ドラッカー学会より
マネジメントに関するコンセプトやスキルとは8 割以上がドラッカー由来であり、多くの経営学者、マーケティング、戦略の専門家がそのことを事実として受け入れている。
マーケティングの大家、セオドア・レヴィットが、ドラッカーの剽窃者をもって自ら任じていたのがその典型である。ドラッカーの弟子には何通りかあって、ドラッカーの体系を意識的に発展させた人、特に何も言わず自らのものとする人、ひいては自らの登録商標としてしまう人などさまざまである。
だが、そのようなことが出てくるのには原因がある。発展させる人々に共通するのは、マネジメントをスキルの問題とともにフレームワークの問題、すなわち世界観の問題と捉えている。
言い換えると、マネジメントとはスキルでない無数のものを含んでいる。そこには必ず世界観、思想や哲学がある。何ごとも手段だけを発展させることはできない。
旅行に行くという目的は共通でも、そこにいたるのにはいくつもの方法がある。飛行機でも船でも行ける。夜行列車でも行けるし、新幹線を乗り継いでも行ける。はじめから鈍行でも行ける。ひいては自転車や徒歩でも時間さえかければ行くことができる。
だが、確かなのは目的地に到達するための手段のなかに、その人の旅への考え方、あるいは人生観が確実に反映されている。スキルもそのようなものだ。そして、その背後には、コントラバスの重奏のように常にフレームワーク、思想といったものが鳴り響いている。
そこが知の巨人ドラッカーの本質である。