循環資源の国内活用を推進するための国民運動「活かそう資源プロジェクト」
日本のごみを日本の財産に
環境省では、「日本のごみを日本の財産に」の掛け声とともに、再生された循環資源を活用した製品の質の高さや二酸化炭素削減効果などの社会的有用性等を広く国民に伝え、そうした循環資源を活用した製品の普及推進を通じて、国内での循環資源の利活用を促進する国民運動「活かそう資源プロジェクト」を平成24年3月より展開しています。
企業と消費者をつなぐ国民運動を展開し、国産循環資源の活用を推進
循環型社会の構築のためには、再生された循環資源を活用した製品の需要拡大を推進していくことが重要です。これまで、さまざまな事業者によって循環資源を活用した製品の商品化がなされてきましたが、売れ行きが伸びず生産終了となる商品も少なくなく、そうした循環資源を活用した製品の需要が拡大される状況にはいたっていないのが現状です。
その原因にはさまざまなことが挙げられますが、循環資源を活用した製品の需要がそれほど伸びず、それにより供給側が生産を減少し、さらにそれが需要を停滞させているという指摘もあり需要と供給の問題があることが指摘されているのも事実で、そうした問題解決に向け国が支援を行うことも、循環資源を活用した製品の需要拡大を図っていく上で重要であると考えています。「活かそう資源プロジェクト」は、このような問題認識から立ち上げられた運動で、国が旗振り役となり、多くの企業の賛同を求め企業と消費者をつなぎ、循環資源の活用推進に向けた好循環をつくり出す国民運動です。
具体的には、廃棄物を国内で中間処理することにより産出される資源を「国産循環資源」と位置づけ、
[1]ホームページや各種イベント等を通じて広く国民に向け、国産循環資源を活用した製品の有用性等の情報を発信するとともに、
[2]資源化などの廃棄物の適正処理を行うことができる優良な廃棄物処理業者の情報を分かりやすく提供できるシステム「優良産廃ナビゲーションシステム(優良さんぱいナビ)」を構築運営し、
[3]廃棄物排出業者と廃棄物処理業者の協業づくりの場(コンソーシアム)を設置運営し未利用循環資源の活用促進に向けた基盤づくりを行っていきます。
資源を大事に使う持続可能な循環型社会の構築に向け、企業の皆様には循環資源を活用した製品の製造やそうした情報の積極的な公表を促しつつ、国民の皆様には、循環資源の活用推進に向け具体的な4つのアクションを呼びかけていきますので、是非、「活かそう資源プロジェクト」にご参加ください。
詳しくはこちらまで 活かそう資源プロジェクト(別ウィンドウ)
まとめ
国内で行われているリユース・リサイクルの先進事例を見ると、リサイクルシステムを構築するために、製品設計段階で、リユース・リサイクルを考慮した設計を行うなど、川上のメーカーが主導的な役割を果たしていることが分かります。自動車やコピー機の部品には、その部品がどのような素材でできているのか一目でわかるように工夫されています。これにより、素材別の分別・リサイクルが行いやすくなります。部品毎に分解しやすい設計となっていることも重要です。例えば、ネジの数が少なくなっていたり、部品レベルで分解が容易になっていたりすれば、それだけ効率的に分解することができます。
また、回収した部品をメーカーが再び同種の製品に使ったり、製品の原材料として用いたりすることで、安定的・水平的なリユース・リサイクルの環がつくられることになります。
メーカーにとっても、リユース・リサイクルに積極的に取り組むことで、大きな経営上のメリットをもたらしている場合も多いと考えられます。例えば、安定的に原料を調達できる、環境に配慮していることを消費者にPRできる、場合によっては低コスト化を実現できる、といったことが考えられます。
川下の取組ももちろん重要です。リサイクルやリユースについて、経済性をもって継続的に行うためには、大量の使用済製品を効率的に集めることが必要となります。このため、リース形態をとっているという利点を活かしメーカー自らがほぼ100%使用済製品の回収を行う(コピー機)、回収拠点として郵便局や市町村市役所を活用する(家庭用プリンターのトナーカートリッジ)といったさまざまな工夫が行われています。各家庭から排出される使用済みの小型電子機器等について、地方公共団体が回収面で大きな役割を果たすことで、上手くリサイクルが行われている事例もあります(富山県)。
このように、リユースやリサイクルが円滑に行われるためには、川上と川下にいたるまでの総合的なシステムがしっかりと構築されることが必要となります。
今回は、我が国に眠る地上資源の再利用に焦点を当て、さまざまな取組を紹介しました。しかしながら、リユースやリサイクルを行う場合には、少なからずエネルギーを消費しているということを忘れてはなりません。
そもそも、資源をあまり使っていない製品を使用する、使い捨て製品を極力使わない、ものを大事に使う、そういった消費行動が、最も資源節約につながりますし、エネルギーの消費も少なくすむのです。
したがって、しっかりとしたリユースやリサイクルのシステムを社会的に構築することに加え、消費者である私たち一人一人が、地球上で人間が利用できる天然資源の量に物理的限界があることを認識し、小さなことでもできることを実践していくことも極めて重要なのです。
前ページ | 目次 | 次ページ |