平成26年6月5日
中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見の提出について(お知らせ)
環境省は、5日、東海旅客鉄道株式会社が実施予定の中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見を国土交通大臣に提出した。
本事業は、東京都と名古屋市の間約286km(地上部40km、トンネル部246km)を、超伝導リニアにより結ぶものであるが、その事業規模の大きさから本事業に伴い相当な環境負荷が生じることが懸念される。
このため、環境大臣意見では、環境への影響を最大限、回避・低減されるよう、以下の事項について対応を求めている。
・低炭素・循環・自然共生が統合化された社会に向け十全な措置を行うこと。
・地方公共団体や住民の関与について十全を期すこと。
・本事業について、また、事業者全体として、再エネや省エネ設備の導入計画(できる限り定量的な削減目標)を策定し、計画的に温室効果ガス排出を削減すること。また、他事業者と連携し更なる排出削減に最大限取り組むこと。
・水量の変化等、本事業が水資源に影響を及ぼす可能性が確認された場合、応急対策を講じた上で恒久対策を講じること。また、湧水については、水質、水量等を管理し、適正に処理すること。
・南アルプス国立公園及び拡張予定地の影響をできる限り回避すること。また、クマタカ等の希少猛禽類の繁殖活動への影響の回避・低減すること。
・発生土を抑制すること。発生土置場は、自然度の高い区域等を回避して選定し、地方公共団体と協議して管理計画を策定すること。
・発生土の譲渡先が講じるべき措置を伝達すること。
・地域特性に応じて大気質、騒音、振動、土壌のモニタリングと措置を実施すること。
1.背景
環境影響評価法は、新幹線鉄道の設置又は改良の工事を対象事業としており、環境大臣は、環境影響評価書(※)について、国土交通大臣等からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
本件は、東京都と名古屋市間を結ぶ中央新幹線に係る環境影響評価書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
今後、国土交通大臣から事業者である東海旅客鉄道株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者である東海旅客鉄道株式会社は、意見の内容を検討し、必要に応じて見直した上で評価書を確定し、公告縦覧等を行うこととなる。
※環境影響評価書:環境影響評価の結果について記載した準備書に対する意見を踏まえて、必要に応じてその内容を修正した文書。
環境影響評価法は、新幹線鉄道の設置又は改良の工事を対象事業としており、環境大臣は、環境影響評価書(※)について、国土交通大臣等からの照会に対して意見を述べることができるとされている。
本件は、東京都と名古屋市間を結ぶ中央新幹線に係る環境影響評価書について、この手続きに沿って意見を提出するものである。
今後、国土交通大臣から事業者である東海旅客鉄道株式会社に対して、環境大臣意見を勘案した意見が述べられ、事業者である東海旅客鉄道株式会社は、意見の内容を検討し、必要に応じて見直した上で評価書を確定し、公告縦覧等を行うこととなる。
※環境影響評価書:環境影響評価の結果について記載した準備書に対する意見を踏まえて、必要に応じてその内容を修正した文書。
2.事業の概要
本事業は、東京都港区と愛知県名古屋市の間、約286kmを超伝導リニアにより結ぶものである。首都圏及び中京圏の市街地では、大深度地下を利用し、その他区間も河川以外は、ほとんどトンネルにより通過する。
本事業の事業規模は極めて大きく、本事業の実施に伴い、トンネル工事により生ずる湧水に起因する地下水位の低下や河川流量の減少、供用時に利用するエネルギー負荷の増加、希少動植物への影響、騒音振動や大気質への影響等の環境影響が生じる懸念がある。
本事業は、東京都港区と愛知県名古屋市の間、約286kmを超伝導リニアにより結ぶものである。首都圏及び中京圏の市街地では、大深度地下を利用し、その他区間も河川以外は、ほとんどトンネルにより通過する。
本事業の事業規模は極めて大きく、本事業の実施に伴い、トンネル工事により生ずる湧水に起因する地下水位の低下や河川流量の減少、供用時に利用するエネルギー負荷の増加、希少動植物への影響、騒音振動や大気質への影響等の環境影響が生じる懸念がある。
3.環境大臣意見の概要
環境大臣意見の概要は、以下のとおりである。なお、環境大臣意見の取りまとめに当たっては、大同大学の大東教授及び静岡大学の増澤特任教授から助言をいただいた(別紙2参照)。
環境大臣意見の概要は、以下のとおりである。なお、環境大臣意見の取りまとめに当たっては、大同大学の大東教授及び静岡大学の増澤特任教授から助言をいただいた(別紙2参照)。
(1)前文
・本事業により相当な環境負荷が発生。低炭素・循環・自然共生が統合化された社会に向け、環境保全について十全な措置を行うことが本事業の前提。
・地方公共団体や住民の関与について十全を期すこと。
・国土交通大臣は、適切な環境保全配慮がなされるよう、事業者に対して適切な指導を行うこと。
・本事業により相当な環境負荷が発生。低炭素・循環・自然共生が統合化された社会に向け、環境保全について十全な措置を行うことが本事業の前提。
・地方公共団体や住民の関与について十全を期すこと。
・国土交通大臣は、適切な環境保全配慮がなされるよう、事業者に対して適切な指導を行うこと。
(2)総論
・土地の改変は必要最小限とし、環境影響の回避・低減に必要な措置、モニタリング、事後調査を適切に実施。
・工事期間が長期にわたることから、状況の変化を踏まえ、評価項目を再検討し、追加的な調査予測及び評価を行い、適切な措置を講じる。
・土地の改変は必要最小限とし、環境影響の回避・低減に必要な措置、モニタリング、事後調査を適切に実施。
・工事期間が長期にわたることから、状況の変化を踏まえ、評価項目を再検討し、追加的な調査予測及び評価を行い、適切な措置を講じる。
(3)各論
【1】温室効果ガス
・本事業の実施に当たっては、本事業について、また、事業者全体として、再生可能エネルギーや省エネ設備の導入計画(定量的な削減目標を可能な限り設定)を策定し、計画的に温室効果ガス排出量を削減。
・供用時に調達する電力は可能な限り再生可能エネルギーとするとともに、省エネを徹底し、増加する温室効果ガスを最大限抑制。
・工事時の省エネや再生可能エネルギーの利用を徹底。
・事業者全体として、再生可能エネルギーや省エネ化設備の導入計画(定量的な削減目標を可能な限り設定)を策定。計画的に温室効果ガス排出量を削減。また、省エネや技術開発等の長期的な温室効果ガス排出削減対策を実施。
・さらなる温室効果ガス排出削減を図るため、他の事業者と連携し、効果的な方策に最大限取り組むこと。
【1】温室効果ガス
・本事業の実施に当たっては、本事業について、また、事業者全体として、再生可能エネルギーや省エネ設備の導入計画(定量的な削減目標を可能な限り設定)を策定し、計画的に温室効果ガス排出量を削減。
・供用時に調達する電力は可能な限り再生可能エネルギーとするとともに、省エネを徹底し、増加する温室効果ガスを最大限抑制。
・工事時の省エネや再生可能エネルギーの利用を徹底。
・事業者全体として、再生可能エネルギーや省エネ化設備の導入計画(定量的な削減目標を可能な限り設定)を策定。計画的に温室効果ガス排出量を削減。また、省エネや技術開発等の長期的な温室効果ガス排出削減対策を実施。
・さらなる温室効果ガス排出削減を図るため、他の事業者と連携し、効果的な方策に最大限取り組むこと。
【2】水環境
・地下水位や河川流量について、精度の高い予測を実施、影響を最小限化する工法を採用。
・工事実施前から地下水位や河川流量を把握。工事実施後までモニタリングを実施。
・水資源に影響を及ぼす可能性が確認された場合は、まず応急対策を講じた上で、恒久対策としての措置を実施。
・湧水については、水質、水量等を管理し、適正に処理。湧水を放流する際には、表流水への影響を回避・低減すべく、できるだけ多地点で放流。
・沢及び河川等の表流水からの工事用取水を最小化することにより、生態系への影響を回避・低減。
・地下水位や河川流量について、精度の高い予測を実施、影響を最小限化する工法を採用。
・工事実施前から地下水位や河川流量を把握。工事実施後までモニタリングを実施。
・水資源に影響を及ぼす可能性が確認された場合は、まず応急対策を講じた上で、恒久対策としての措置を実施。
・湧水については、水質、水量等を管理し、適正に処理。湧水を放流する際には、表流水への影響を回避・低減すべく、できるだけ多地点で放流。
・沢及び河川等の表流水からの工事用取水を最小化することにより、生態系への影響を回避・低減。
【3】動物・植物・生態系
・南アルプス国立公園及び拡張予定地の影響をできる限り回避。
・ユネスコエコパーク登録申請地の資質を損なうことがないよう配慮。
・クマタカ等の希少猛禽類の繁殖活動への影響の回避・低減。
・河川流量の減少に伴うヤマトイワナ等の水生生物について、水系ごとの生息状況等のモニタリングと措置を実施。
・サンショウウオ類等の移動力が低い動物について、移動経路の確保及び移植等の措置を実施。
・夜間照明等による野生生物への影響を把握。
・希少な植物について、生息地の回避を原則とし、移植等は計画を作成し実施。
・南アルプス国立公園及び拡張予定地の影響をできる限り回避。
・ユネスコエコパーク登録申請地の資質を損なうことがないよう配慮。
・クマタカ等の希少猛禽類の繁殖活動への影響の回避・低減。
・河川流量の減少に伴うヤマトイワナ等の水生生物について、水系ごとの生息状況等のモニタリングと措置を実施。
・サンショウウオ類等の移動力が低い動物について、移動経路の確保及び移植等の措置を実施。
・夜間照明等による野生生物への影響を把握。
・希少な植物について、生息地の回避を原則とし、移植等は計画を作成し実施。
【4】人と自然との触れ合い
・工事車両の運行計画の調整等により登山者への影響を回避・低減。
・長期間の工事であることから、その影響を評価し、措置を実施。
・工事車両の運行計画の調整等により登山者への影響を回避・低減。
・長期間の工事であることから、その影響を評価し、措置を実施。
【5】廃棄物等
・発生土を抑制。地方公共団体と協議して管理計画を作成、適切に管理。
・発生土置場は、動植物の生息生育地や自然度の高い区域等を回避。
・発生土の譲渡先が講じるべき措置を伝達する等の措置を実施。
・廃棄物の発生抑制と再生利用、適正処理を徹底。
・発生土を抑制。地方公共団体と協議して管理計画を作成、適切に管理。
・発生土置場は、動植物の生息生育地や自然度の高い区域等を回避。
・発生土の譲渡先が講じるべき措置を伝達する等の措置を実施。
・廃棄物の発生抑制と再生利用、適正処理を徹底。
【6】大気・騒音・振動
・地域の特性に応じた大気質、騒音、振動のモニタリングと措置を実施。
・走行条件の変更時等の予測の前提条件が変更した場合には、追加的な予測調査と措置を実施。
・地域の特性に応じた大気質、騒音、振動のモニタリングと措置を実施。
・走行条件の変更時等の予測の前提条件が変更した場合には、追加的な予測調査と措置を実施。
【7】土壌
・工事に伴い生じる自然由来の重金属等に汚染された土壌について、モニタリングと措置を実施。
・工事に伴い生じる自然由来の重金属等に汚染された土壌について、モニタリングと措置を実施。
【参考】
○事業概要
・事 業 者:東海旅客鉄道株式会社
・事 業 地:東京都港区~愛知県名古屋市
・事業規模:286km(山梨実験線含む)
・設計最高速度:505km/時
○事業概要
・事 業 者:東海旅客鉄道株式会社
・事 業 地:東京都港区~愛知県名古屋市
・事業規模:286km(山梨実験線含む)
・設計最高速度:505km/時
○環境影響評価に係る手続
・平成26年4月23日 国土交通省から環境大臣へ意見照会
・平成26年6月 5日 環境大臣意見の提出
・平成26年4月23日 国土交通省から環境大臣へ意見照会
・平成26年6月 5日 環境大臣意見の提出
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中央新幹線(東京都・名古屋市間)に係る環境影響評価書に対する環境大臣意見
中央新幹線(東京都・名古屋市間)(以下「本事業」という。)は、東海旅客鉄道株
式会社(以下「本事業者」という。)が、東京都港区と愛知県名古屋市の間(約286km
(地上部:40km、トンネル部:246km))を超電導リニアにより結ぶものである。
本事業は、その事業規模の大きさから、本事業の工事及び供用時に生じる環境影響
を、最大限、回避、低減するとしても、なお、相当な環境負荷が生じることは否めな
い。
例えば、本事業のほとんどの区間はトンネルで通過することとなっているが、多く
の水系を横切ることとなることから、地下水がトンネル湧水として発生し、地下水位
の低下、河川流量の減少及び枯渇を招き、ひいては河川の生態系に不可逆的な影響を
与える可能性が高い。特に、山梨県から長野県にまたがる地域の一部は、我が国を代
表する優れた自然の風景地として南アルプス国立公園に指定されており、また、ユネ
スコエコパークとしての利用も見込まれることから、当該地域の自然環境を保全する
ことは我が国の環境行政の使命でもある。
また、本事業の供用時には現時点で約27 万kW と試算される大量のエネルギーを必
要としているが、現在我が国が、あらゆる政策手段を講じて地球温暖化対策に取り組
んでいる状況下、これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない。供用時
におけるエネルギー消費量の低減と調達するエネルギーのグリーン化等を行い、大規
模事業者として、温室効果ガスの排出低減に向けて主体的な役割を果たすことが不可
欠である。
要としているが、現在我が国が、あらゆる政策手段を講じて地球温暖化対策に取り組
んでいる状況下、これほどのエネルギー需要が増加することは看過できない。供用時
におけるエネルギー消費量の低減と調達するエネルギーのグリーン化等を行い、大規
模事業者として、温室効果ガスの排出低減に向けて主体的な役割を果たすことが不可
欠である。
この他にも、トンネルの掘削に伴い多量に発生する発生土の適正な処理、希少動植
物の生息地・生育地の保護、工事の実施に伴う大気汚染、騒音・振動対策等、本事業
の実施に伴う環境影響は枚挙に遑がない。
技術の発展の歴史を俯瞰すれば、環境の保全を内部化しない技術に未来はない。こ
のため、低炭素・循環・自然共生が統合的に達成される社会の具現化に向け、本事業
の実施に当たっては、次の措置を講じることにより、環境保全について十全の取組を
行うことが、本事業の前提である。
のため、低炭素・循環・自然共生が統合的に達成される社会の具現化に向け、本事業
の実施に当たっては、次の措置を講じることにより、環境保全について十全の取組を
行うことが、本事業の前提である。
なお、言うまでも無く、本事業は関係する地方公共団体及び住民の理解なしに実施
することは不可能である。このため、事業の円滑な実施及び供用に向け、本事業の今
後の検討及び実施に当たっては、関係する地方公共団体の意見を十分に勘案し、環境
影響評価において重要な住民関与についても十全を期すことが必要である。
することは不可能である。このため、事業の円滑な実施及び供用に向け、本事業の今
後の検討及び実施に当たっては、関係する地方公共団体の意見を十分に勘案し、環境
影響評価において重要な住民関与についても十全を期すことが必要である。
さらに、国土交通大臣におかれては、本事業者が十全な環境対策を講じることによ
り、本事業に係る環境の保全について適切な配慮がなされることが確保されるよう、
本事業者に対して適切な指導を行うことを求める。
2.2 水環境(水質、地下水、水資源)
トンネル部の地下水位データは少なく、山梨リニア実験線区間での河川流量観測結
果のみでは、地下水位や水環境に関する予測の不確実性は高い。また、特に山岳トン
ネル区間には、多数の断層が確認されており、断層や破砕帯等の透水性が高い部分か
ら大量の湧水が生ずる可能性がある。地下水位の低下並びに河川流量の減少及びこれ
に伴い生ずる河川の生態系や水生生物への影響は、重大なものとなるおそれがあり、
また、事後的な対応措置は困難である。
トンネル部の地下水位データは少なく、山梨リニア実験線区間での河川流量観測結
果のみでは、地下水位や水環境に関する予測の不確実性は高い。また、特に山岳トン
ネル区間には、多数の断層が確認されており、断層や破砕帯等の透水性が高い部分か
ら大量の湧水が生ずる可能性がある。地下水位の低下並びに河川流量の減少及びこれ
に伴い生ずる河川の生態系や水生生物への影響は、重大なものとなるおそれがあり、
また、事後的な対応措置は困難である。
このことを踏まえ、以下の対策を講じること。
(1)精度の高い予測の実施及び水系への影響の回避
山岳トンネル部の湧水対策は、事前に精度の高い予測を行った上で対策を検討し
ておく必要があることから、特に巨摩山地から伊那山地までの区間においては、本
線及び非常口のトンネル工事実施前に、三次元水収支解析を用いてより精度の高い
予測を行い、その結果に基づき、地下水位及び河川流量への影響を最小化できるよ
う水系を回避又は適切な工法及び環境保全措置を講じること。
(1)精度の高い予測の実施及び水系への影響の回避
山岳トンネル部の湧水対策は、事前に精度の高い予測を行った上で対策を検討し
ておく必要があることから、特に巨摩山地から伊那山地までの区間においては、本
線及び非常口のトンネル工事実施前に、三次元水収支解析を用いてより精度の高い
予測を行い、その結果に基づき、地下水位及び河川流量への影響を最小化できるよ
う水系を回避又は適切な工法及び環境保全措置を講じること。
また、愛知県及び岐阜県については、予測検討範囲内の湿地について、それぞれ
その水理的な成立要因を明らかにした上で、工事着手までに、トンネル工事が湿地
に与える環境影響について予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。
その水理的な成立要因を明らかにした上で、工事着手までに、トンネル工事が湿地
に与える環境影響について予測及び評価を行い、適切な環境保全措置を講じること。
(2)湧水の最小限化等工法の検討
本線、先進坑及び非常口(山岳部)のトンネルにおいては、防水シートや覆工コ
ンクリートの早期かつ適切な施工、必要に応じて防水型トンネルの施工等を行うこ
と。
特に、非常口(山岳部)から本線トンネルに至るトンネルは、地上部から地下の
深層まで到達し、その過程で浅層地下水の帯水層や浅層地下水と深層地下水を隔て
る不透水層を貫通し、浅層地下水位の低下や河川流量に影響を及ぼす可能性がある
ことから、各非常口(山岳部)のトンネル掘削に際しては、あらかじめ、地下水位
の調査を行い、その結果を踏まえ非常口トンネルの防水工の必要性を検討すること。
また、トンネル掘削時に行う地質調査により得られる実際の断層や破砕帯の状況
等の地質情報を環境保全措置の検討に反映させること。
本線、先進坑及び非常口(山岳部)のトンネルにおいては、防水シートや覆工コ
ンクリートの早期かつ適切な施工、必要に応じて防水型トンネルの施工等を行うこ
と。
特に、非常口(山岳部)から本線トンネルに至るトンネルは、地上部から地下の
深層まで到達し、その過程で浅層地下水の帯水層や浅層地下水と深層地下水を隔て
る不透水層を貫通し、浅層地下水位の低下や河川流量に影響を及ぼす可能性がある
ことから、各非常口(山岳部)のトンネル掘削に際しては、あらかじめ、地下水位
の調査を行い、その結果を踏まえ非常口トンネルの防水工の必要性を検討すること。
また、トンネル掘削時に行う地質調査により得られる実際の断層や破砕帯の状況
等の地質情報を環境保全措置の検討に反映させること。
(3)湧水の適正処理
トンネル掘削により生じた湧水の排水については、工事計画の策定段階で、具体
的に排出場所、排出方法並びに水質、水量及び水温の管理方法等を明らかにした上
で、適正に処理すること。また、湧水及び処理後の湧水について沢や河川等の表流
水に放流することを検討する際には、水質や水量を検討した上で、専門家等及び関
係地方公共団体と協議し、できる限り表流水への影響を回避、低減すべく多地点で
放流する計画とすること。
トンネル掘削により生じた湧水の排水については、工事計画の策定段階で、具体
的に排出場所、排出方法並びに水質、水量及び水温の管理方法等を明らかにした上
で、適正に処理すること。また、湧水及び処理後の湧水について沢や河川等の表流
水に放流することを検討する際には、水質や水量を検討した上で、専門家等及び関
係地方公共団体と協議し、できる限り表流水への影響を回避、低減すべく多地点で
放流する計画とすること。
(4)事業前後におけるモニタリングの実施
地下水位の低下及び河川流量の減少が生ずる可能性のある地域として、予測及び
評価において設定した予測検討範囲に、断層や破砕帯の性状や連続性を加味した地
域において、工事実施前から、地下水位及び河川流量の把握を継続的に行うととも
に、工事実施中から工事実施後の適切な時期までモニタリングを実施すること。特
に、河川流量の把握については、水系ごとに、流量の少ない源流部や支流部を含む
複数の調査地点を設定すること。
また、地下水位や河川流量に影響が生じている可能性が確認された場合は、まず
応急対策を講じた上で、恒久対策としての環境保全措置を講じること。
地下水位の低下及び河川流量の減少が生ずる可能性のある地域として、予測及び
評価において設定した予測検討範囲に、断層や破砕帯の性状や連続性を加味した地
域において、工事実施前から、地下水位及び河川流量の把握を継続的に行うととも
に、工事実施中から工事実施後の適切な時期までモニタリングを実施すること。特
に、河川流量の把握については、水系ごとに、流量の少ない源流部や支流部を含む
複数の調査地点を設定すること。
また、地下水位や河川流量に影響が生じている可能性が確認された場合は、まず
応急対策を講じた上で、恒久対策としての環境保全措置を講じること。
(5)工事用水の取水の最小化
工事に伴う沢及び河川等の表流水からの取水は、生態系への影響が懸念されるこ
とから、河川流量や生態系に影響が生じない場合のみ行うこととし、みだりに取水
することは厳に戒めること。また、取水量が集中しないようにすること。
工事に伴う沢及び河川等の表流水からの取水は、生態系への影響が懸念されるこ
とから、河川流量や生態系に影響が生じない場合のみ行うこととし、みだりに取水
することは厳に戒めること。また、取水量が集中しないようにすること。
2.3 土壌環境
(1)地盤沈下
工事中及び工事完了後において、土被りの小さい山岳トンネル区間で地上に住居等
が存在する区間のうち適切な箇所を選定し、一定の期間、地盤沈下に関する事後調査
を実施し、地盤変形の程度を把握するとともに、その結果に応じて、適切な環境保全
措置を講じること。
(1)地盤沈下
工事中及び工事完了後において、土被りの小さい山岳トンネル区間で地上に住居等
が存在する区間のうち適切な箇所を選定し、一定の期間、地盤沈下に関する事後調査
を実施し、地盤変形の程度を把握するとともに、その結果に応じて、適切な環境保全
措置を講じること。
(2)土壌汚染
① 土壌汚染の可能性がある地域における発生土の汚染状況調査
本事業に起因する汚染土壌の拡散を未然に防止するため、トンネル工事等に伴う
発生土については、自然由来の重金属等による汚染の状況を定期的に調査すること。
なお、調査頻度については、専門家等の助言を踏まえ決定するとともに、工事着
手前までに具体的な計画を策定すること。
① 土壌汚染の可能性がある地域における発生土の汚染状況調査
本事業に起因する汚染土壌の拡散を未然に防止するため、トンネル工事等に伴う
発生土については、自然由来の重金属等による汚染の状況を定期的に調査すること。
なお、調査頻度については、専門家等の助言を踏まえ決定するとともに、工事着
手前までに具体的な計画を策定すること。
② 汚染土壌の適正な管理及び処理
自然由来の重金属等による汚染のおそれのある土壌については、拡散を防止する
ため、適切な管理及び処理を行うこと。
自然由来の重金属等による汚染のおそれのある土壌については、拡散を防止する
ため、適切な管理及び処理を行うこと。
③ 要措置区域等外の土地の基準不適合土壌の取扱い
要措置区域等外の土地の土壌であっても、その汚染状態が土壌溶出量基準又は土
壌含有量基準に適合しないおそれがある土壌については、運搬及び処理に当たり、
土壌汚染対策法の規定に準じて適切に取り扱うこと。
2.6 廃棄物等
(1)発生土
① 発生抑制、現場利用の徹底
トンネル掘削等の工事実施に伴う発生土については、施設の規模等の見直しを含
め、発生量を抑制するよう検討するとともに、できる限り場外搬出量を抑制するこ
と。
(1)発生土
① 発生抑制、現場利用の徹底
トンネル掘削等の工事実施に伴う発生土については、施設の規模等の見直しを含
め、発生量を抑制するよう検討するとともに、できる限り場外搬出量を抑制するこ
と。
② 発生土置場の選定要件
今後、新たに仮置場の設置場所を選定する場合については、自然植生、湿地、希
少な動植物の生息地・生育地、まとまった緑地等、動植物の重要な生息地・生育地
や自然度の高い区域、土砂の流出があった場合に近傍河川の汚濁のおそれがある区
域等を回避すること。
また、登山道等のレクリエーション利用の場や施設、住民の生活の場から見えな
い場所を選定するよう配慮するとともに、設置した際には修景等を行い、自然景観
を整備すること。
今後、新たに仮置場の設置場所を選定する場合については、自然植生、湿地、希
少な動植物の生息地・生育地、まとまった緑地等、動植物の重要な生息地・生育地
や自然度の高い区域、土砂の流出があった場合に近傍河川の汚濁のおそれがある区
域等を回避すること。
また、登山道等のレクリエーション利用の場や施設、住民の生活の場から見えな
い場所を選定するよう配慮するとともに、設置した際には修景等を行い、自然景観
を整備すること。
③ 発生土の運搬
発生土置場への運搬又は事業場外への運搬について、飛散流出等により周辺環境
に影響を及ぼさないよう、必要に応じて流出防止策を実施し、適切に運搬すること。
発生土置場への運搬又は事業場外への運搬について、飛散流出等により周辺環境
に影響を及ぼさないよう、必要に応じて流出防止策を実施し、適切に運搬すること。
④ 発生土置場の適切な管理
発生土置場での発生土の管理について、濁水の発生防止や土砂の流出防止その他
周辺環境に影響を及ぼさないよう、発生土置場ごとに管理計画を作成した上で、適
切に管理すること。
また、発生土の管理計画の作成に当たっては、内容について関係地方公共団体と
協議し、また、住民への説明や意見の聴取等の関与の機会を確保すること。
発生土置場での発生土の管理について、濁水の発生防止や土砂の流出防止その他
周辺環境に影響を及ぼさないよう、発生土置場ごとに管理計画を作成した上で、適
切に管理すること。
また、発生土の管理計画の作成に当たっては、内容について関係地方公共団体と
協議し、また、住民への説明や意見の聴取等の関与の機会を確保すること。
⑤ 譲渡先への情報伝達
発生土の譲渡等に伴う二次的な土壌汚染及び自然植生、湿地、希少な動植物の生
息地・生育地、まとまった緑地等の動植物の重要な生息地・生育地や自然度の高い
区域等の改変を防止するため、譲渡先が講じるべき措置を伝達する等の適切な環境
保全措置を講じること。
発生土の譲渡等に伴う二次的な土壌汚染及び自然植生、湿地、希少な動植物の生
息地・生育地、まとまった緑地等の動植物の重要な生息地・生育地や自然度の高い
区域等の改変を防止するため、譲渡先が講じるべき措置を伝達する等の適切な環境
保全措置を講じること。
(2)廃棄物
① 発生抑制の徹底
工事に伴い発生する廃棄物については、できる限りその発生量を抑制するよう、
工法等を検討すること。また、供用時に発生する廃棄物についても、その減量に取
り組むこと。
① 発生抑制の徹底
工事に伴い発生する廃棄物については、できる限りその発生量を抑制するよう、
工法等を検討すること。また、供用時に発生する廃棄物についても、その減量に取
り組むこと。
② 再生利用の推進
廃棄物については、再生利用の方法や量について明らかにするとともに、それぞ
れ目標を達成するための方策等を検討し、実施すること。
廃棄物については、再生利用の方法や量について明らかにするとともに、それぞ
れ目標を達成するための方策等を検討し、実施すること。
③ 適正処理の推進
工事の開始までに、廃棄物の種類及び発生量に応じた処理方法及び処分先を決定
し、廃棄物の適正な処理を行うこと
工事の開始までに、廃棄物の種類及び発生量に応じた処理方法及び処分先を決定
し、廃棄物の適正な処理を行うこと