概要
相模湾においては、フィリピン海プレートが陸のプレート(北アメリカプレート)の下に沈み込んでいて、相模湾西部から房総半島南方30kmを通り三宅島東方200km付近までは海底の谷状地形が続くプレート境界「相模トラフ」を形成している。
この相模トラフの北側の幅80km - 150kmの領域を震源域として、1703年12月31日(元禄16年11月23日)の元禄地震(M8.1)、1923年(大正12年)9月1日の関東地震(関東大震災)(M7.9)などのマグニチュード8級の巨大地震が推定200 - 400年間隔で発生していて、これらを総称して関東地震と呼ぶ。
南関東の特殊性と高いリスク
1位 | 東新宿駅 | 1.31 | 1位 | 秋葉原駅 | 1.85 |
1位 | 代々木駅 | 1.31 | 1位 | 水道橋駅 | 1.85 |
3位 | 池袋駅 | 1.32 | 3位 | 浜松町駅 | 1.74 |
4位 | 新宿駅 | 1.33 | 4位 | 東京駅 | 1.74 |
5位 | 四ッ谷駅 | 1.34 | 5位 | 神田駅 | 1.69 |
マグニチュード7級の地震が時折発生するという点では、南関東も日本の他の地域も同様である。
まず、関東地方には日本の他の地域と同様に地表近くに活断層が存在すると同時に、地下では相模トラフ付近だけではなく、群馬県南部・栃木県南部までプレートの境界が存在し、そこでも地震が発生する。北関東では震源が深いため揺れが減衰されるが、南関東では震源が浅いため強い揺れが起こる。しかも、南関東では地表を覆う大陸プレート(北アメリカプレート, NA)の下に南から海洋プレート(フィリピン海プレート, PH)が沈み込み、さらにその下に東から海洋プレート(太平洋プレート, PA)が沈み込んでいる複雑な構造であり、プレート間の相対運動速度はNA-PH間4 - 5cm/年・NA-PA間8 - 10cm/年と世界的にも比較的速いため、必然的に地震の確率は高くなる。
また、関東平野は埼玉北部・東部、東京東部、神奈川東部、千葉北部・中部、茨城南部まで広がっており、第四紀以降の堆積物に厚く覆われていて(最も深い東京湾付近で3,000m程度)揺れが反射・増幅されやすく、政府発表の「表層地盤のゆれやすさ全国マップ」(2005年)においても南関東の大部分が揺れやすい地域とされている。特に、東京湾岸や荒川・利根川流域などは揺れの増幅率(表層地盤増幅率)が高い地域に分類されており、都心部でも東側は地盤が弱い(表参照)。
世界最大の再保険会社であるミュンヘン再保険が2002年に発表した、大規模地震が起きた場合の経済的影響度を含めた世界主要都市の自然災害の危険度ランキングでは、東京・横浜が710ポイントと1位で、167ポイントで2位のサンフランシスコと大差がつき、首都圏での震災を含めた災害リスクの高さが表れている。
また、周辺を含めた首都圏にも横浜市・川崎市・相模原市・千葉市・さいたま市などの大都市があり全体的に人口密度が高く、京浜工業地帯・京葉工業地域・鹿島臨海工業地帯などの工業地域、横浜港・川崎港・千葉港などの重要港湾機能がある。このように人口や機能の集中する首都圏において大地震が発生し、その機能が麻痺状態に陥った場合のリスクは極めて高いものと想定されており、これが他地方への首都機能移転を主張する意見の一根拠にも用いられている。
地震名 | 年 | 震央 | 深さ | 規模 | 被害 |
寛永小田原地震 | 1633年 | 相模湾西部(小田原市沖) | 不明 | 7.0 | 死者150名、負傷者多数 |
元禄関東地震 | 1703年 | 野島崎沖 | 23km[注 3] | 8.1-8.4 | 死者1万余名、負傷者多数 |
天明小田原地震 | 1782年 | 神奈川県西部 | 不明 | 7.0 | 死者、負傷者あり |
嘉永小田原地震 | 1853年 | 神奈川県西部 | 不明 | 6.7 | 死者100名、負傷者多数 |
安政江戸地震 | 1855年 | 東京湾周辺 | 不明、諸説有 | 6.9-7.4 | 死者7444名-1万名、負傷者多数 |
(新島・神津島近海の地震) | 1890年 | 新島・神津島近海 | 30km以浅 | 6.8 | 負傷者1名 |
(山梨県東部の地震) | 1891年 | 山梨県東部 | 30km以浅 | 6.5 | 負傷者1名 |
明治東京地震 | 1894年 | 東京湾付近(荒川河口付近) | 80km程度 | 7.0 | 死者31名、負傷者197名 |
(東京湾付近の地震) | 1894年 | 東京湾付近(中央防波堤付近) | 80km以深 |