また分館として、2002年から2004年にかけてマンハッタンの本館が工事中のときに利用されていた施設をそのまま利用したクイーンズ分館 (MoMA QNS) と、より現代的・実験的な作品を展示する美術館であるP.S.1がある。
彫刻庭園をはさみ、谷口吉生設計の新館を見る |
写真はMoMA美術館の別館PS1の展示作品。
創立・収集・展示
近代美術館設立の構想は、L.P.ブリス、C.J.サリヴァン夫人およびJ.D.ロックフェラー2世夫人という3人の女性によって発案され、[1]開館したのは1929年である。日本の時代区分でいえば昭和のごく初期に早くも前衛美術専門の美術館の設立が構想されていたことは注目される。
開館第1回展は「セザンヌ、ゴーギャン、スーラ、ゴッホ展」であった。このことは、印象派の次の世代(ポスト印象派)にあたる画家の彼らが当時の「前衛」であり、20世紀以後の「現代美術」の最初の画家たちであったことを象徴している。第1回展の展示風景の記録写真を見れば、19世紀式のサロン風の展示ではなく、昨今の美術館にみられるような、ニュートラルな白い壁面(ホワイトキューブ)に絵画が掛けられているが、これも当時としては斬新であった。
以後、建築や前衛美術についての意欲的な企画展を連発しながらいちはやく優品の収蔵を進めていった。
戦後、1952年にはインターナショナル・プログラムを早くも発足。この機関はMoMAによって構成される「MoMAインターナショナル・カウンシル」が経済支援のネットワークを盤石にし、世界各国の美術館関係者と人的ネットワークを構築し交流するプログラムを定期的に設け、巡回の受け入れ先を確保し、コレクションの貸し出しで報酬を得る。
これらは実に優れた交流機関であり、美術館経営に効果的な事業スキームを持つ。MoMAの理事会には経済界で強力なリーダーシップを持ったロックフェラー家のような名士が名を多く連ねており、彼らは率先して資金調達を成し遂げる。
2005年の新館完成に伴い入場料が12ドルから20ドルへ値上げされ、これはニューヨーク市の美術館のなかでは最も高い入場料でもあり、MoMAがニューヨークにもたらす波及効果と共にさまざまな賛否両論を巻き起こした。なお、毎週金曜日の午後 4時以降は Target Friday と呼ばれ、入場料は無料になる。
10万点以上の所蔵品を誇るMoMAは、近現代美術の殿堂として、活発な活動を続けている。