中国は土壌汚染も深刻化、重金属汚染は100年前から
[北京 10日 ロイター]
中国の環境保護省は10日、各地で行った土壌調査の結果、採取したサンプルから重金属と、1980年代に禁止された殺虫剤の残存物が検出されたと発表した。
重金属は少なくとも100年前のものとみられ、同国の環境汚染の深刻さがあらためて浮き彫りとなった。
中国では大都市の多くを覆う大気汚染に対し、インターネット上では政府の対応に不満が広がっており、先月には上海市に飲料水を供給する河川で大量の豚の死がいが見つかったことで、水質に対する市民の関心も強まっている。
環境保護省のZhuang Guotai氏によると、農村部で使用される化学肥料のおよそ65%は不適切に使用されており、河川や土壌の汚染につながっているという。会見でZhuang氏は「今回の調査の結果、80年代に禁止された『666』という殺虫剤のほか、100年前から続いている重金属汚染を発見した」と述べた。
中国政府はかねてから主要都市における環境汚染に取り組む姿勢を見せているが、企業に対する強制指導などは行われず、ほとんど成果はあがっていない。
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[オスロ ロイター]
国連工業開発機関(UNIDO)は9日、大気汚染が原因で死亡する人の数が世界で毎年600万人以上に上り、その危険性が過小評価されていると警告した。クリーンエネルギーを導入すれば、2030年までに死者数を半減できるとしている。
UNIDOのカンデ・ユムケラー事務局長は、オスロで開かれた国連の開発目標に関する会議で、「大気汚染によってHIV(エイズウイルス)やマラリアの死者を合わせた数より多くの人が亡くなっている」と指摘。
そのうち室内の大気汚染は、主に発展途上国における木材の燃焼や簡素なストーブが原因で、犠牲者のほとんどは女性や子どもだという。
事務局長は、2030年までの国連の新たなエネルギー目標に、大気汚染で早死にする人の数を半減にすることを盛り込むべきだと提案した。
世界保健機関(WHO)の2012年のデータによると、室内の大気汚染で亡くなる人は年約350万人で、屋外の汚染では約330万人が死亡している。
大気汚染は北京やメキシコ市などで深刻な問題となっているが、WHOのマリア・ネイラ公衆衛生環境局長は「クリーンエネルギーの利用が増えれば、健康への恩恵も非常に大きいだろう」と述べ、再生エネルギーへの転換を訴えた。
[北京/上海 ロイター] 中国環境保護省は先月、土壌汚染に関する2年前のデータは「国家機密」だとして、弁護士のDong Zhengwei氏にアクセスは不可能だと宣告した。環境悪化に対する国民の怒りが高まる中、情報統制の厳しさが波紋を広げている。
マイクロブロガーや国営メディアに加え、全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の代表団も、大気汚染や水質汚染について政府への批判を強めており、入手可能な環境情報が乏しすぎると懸念を示している。
ロイターのインタビューに応じたDong氏は、「この問題の本質は、環境保護という観点を超えている。これは、中国が長年抱えてきた政府の透明性の問題にかかわってくる」と指摘。「正当性がないのに盾として『国家機密』を使うべきではない」と非難した。
中国は通常、汚職や安全保障のような問題に関する情報は公開せず、国民が審査することを許していない。しかし、環境に対する国民の怒りによって、当局は要求を受け入れざるを得なくなるかもしれない。
<無言の殺人者>
北京で1月、危険水準をはるかに上回るレベルに到達した大気汚染。中国の環境問題の代表的なものとしてみられているが、Dong氏は土壌汚染が「無言の殺人者」として脅威となっていると警告する。
Dong氏は先月、2006─10年に行われた全国調査で集められた土壌サンプルのデータの開示を求めたが、環境保護省は「国家機密」として拒否した。
中国政府は過去に、環境情報へのアクセスを求める国民からのプレッシャーに屈したことがあった。2012年初めには、北京の大気汚染への怒りが高まったことから、北京では微小粒子状物質「PM2.5」の観測情報の公開が始まった。 続く...
中国環境保護省の専門家によると、同国の農地の約10%が、政府の基準濃度を「著しく」超える鉛や亜鉛などの重金属に汚染されている。南方都市報が7日、報じた。
同紙によると、環境保護省の万本太氏は広東省広州で行われた会合で、今年の土壌汚染物質調査の結果、工場などから流出した重金属による汚染は農地の約10%に及んでおり、政府の基準を大幅に超えていると説明。「近年、重金属汚染が絶えず発生しているが、今年1月から2月の間だけで11件の汚染が確認された。そのうち9件は鉛に関連するものだ」と語った。
中国では金属需要の高まりを受け、重金属汚染が社会問題化しており、抗議デモなども時折発生している。鉛などの重金属に汚染されると、神経系や生殖器系、腎臓などに影響を及ぼす可能性がある。特に子どもは影響を受けやすいとされる。
中国は世界でも有数の鉛の消費大国。その消費量の70%は電池生産に使われ、今年は410万トンが消費される見通し。