環境汚染犯罪 司法解釈で厳罰化 避難、中毒など具体的基準を明記 (1/2ページ)
2013.7.10
中国最高人民法院(最高裁)と最高人民検察院(最高検)はこのほど、環境汚染に絡む犯罪の量刑基準を定めた司法解釈「環境汚染刑事案件の審理に適用する法律に関する若干問題についての解釈」の施行について説明した。
◆汚染水も判断容易
これを受けて江蘇省環境保護庁法規処の劉海東副所長は「環境汚染罪に刑罰を科す際の妨げが取り除かれた」と評価する。以前は、どのような汚染事件であれば司法機関に移管すべきかが不明確だったが、今回の「解釈」には(1)危険廃棄物3トン以上を不法処理した(2)30万元(約495万円)以上の財産損失を与えた(3)5000人以上が避難した(4)30人以上が中毒になった-といった具体的な基準が明記されているからだ。
有罪判決を下す根拠が不明確だった汚染水の排出による地下水の汚染についても、司法の判断が容易になった。環境部門が行う大気や水質、土壌の観測データに変化があれば、これが環境汚染罪の証拠となり、客観的事実が認定されるからだ。
「解釈」ではまた、犯罪に対する厳罰化も明記している。最高人民法院研究室の胡雲騰主任は「『寛大さと厳格さを調和させた刑事政策』の原則は堅持する」とした上で、「汚染状況の深刻さを考慮すると、厳罰化はやむを得ない」と強調した。
その具体策の一つは、環境汚染罪を適用する判断基準を引き下げ、全体的に罰則を強化することだ。例えば、以前は環境汚染で「1人以上が死亡した場合に有罪」となっていた部分が、今後は「1人以上が重傷となった場合に有罪」に変わり、「3人以上が死亡した場合に重罪」となっていた部分も「1人以上が死亡した場合に重罪」と変更された。
もう一つは、環境汚染が起きた「結果」から量刑などを行っていたが、今後は「行為」によって判断する。例えば、飲料水1級保護区や自然保護区における汚染水の排出や、放射性物質を含む廃棄物、感染性廃棄物の放置といった行為は、今後、被害報告がなくても有罪になり得るという。