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汚染土壌の搬出等に関する規制

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汚染土壌の搬出等に関する規制

 要措置区域等内の土壌を当該要措置区域等外へ搬出し移動させることは、汚染の拡散
をもたらす可能性がある。このため、当該搬出に伴う汚染土壌の適正な運搬及び処理を
確保するため、要措置区域等内の土地の土壌を当該要措置区域等外へ搬出する際の事前
届出制度とともに、汚染土壌の運搬基準及び処理委託義務を設けることとした。また、
汚染土壌の処理を業として行う者を都道府県知事が許可する制度を新たに設けるととも
に、当該者に適正な処理を履行させるための担保措置を規定することとした。
 
1.汚染土壌の搬出時の措置
(1) 趣旨
 汚染土壌を当該要措置区域等外へ搬出することは、汚染の拡散をもたらす可能性
があることから、当該搬出の事前の届出義務を課すとともに、当該搬出に係る計画
が汚染土壌の運搬に関する基準又は汚染土壌処理業者への処理の委託義務に違反し
ている場合には、都道府県知事がその是正を命ずることができることとした。なお、
汚染土壌の運搬及び汚染土壌処理業者に関する事項については、「汚染土壌処理業
の許可及び汚染土壌の処理に関する基準について」(平成22年2月26日付け環
水大土発第100226001号環境省水・大気環境局土壌環境課長通知。以下「課長通
知」という。)により、別途通知しているため、当該通知を参照されたい。

(2) 汚染土壌の搬出の事前届出及び計画変更命令
① 汚染土壌の搬出の事前届出の手続
 汚染土壌を要措置区域等外へ搬出しようとする者は、その着手の14日前まで
に、当該搬出の計画について都道府県知事に届け出なければならないこととした。
ただし、当該土壌を指定調査機関が環境省令で定める方法により調査した結果、
25種すべての特定有害物質による汚染状態が土壌溶出量基準及び土壌含有量基
準に適合すると都道府県知事が認めたものを除くこととし(法第16条第1項本
文)、加えて、非常災害のための応急措置として当該搬出を行う場合は事前に当
該届出をするいとまがないこと、汚染土壌を試験研究の用に供するために当該搬
出を行う場合は搬出する汚染土壌の量が少ないのが一般的であることから、事前
の届出を要さないこととした(法第16条第1項ただし書)。ここにいう「汚染
土壌」とは、要措置区域等内の土地の土壌をいい、含水率が高く泥状ものであっ
ても汚染土壌として取り扱われたい。
 「搬出」とは、汚染土壌を人為的に移動することにより、当該要措置区域等の
境界線を超えることをいう。ただし、要措置区域等と一筆であるなど要措置区域
等内の土地の所有者等と同一の者が所有等をする当該要措置区域等に隣接する土
地において、一時的な保管、特定有害物質の除去等を行い、再度当該要措置区域
等内に当該汚染土壌を埋め戻す場合には、周囲への汚染の拡散のおそれの少ない
行為であることから、「搬出」には該当しないものとして運用されたい。

 「汚染土壌を当該要措置区域等外へ搬出しようとする者」とは、その搬出に関
する計画の内容を決定する者である。土地の所有者等とその土地を借りて開発行
為等を行う開発業者等の関係では、開発業者等が該当する。また、工事の請負の
発注者と受注者の関係では、その施行に関する計画の内容を決定する責任をどち
らが有しているかで異なるが、一般的には発注者が該当するものと考えられる。
 届出事項は、汚染土壌の特定有害物質による汚染状態、体積及び運搬の方法、
運搬する者及び処理する者の氏名又は名称、処理施設の所在地、搬出の着手予定
日及び完了予定日、運搬及び処理の完了予定日、要措置区域等の所在地、積替場
所及び保管場所の所在地、自動車等の使用者の氏名又は名称及び連絡先等とした
(法第16条第1項各号及び規則第62条)。
 このうち、汚染土壌の汚染状態は、土壌溶出量基準又は土壌含有量基準に適合
しない特定有害物質の種類及び濃度とし、体積は、搬出しようとする土壌の面積
と深さを乗じて算定したものとする。運搬の方法とは、運搬の用に供する自動車
その他の車両又は船舶(以下「自動車等」という。)ごとの運搬経路をいう。運
搬する者及び処理する者の氏名又は名称は、法人であれば当該法人の名称、個人
事業主であれば当該個人の氏名をいい、実際に運搬又は処理を担当する者を記載
する必要はない。積替場所及び保管場所の連絡先は、電話番号を記載することで足りる。
 なお、搬出に当たって当該搬出に係る要措置区域等と一筆、かつ、隣接する土
地において、その運搬を容易にするために、汚染土壌の含水率を調整する場合に
あっては、当該行為を積替えのための一時保管とみなすこととし、当該行為を行
う場所を積替場所として記載させるよう指導されたい(2(2)において後述)。

 添付書類は、規則第61条第2項に定めるとおりである。
 このうち、「汚染土壌の場所を明らかにした要措置区域等の図面」(同項第1
号)とは、要措置区域等内における搬出に係る汚染土壌の範囲を明らかにしたも
のをいう。
 「搬出に係る必要事項が記載された使用予定の管理票の写し」(同項第2号)
とは、法第20条第1項の管理票の記載事項及び同項の委任を受けた環境省令で
定める事項を記載した使用予定の管理票の写しをいい、届出事項として記載させ
た「運搬の方法」と内容が整合していることを確認されたい。
 「土壌の採取を行った地点及び日時、当該土壌の分析の結果、当該分析を行っ
た計量法第百七条の登録を受けた者の氏名又は名称その他の調査の結果に関する
事項」(規則第61条第2項第2号)とは、土壌汚染状況調査の結果、第二溶出
量基準に適合しない汚染状態にあるとみなされた要措置区域等において、措置の
ためのボーリング調査や法第16条第1項括弧書の認定のための調査(以下「認
定調査」という。)等により搬出しようとする土壌が第二溶出量基準に適合する
ことが明らかとなった場合には、その調査の結果及び計量証明事業者の名称等も
報告することとする。なお、この場合の第二溶出量基準に適合することが明らか
となった汚染土壌を埋立処理施設において受け入れることは差し支えない。

 「汚染土壌の運搬の用に供する自動車等の構造を記した書類」(同項第4号)
及び「運搬の過程において、積替えのために当該汚染土壌を一時的に保管する場
合には、当該保管の用に供する施設の構造を記した書類」(同項第5号)につい
ては、後述する法第17条の運搬に関する基準に適合しているかという観点から、
それぞれ確認されたい。
 「汚染土壌の処理を汚染土壌処理業者に委託したことを証する書類」(同項第
6号)としては、汚染土壌を当該要措置区域等外へ搬出する者が、当該汚染土壌
の処理を汚染土壌処理業者へ委託する場合にあってはその旨の契約書の写しが想
定される。
 また、当該搬出の届出をした者は、その届出に係る事項を変更しようとすると
きは、その届出に係る行為に着手する日の14日前までに、その旨を都道府県知
事に届け出なければならないこととした(法第16条第2項)。
 「その届出に係る行為」とは、同条第1項の届出に係る要措置区域等外への汚
染土壌の搬出をいい、同条第2項の届出をしようとする時点で、当該搬出まで1
4日間を確保できない場合には、同項の届出をする際に、同条第1項第6号に定
める搬出の着手予定日についても変更する必要があることに留意されたい。この
届出は、変更の内容を明らかにした届出書に、①に規定する書類及び図面を添付
して行う必要があるが、既に提出されている書類及び図面の内容に変更がないと
きは、その添付を省略することができることとしたものである(規則第63条第
2項)。

② 計画変更命令
 都道府県知事は、搬出の届出又はその届出に係る変更の届出があった場合にお
いて、当該搬出に係る運搬及び処理の計画が運搬に関する基準又は汚染土壌処理
業者への処理の委託義務に違反していると認めるときは、その届出を受けた日か
ら14日以内に限り、その届出をした者に対し、当該計画の是正を命ずることが
できることとした(法第16条第4項)。また、当該命令に違反した者に対して、
罰則を設けることとした(法第65条第1号)。

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