犯罪被害者(もしくは法により定められた親族等)が申告する場合を告訴(b:刑事訴訟法第230条)といい、被害者でない第三者が申告する場合を告発(b:刑事訴訟法第239条1項)という。マスメディアなどでは刑事告訴・刑事告発ということもある。
概要
これらはいずれも、刑事訴訟法上捜査の端緒の一つに分類されている。また、強姦罪や守秘義務違反など一定の犯罪については、被害者等の告訴が訴訟条件(起訴するための条件)となっている(親告罪)。また、公務員は法に定める範囲において、告発する義務を負う(239条2項)。
なお、告訴・告発手続を法律職に依頼する場合、警察と労働基準監督署に対する告訴・告発手続は行政書士(行政書士法1条の2)、検察に対する告訴・告発は司法書士の職務分掌とされている(司法書士法3条)。弁護士は法律事務一般を取り扱うことができるので、当然ながらどちらへの告訴・告発でも依頼できる(弁護士法3条)。
告訴・告発等により公訴の提起があった事件について、被告人が無罪又は免訴の裁判を受けた場合において、告訴や告発をした側に故意又は重過失があったときは、その者が訴訟費用を負担することがある(183条)。また虚偽告訴罪の構成要件を充足した場合は刑事責任を問われる可能性もある。
告訴・告発をすることができる者
告訴することができる者
告訴することができる者(告訴権者)は、以下の通りである。
- 被害者(刑訴法230条)
- 被害者の法定代理人(刑訴法231条1項)
- 被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹(刑訴法231条2項)
- 被害者の法定代理人が被疑者、被疑者の配偶者、被疑者の四親等内の血族若しくは三親等内の姻族であるときは、被害者の親族(刑訴法232条)
- 死者の名誉を毀損した罪については、死者の親族又は子孫(刑訴法233条1項)。名誉を毀損した罪について被害者が告訴をしないで死亡したときも同様(同条2項)
- 告訴権者がない場合には、利害関係人の申立てにより検察官が指定する者(刑訴法234条)
告発することができる者
誰でも、犯罪があると思うときは、告発をすることができる(刑訴法239条1項)。公務員は職務上、犯罪を認知したときは告発義務を負う(同条2項)。
告訴・告発先となる捜査機関
告訴・告発先となる捜査機関には、検察、警察、海上保安部、労働局、労働基準監督署等がある。刑訴法241条2項は受理権者を「検察官又は司法警察員」と規定しており、検察事務官や司法巡査は受理権者とはされていない。
告訴・告発を受けた捜査機関は、これを拒むことができず、捜査を尽くす義務を負うものと解されている(警察官職務執行法や刑事訴訟法242条、犯罪捜査規範63条、刑事訴訟法189条2項等)。しかし、現実には警察が告訴を放置したり、「この程度では事件にできない」として受理を拒否したりすること(民事不介入も参照)があり、これが犯罪被害の拡大につながるとして社会問題化している。
告訴・告発の法的効果として、司法警察員は事件の書類及び証拠物を検察官に送付しなければならず(刑訴法242条)、起訴又は不起訴の場合の検察官の通知義務(刑訴法261条)、請求があった場合の不起訴理由の告知(刑訴法261条)などがある。
不起訴処分があった場合
告訴・告発に対して不起訴処分があった場合、その検察官の属する検察庁の所在地を管轄する検察審査会にその処分の当否の審査の申立てをすることができる。なお、従来は、議決に法的拘束力がなかったが、2009年度からは「6か月以内に起訴相当の議決が2度行われた」場合、以下に述べる「準起訴手続」に準じた手続がとられる。
職権濫用罪や特別公務員暴行陵虐罪等に関する不起訴処分に対しては、準起訴手続が存在する。不起訴の通知から7日以内に付審判請求書を公訴を提起しない処分をした検察官に差し出して、なお検察官が起訴しない場合、裁判所が請求についての審理裁判を行った上で、理由があると認めるときは、裁判所が事件を裁判所の審判に付するものである。この場合、検察官役には、裁判所の指定した弁護士がその任に当たる。
告訴期間
親告罪の告訴は、原則として、犯人を知った日から6ヶ月以内に告訴期間が限定されている。ただし、強制わいせつ罪(刑法176条)、強姦罪(刑法177条)、準強制わいせつ罪(刑法178条1項)、準強姦罪(刑法178条2項)、略取誘拐罪(刑法225条)など、一部、告訴期間の限定がない犯罪がある(短期間に告訴するか否か決定できない被害者の身上に配慮して平成12年に新設された規定である)。
「犯人を知った日」とは、犯人が誰であるか特定できた日を指す。親告罪の告訴をするか否かの決定には犯人と被害者の人間関係などが影響するため、少なくとも犯人が誰であるかを知ることが必要だからである。本名や住所などを知ったかどうかは告訴期間の起算点に影響しない。
告訴期間の起算点、すなわち「犯人を知った」か否かは告訴権者ごとに起算される(刑訴法236条)。
告訴の不可分
告訴の法的効力は、その犯罪事実全体に対して及ぶ。
したがって、まず、一罪を構成する犯罪事実の一部について告訴があった場合、その一罪全体について告訴の効力が及ぶ(告訴の客観的不可分)。
また、親告罪の共犯の一人又は数人に対してした告訴は、他の共犯に対しても告訴の効力を及ぼす(告訴の主観的不可分。刑訴法238条1項)。告訴が特定の「犯人」に対しての行為ではなく、「犯罪事実」に対する行為であることからの帰結である。
その他
- 警察や検察への告訴状は、弁護士等に依頼し作成をしてもらうことも可能であるが、被害者自らがパソコンなどで作成しプリントアウトしたり、手書きで作成し、署名押印後、提出することも可能である。
司法警察員(しほうけいさついん)とは、捜査(司法警察活動)に関して、司法巡査には認められない特別の権限を付与された司法警察職員の資格の呼称をいう。いわば、司法巡査が捜査に関しては“見習い”の警察職員であるのに対して、司法警察員は捜査に関して“一人前”の警察職員である。
司法警察員と司法巡査とは捜査に関する権限が異なるだけで、警察職員としての階級とは直接の関係がない。
司法警察員の指定
(一般)司法警察職員
一般司法警察職員の代表である警察官は、階級によって司法警察員か司法巡査かで区別される。原則として、巡査の階級の者は司法巡査、巡査部長以上の階級の者は司法警察員とされているが、捜査上必要がある場合には、巡査長たる巡査を司法警察員に指定することができる。
具体的に挙げれば、
である。
特別司法警察職員
特別司法警察職員の階級においては、自衛隊警務官は3曹以上の階級の者が司法警察員、士長以下の階級の者が司法巡査、海上保安官は一等海上保安士以上の階級の者が司法警察員、二等海上保安士以下の階級の者が司法巡査である。
警察官・自衛隊警務官以外の司法警察員
警察官、自衛隊警務官、海上保安官以外の司法警察員としては、以下のようなものがある:
権限
司法警察員は、司法巡査が有する捜査に関する権限を全て有する。司法警察員が有する特別の権限としては、以下のようなものがある。
逮捕に関して
- 通常逮捕状の請求(刑事訴訟法199条2項)。ただし、警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。実際には、警察署長や副署長、警察本部や警察署の各課課長級以上の者が請求している例が多い。
- 逮捕した被疑者の受け取り(同法202条、215条1項)。
- 被疑者逮捕時の犯罪事実の要旨・弁護人選任の告知、弁解録取、釈放・送致の決定(同法203条1項、211条、216条)
その他に関して
- 差押、捜索、検証令状の請求(刑事訴訟法218条3項)
- 証拠品の売却・還付(同法222条1項但書)
- 鑑定留置処分の請求(同224条1項)、鑑定処分許可の請求(同225条2項)
- 代行検視(同法229条2項)
- 告訴・告発、自首の受理・調書作成(同法241条1項2項、243条、245条)
- 検察官への事件送致(同法246条本文、242条、245条)
水俣区検察庁
熊本地方検察庁八代支部
所在地
〒866-0863
八代市西松江城町11-11
TEL 0965-32-2710
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