カネボウが化粧品を自主回収 回収コストより痛い信頼失墜
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利益率の高いスキンケアでのトラブルは痛手だ Photo:DW
「品質で失った信頼は、よりよい製品を作って回復するしかない」
夏坂真澄・カネボウ化粧品社長は沈痛な面持ちで語った。
カネボウ化粧品グループは4日、美白成分「ロドデノール」の配合された化粧品54商品を自主回収すると発表した。白斑と呼ばれる、肌がまだらに白くなるトラブルが確認されたという。皮膚科医からの指摘により調査し、39例のトラブルが把握できた。ブランシールスペリアなどの一部商品で、使用している顧客が25万人、個数は45万個という大規模なものになる。
痛手は大きい。自主回収に約50億円かかる。さらに対象商品の売上高は国内が50億円、海外が20億円(卸売りベース)であり、この売上高が削げ落ちることになる。それも利益率が高いスキンケア商品でのミスは相当手痛い。問題の成分は美白成分であり、代替製品を開発しようにも、主要成分であるため、それなしでは商品が成り立たない。何よりカネボウ全体のブランドイメージ悪化は必至だ。
この影響は親会社である花王にも及ぶ。2012年12月期(4〜12月の変則決算)のビューティケア事業(カネボウを含む)は、売上高4444億円、営業利益218億円で、利益率が低い「お荷物事業」といわれる。花王の化粧品「ソフィーナ」は赤字であり、利益面ではカネボウへの依存が大きかっただけに、立て直しは待ったなしだ。ただし信頼は簡単に回復できるものではなく、時間がかかりそうだ。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 野口達也)
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