水環境の現状
(1)公共用水域の水質汚濁
ア 健康項目
水質汚濁に係る環境基準のうち、人の健康の保護に関する環境基準(健康項目)については、平成22年度の公共用水域における環境基準達成率が98.9%(21年度99.1%)と、前年度と同様、ほとんどの地点で環境基準を満たしていました(表4-1-2)。
イ 生活環境項目
生活環境の保全に関する環境基準(生活環境項目)のうち、有機汚濁の代表的な水質指標である生物化学的酸素要求量(BOD)又は化学的酸素要求量(COD)の環境基準の達成率は、平成22年度は87.8%(21年度87.6%)となっています。水域別では、河川92.5%(同92.3%)、湖沼53.2%(同50.0%)、海域78.3%(同79.2%)となり、湖沼では依然として達成率が低くなっています(図4-1-20、表4-1-3)。
閉鎖性海域の海域別のCODの環境基準達成率は、東京湾は63.2%、伊勢湾は56.3%、大阪湾は66.7%、大阪湾を除く瀬戸内海は80.7%となっています(図4-1-21)。
一方、全窒素及び全りんの環境基準の達成率は、平成22年度は湖沼50.4%(同52.2%)、海域81.6%(81.5%)となり、湖沼では依然として低い水準で推移しています。閉鎖性海域の海域別の全窒素及び全りんの環境基準達成率は、東京湾は66.7%(6水域中4水域)、伊勢湾は85.7%(7水域中6水域)、大阪湾は100%(3水域中3水域)、大阪湾を除く瀬戸内海は96.5%(57水域中55水域)となっています。
また、平成21年の赤潮の発生状況は、瀬戸内海104件、有明海34件となっており、東京湾及び三河湾では青潮の発生も見られました。湖沼についてもアオコや淡水赤潮の発生が見られました。
(2)地下水質の汚濁
平成22年度の地下水質の概況調査の結果では、調査対象井戸(3,733本)の6.9%(256本)において環境基準を超過する項目が見られ、汚染井戸の監視等を行う継続監視調査の結果では、4,717本の調査井戸のうち2,073本において環境基準を超過していました。なお、平成21年度から従来の定期モニタリング調査は継続監視調査へ調査区分を変更しています(図4-1-22、図4-1-23、図4-1-24)。施肥、家畜排せつ物、生活排水等が原因と見られる硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素の環境基準超過率が、4.3%と最も高くなっており、これらに係る対策が緊急の課題となっています。一方、汚染源が主に事業場であるトリクロロエチレン等の揮発性有機化合物についても、依然として新たな汚染が発見されています。