益田市教委など中世・益田の物流、東大史料編纂所が採択 /島根
毎日新聞 2013年05月20日 地方版
益田市が全面保存を決めた中須東原遺跡の歴史的価値を高め、益田を含む中世西日本海地域の流通経済の実態を文献から明らかにしようと、市教委歴史文化研究センターの中司健一主任主事が研究代表を務めるグループが、東京大史料編纂(へんさん)所に共同研究案を応募し、採択された。今年度、市内や県内各地、鳥取、山口両県や同編纂所に残る文書などを調査する。
同遺跡は中世の港湾遺跡で、国内や中国、東南アジア製の輸入陶磁器が出土している。一帯には中須西原、沖手両遺跡、今市船着き場跡などがあり、益田一帯を治めた豪族・益田氏の経済力の背景が同遺跡などを拠点に海外まで含めて行われた交易にあるとも指摘されている。
研究体制は、中司さんのほか、本多博之・広島大大学院教授▽長谷川博史・島根大教授▽西田友広・同編纂所助教。いずれも中世の物流や海運、水運、県内の文献史料の専門家。研究成果は論文として学会誌に投稿するほか、成果報告会を開いて市民に広く紹介する。
中司さんは「考古学的には貴重なものがたくさん出土しており、文献史学の立場から遺跡の時代背景や日本海、益田、高津両川による物流の実態などを明らかにしたい」と話している。