カネミ油症:損賠訴訟 「正義ある判決を」 五島市の会、高裁に要望へ /長崎
毎日新聞 2013年06月02日 地方版
五島市内で集中的に発生した国内最大級の食品公害「カネミ油症事件」の被害者団体「カネミ油症五島市の会」(矢口哲雄会長)は1日、総会を開いた。1989年以降の新認定患者が原因企業のカネミ倉庫(北九州市)などを相手に損害賠償(患者1人当たり1000万円)を求めた訴訟で、福岡高裁への要望書を採択した。
同訴訟は福岡地裁小倉支部が3月、「除斥期間(20年)を超えている」として原告の請求を棄却した。要望書では「症状の全容が未解明のカネミ油症に除斥期間を適用するのは社会正義に反する」として、「正義ある判決を」高裁に求めた。近く福岡高裁に送るとともに、被害者団体や支援団体と連携して署名運動も全国展開する。
また13年度事業計画も承認した。
主な内容は
(1)健康調査や各種請求業務の専門職員を市町村に配置
(2)五島中央病院に油症外来を常時開設
(3)支援団体と連携して被害者の要望を国や加害企業に伝える
(4)認定基準の見直し−−など。
6月21日に福岡市である国、加害企業、被害者団体の3者協議に提出する議案も決めた。
救済法が制定されて初の総会で関係者ら約50人が参加。五島市によると、市内在住の認定患者は、救済法により事件当時、認定患者と同居していた家族73人が新たに認定され、計300人になった(5月13日現在)。