上昇する首都の地下水 浮く東京駅、都営地下鉄は漏水2100カ所
2013.6.16 12:00(1/3ページ)
東京の地下水位の上昇が止まらない。高度成長期の地下水くみ上げによって深刻化した地盤沈下を防ごうと、国や都は半世紀にわたり地下水くみ上げを規制してきたが、今度は水量が戻り、浮力で地下にある建物が浮き上がったり、インフラ劣化を引き起こしたりする弊害が出始めた。過ぎたるは及ばざるがごとし-。地下水問題は「規制」のあり方を問いかけている。(玉崎栄次)
JR東京駅の地下約27メートルにある総武快速・横須賀線ホーム。昭和47年に建設された当時、地下35メートルだった水位は20メートルも上昇し、ホームを基準にすると12メートルの高さに達した。そこで、長さ約19・5メートル、重さ200キロの鋼鉄製の棒状のアンカー(いかり)計70本をホーム直下の地中に打ち込み、ホームが浮上しないようにつなぎ止めている。
地下約30メートルにある上野駅の新幹線ホームも同様だ。水圧による浮き上がりを防ぐため、ホーム下に一つが約2トンの鉄塊を約1万8千個も置いている。総重量は計3・7万トンに上る。さらに約980本のアンカーでつなぎとめ、二重の対策を施している。
コンクリートは腐食し…
都営三田線で今年3月、4カ所でトンネル壁面の内部の鉄筋が腐食し、コンクリートがはがれ落ちているのが見つかった。この原因も地下水だった。
三田線は地下約5~36メートルを走行する。トンネル壁面を覆うシート状の防水材が老朽化して水がしみ出してきたもので、都が緊急調査をしたところ、都営地下鉄全線で約2100カ所の漏水部分が発見され、補修を急いでいる。