大阪都構想
大阪都構想(おおさかとこうそう)とは、かつての東京府、東京市を東京都としたように大阪府、大阪市を廃止し、新たに大阪都を設置する構想である。近年は橋下徹大阪府知事(2011年10月31日付で辞任予定)と大阪維新の会が実現を目指している構想が知られている。
この構想では、政令指定都市である大阪市・堺市と大阪市周辺の市を廃止して特別区とし、特別区となった旧市の行政機能や財源を「大阪都」に移譲・統合することを目的とするという。従来から議論となっていた「大阪府と大阪市の二重行政の解消[1]」という点から、「(大阪)府市合併」または「府市統合」ということもある。
この構想では、政令指定都市である大阪市・堺市と大阪市周辺の市を廃止して特別区とし、特別区となった旧市の行政機能や財源を「大阪都」に移譲・統合することを目的とするという。従来から議論となっていた「大阪府と大阪市の二重行政の解消[1]」という点から、「(大阪)府市合併」または「府市統合」ということもある。
大阪府・大阪府下市町村の動き
「地方自治法の抜本改正の検討、地方政府基本法の制定に向けて、大阪から新たな自治制度を提案すべく、大都市制度のあり方について調査・研究を行うことを目的とする」大阪府自治制度研究会が橋下徹大阪府知事の肝入として2010年4月に発足し、2010年12月に意見の最終とりまとめを行ったが、大阪府自治制度研究会の最終会合では「大阪都構想の導入は困難」との見解で5人の委員が一致となり、府、大阪市による政策協議会を設置すべきと提案。
大阪府自治制度研究会の最終報告を受けた橋下徹大阪府知事は委員のポピュリズム批判に対して「有識者は制度に意見を述べればいい。政治的領域に踏み込むのは越権」と非難した。
大阪府議会・大阪市会・堺市議会の動き
大阪市会では大阪維新の会、公明党、自由民主党、民主党及び日本共産党の全会派により、大都市・税財政制度特別委員会において調査が行われ、議員間討論が行われた。
堺市議会では大都市行財政制度調査特別委員会において調査が行われている。
大阪20都区構想
大阪都構想については後述のとおり、戦後いくつか動きがあったが、本項では2010年に明らかになった橋下徹知事と大阪維新の会の構想を記載する。 2010年(平成22年)3月、橋下知事を代表とする「大阪維新の会」が発表した行政構想。大阪府全域を「大阪都」とし、大阪市・堺市を解消させ一体化させる大阪都構想を提唱した。2015年までの実現を目指している。
東京都をモデルとし、東京23区のように「大阪都20区」を設置。東京都23区を例にすれば20区内の固定資産税・法人税などの収入を都の財源とし、20区内の水道・消防・公営交通などの大規模な事業を都が行い、住民サービスやその他の事業は20区の独自性に任せる。
大阪20都区
現在の大阪市地域の24区を合併し8都区に、堺市は7つの区を3都区に再編。周辺9市も都区とし大阪都20区を新たに設置する。首長には選挙で選ばれる区長を置き、選挙で選ばれる区議会議員による区議会を設置する。
22.68 | 305,562 | 13,473 | 大阪市 |
33.81 | 300,907 | 8,900 | 大阪市 |
43.45 | 337,395 | 7,765 | 大阪市 |
18.14 | 298,420 | 16,451 | 大阪市 |
40.13 | 446,206 | 11,119 | 大阪市 |
21.13 | 357,371 | 16,913 | 大阪市 |
23.68 | 334,139 | 14,111 | 大阪市 |
19.09 | 286,371 | 15,001 | 大阪市 |
52.31 | 282,487 | 5,400 | 堺市 |
58.38 | 278,327 | 4,768 | 堺市 |
39.30 | 281,320 | 7,158 | 堺市 |
36.38 | 389,359 | 10,703 | 特例市 |
36.11 | 355,567 | 9,847 | 特例市 |
12.73 | 146,554 | 11,512 | |
41.71 | 268,652 | 6,441 | 特例市 |
16.66 | 124,400 | 7,467 | |
18.27 | 127,203 | 6,962 | |
12.28 | 130,368 | 10,616 | |
14.87 | 83,696 | 5,629 | |
61.81 | 509,632 | 8,313 | 中核市 |
622.92 | 5,643,936 | 9,060 | |
621.35 | 8,949,447 | 14,403 | |
1,894.31 | 8,862,896 | 4,679 |
※人口・面積は2010年(平成22年)国勢調査時点。市区順は市区町村コード順。大阪市区・堺市区の区割りは2010年3月の各種報道(読売テレビ『かんさい情報ネットten!』が報道した維新の会の内部資料)による[7]。
大阪都構想の利点
大阪市と堺市が合併し、大阪都になることによって行政が一つにまとまり、各区に予算を分配でき効率化が図れるものと推測する。そして首都機能を兼ね備えることにより、各地域に地下鉄等公共機関への延伸・新線を作ることによって利便性、生活性が高まり景気が上がる起爆剤になる。
それに万が一災害があっても副首都として機能し直ちに復興への指示・連絡、作業の効率化が高まる。
大阪都構想の欠点
- 大阪都構想のモデルとなっている東京都(特別区の地域には市長がおらず知事直轄)では、特別区のいくつかに自治権の拡大を目指して千代田市構想[10]や世田谷市構想あるいは基礎自治体連合といった都政(都の区)からの脱却の動きがある。また、戦前に導入が試みられ、その後、戦時体制という特殊状況下で国政によるトップダウン方式で成立した歴史を有する都区制度自体が、ボトムアップ方式である地方分権という、地域住民が主体となる新たな自治の時代において適正かつ妥当なモデルであるかが議論されている。
- 特別区へ税収を再分配する、東京都の財政調整制度を例にすれば、大阪都20区内の固定資産税・都市計画税・法人税などの収入を都の財源とするため、都による財源の再配分のあり方によっては特別区の財源が不足し、住民生活に密接した行政サービスが低下する可能性がある。
- 議員増や議会増によって議員報酬の総額や議会にかかる予算が増えることや、「大阪市と堺市の議員数が増えることにより議員になりやすい」と考える政治家が出てくるといった問題を指摘されている。この懸念に対して橋下知事は「区議を無報酬にすれば数を増やしても金はかからない」と述べているが、無報酬になれば相当の収入がある人や資産家などしか区議会議員になれず、金持ちしかなれない仕組みになるのではと指摘されている。また、地方自治法203条では、「議会の議員に対し、議員報酬を支給しなけばならない」と議員報酬の支給が義務づけられていて、議会の議員を無報酬とすることができない。