方の気候に影響しやすいことを意味する。よく、グリーンランド沖に冷水の沈込み帯があるが、大西洋の水温と大陸からの溶解水との温度差が問題となる。

 北極海が夏でも全面氷結するようだと、アルベド(太陽光反射率)に大きな変化が起きる。冷夏部分が広がりやすい。尤も、浮氷は、海水面の上下には影響しない。

 大陸氷河は、どこまで広がったか。通説によると、イギリス北部からヨーロッパ・バルト海沿岸から、ロシア北部一帯、さらに、アラスカ、カナダ北部からグリーンランドにまで広がったことになっている。グリーンランドは、現在でも海岸線が夏に溶けるだけで、内陸は厚さ1500mを超える氷床の陸地だ。

 こういう事実かあら、まず、北極圏内の面積を計算してみよう。

北極圏側面積(S)=∫ (下底x,上底1)(2Rcosθ)dx
      (R:地球半径,x=1-sinθ,θ:その地点の緯度 
         ここで R→1とする)
         =π∫(cosθ)(2乗)dθ

この計算は難しい。この計算の意味は、伏せたお椀型の面積を求めることで、この面積は、θが高緯度の時(60度くらい以上)の場合は、これを平面に投影した面積よりいくらか大きい程度だ。北極圏をその程度に近似して、その面積を求めてみる。

 S=π(cosθ)(2乗) ‥‥ ‐紊亮阿隼討い襦

この式に、θ=70, 66.5, 60,50 と入れて面積を求めてみる。
 S(70) =π(0.34)2 → 0.11π → 0.12π(=0.38)
      ←半径1の球に対する割合。なお、球全体は、4π=12.6
 S(66.5)=π(0.4)2 → 0.16π → 0.18π(=0.57)
 S(60) =π(0.5)2 → 0.25π → 0.28π(=0.88)
 S(50) =π(0.64)2 → 0.41π → 0.45π(=1.41)

この時の北極海を除いた面積は:
 S(70) =0.12π/4π×51000ー1200 = 1530ー1200 → 330(→300万平方キロ) 
   ‥‥北緯70度以北の面積1500万平米は、南極より少し大きめで、
     それを除いた面積は、南極の約4分1の面積
 S(66.5)=0.18π/4π×51000ー1200 = 2295ー1200 → 1100(→1100万平方キロ)
   ‥‥南極よりやや狭い面積
 S(60) =0.28π/4π×51000 = 3570ー1500 → 2070(→2100万平方キロ)
   ‥‥南極の1.5倍程度の面積。北緯60度まで南下すれば、
      北極海の面積は広くなる。大雑把だが、1500万平方キロとする。
 S(50) =0.45π/4π×51000 = 5740ー2000 → 2740(→2700万平方キロ)
   ‥‥北緯50度まで南下すると、太平洋北部の海まで入るので
      大雑把にその海に広さは、2000万平方キロとする。
      いや、実は、海の広さは、人工衛星写真により目算で確認した。

 これから、何が言えるか。また、氷河の痕跡、あるいは氷河期の氷河山麓線と整合するか。
 北緯70度以北の土地に大陸氷河ができたとすれば、勿論、これだけの氷河があれば、小氷河期なら起きるだろう。氷床は、まんじゅう型の山が、広がりまた高く発達していくのだから、面積が狭いということは、高さも低い。これが南極氷河の4分の1の面積ならば、氷床の高さは南極の半分以上にはならないだろう。そうすると、最高で900mだ。

 いや、現在、グリーンランドの氷床は、南極と同じくらい厚い所がある。なら、1200mくらいまでなら発達するだろう。それと、氷河の成長速度が年3センチとかいう速度を考えてみると、1000mに達するまで成長するには、10万年かかる。降雪が激しく2倍だとしても5万年はかかる。そうすると、基本的にそれ以前に万年氷床がなければ、1000mを超えるのは無理だ。

 そうすると、氷の量は、1/4 × 1/2で、8分の1くらいだ。多くても、6分の程度だ。なら、海退効果は、それに比例して8~10mだ。縄文時代には、逆だが、数mの海進があったというから、常識的な値だろう。なお、これだけの海退では、インドネシアのスンダランドはできない。

 次は、北極圏が氷河に包まれた状態を考えてみよう。この時代は、北極海が完全に棚氷で覆われ、それに続いて、北緯66.5度まで大陸氷河が広がるのだ。注意すべきは、北極海の棚氷は沖合10~20キロまでは大陸氷河の延長としてもいいが、それより沖合では浮いている状態で、海退効果とは無関係だ。

 氷河がここまで広がるには、間氷期にも、北緯70度近辺にまで氷床があったとせねばならない。そうすると、高さは、南極とほぼ同じとなる。
 氷量=1100/1400 = 0.78(→0.8)倍

 この氷量から起きる、海退は、52m(←65×0.8)だ。北極海の沿岸の棚氷も考えると、55mくらいまで進んだかも知れない。かなりの氷河期だったと言える。

 第3は、北緯60度までの氷床だ。北緯60度という線は、イギリスの北端よりいくらか北、南ノルウェイの位置だ。この辺りは、北極圏大気の循環から多雨地帯になる。世界地図から自明だ。大陸氷河の発達は、非常に速かったと考えられる。反対も言える。雨が降り始めたら、非常に速く溶けた。

 ここでの氷床は、最盛期には、南極よりも厚かったかも知れない。そうすると、こうなる。
 氷量=2100/1400 = 1.5倍

 いや、これは凄い。北緯60度まで氷床が広がれば、南極の1.5倍だ。海退効果は、大雑把に百m。いよいよ、これは、大氷河期だ。ノルウェイのフィヨルド(氷食峡谷)は勿論、イギリス北部にもいくらか氷食の跡がある。段々現実味が帯びてきた。納得。

 第4は、北緯50度まで氷河が押寄せた場合だ。ここでは、現在気象では、少し雨が少なくなる。だが、北極圏が異常に冷やされる事を考えると、この辺りも冷やされ、多雨地域が南下している筈だ。もうここまで南下すれば、雨は考慮不要だ。

 氷量=2700/1400 = 1.9倍(→2倍)

 北緯50度まで氷床化すれば、この時は、浅い北極海は凄い棚氷になるから、この効果を入れると、氷量は2倍になろう。その時の海退は、130m(←65×2)だ。なるほど、この海退は、我々が習った大氷河期だ。証拠はあるか。ある。5大湖が氷食湖。これだけ大きな氷食が起きたのだ。北緯45度付近にある。なら、北緯45度くらいまで氷床は広がっていたのじゃないか。考えられる。だが、大陸の東側は、西よりかなり気温が低い。だから、世界中の北緯45度以上に氷床ができたとは言えない。アジアでは、バイカル湖(北緯52度以北)があるが、それ以上南には、取立てた氷食地形はない。やはり、北緯50度というのが南限だろう。それで、地質学的事実と矛盾しない。
 言うのを忘れていた。その時、南極はどうなっていたのか。通説は、同時に寒くなったという。次回にする。

転載元: 日本の再生と国際化を考える


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