=== 6月5日は世界環境デーでした~砂漠の生態系ますます深刻な危機に ===
国連環境計画(UNEP)は世界環境デーの5日、世界の砂漠地域についての報告書を発表し、野生の動植物の宝庫になっている同地域の環境が、気候変動や人口増、戦争などで危機に陥っていると警鐘を鳴らしました。
国連環境計画(UNEP)は世界環境デーの5日、世界の砂漠地域についての報告書を発表し、野生の動植物の宝庫になっている同地域の環境が、気候変動や人口増、戦争などで危機に陥っていると警鐘を鳴らしました。
報告書は、「軍事行動やオフロード車両の走行が広範で長期の否定的影響を与えている」として、戦争や軍事訓練などが砂漠地域の生態系に深刻な影響を及ぼしていると指摘しています。とりわけ、渡り鳥が休息したり、オオカミやヒョウなどが生息するイラクのチグリス川、ユーフラテス川周辺の砂漠地帯が、「イラク戦争によって大打撃を受けた」と告発しました。
気候変動の砂漠地域への影響について、報告書は、1967~2000年の気温上昇は、0.5~2度だったとし、これは、地球全体の平均の0.45度の上昇よりも高いことをあげました。
その結果、イランのダシュティカビール砂漠では、1976年から10年ごとに降雨量が16%減っているなど各地で降雨量に変化がでているといいます。
報告書は、「気候変動はすでに多くの自然環境に影響を与えてきたが、それがさらに、世界の多くの地域の社会・経済システムに影響する兆候もある」としています。
人口増加や水の非効率な使用によって、シリア、イラク、チャドなどの各国で深刻な水不足になる可能性も指摘しています。
また、道路建設などのインフラ整備で、2005年に砂漠の59%を占めていた原生地域が2050年には31%まで減少することを予想するとともに、砂漠の生物原種の減少についても懸念を表明しています。
一方、日差しの強さを使った太陽光エネルギー発電など、持続可能なエネルギー源として砂漠に期待するなど、利用の仕方によっては砂漠が人類に大きな利益をもたらす可能性にも触れています。
報告書によると、砂漠地域の面積は、陸地面積の約4分の1に当たる3370万平方キロで、5億人を超える人々が生活し、多数の野生の動植物が分布しています。