中国の対米サイバー攻撃拠点は海南島の人民解放軍 米機関が断定
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【ワシントン=古森義久】昨年から今年にかけて米国の政府・軍機関や民間企業に対して頻発したサイバー攻撃の発信源は中国人民解放軍の海南島基地だと断定する報告が米国の民間研究機関から発表された。中国政府はかねてから自国は無関係と主張してきたが、米国やカナダの政府機関などの情報も基にした報告は、中国南端の海南島に施設をおく中国軍こそが諸外国のコンピューター・システムに侵入した「犯人」だとしている。
米国とカナダの政府や民間機関が得た情報を基に「メディアス・リサーチ」独自の情報や分析を加えて作成された報告は、「米国やその他の諸国の各種機関にここ数カ月、行われたサイバー攻撃のうち単一で最大の発信源は海南島に拠点をおく中国人民解放軍の陸水信号部隊(隊員合計約1100人)であることが判明した」と結論づけた。
米国各機関へのサイバー攻撃は官民のコンピューター、インターネットへの侵入で秘密情報を獲得することを目的としており、米側の軍事情報だけでなく民間企業の秘密情報や技術を不正に入手する手段とされている。米検索大手グーグルは中国側からサイバー攻撃をかけられたとして公式に抗議した。
米国議会上院ではすでにテッド・カウフマン議員(民主党)が中国政府に自国内からのサイバー攻撃についての調査を早急に実施し、その結果を米国に伝えることを求める決議案を提出した。
報告はさらに、発信源は具体的には「海南テレコム」と認定された例が多いが、「海南テレコム」は事実上、陸水信号部隊と同一であり、攻撃の標的は米国や台湾の軍事関連施設、チベット、ウイグルの関連施設など、中国政府にとって関心の高い組織がほとんどだったと指摘した。
また、海南島には潜水艦の地下基地や空軍基地など大規模な軍事施設が存在することが以前から知られており、陸水信号部隊は人民解放軍総参謀部第三部の指揮下で秘密裏に育成され、サイバー戦争用の部隊ともされているとの分析も披露した。