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[転載]我が国における水銀対策の取組状況&水銀等の環境上適正な暫定的保管

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我が国における水銀対策の取組状況
水俣病による甚大な被害を経験した後、我が国では、国、地方公共団体、産業界、市民団体及び住民がそれぞれの役割を担いながら一体となって以下のような水銀対策に取り組んできた。

水銀対策の法令整備:
 ・公害対策基本法(昭和42年)
 ・環境基本法(平成5年)に基づく環境基準等の目標値設定、
 ・水質汚濁防止法(昭和45年)
 ・土壌汚染対策法(平成14年)等における水銀排出等規制、
 ・気汚染防止法(昭和43年)における有害大気汚染物質対策、
 ・廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年)による水銀廃棄物の適正処理の確保、
 ・外国為替及び外国貿易法(昭和24年)等による水銀及び水銀化合物の輸出承認手続、
 ・特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律(平成4年)による越境移動管理 等
 

 水銀代替・削減技術等: 塩素アルカリ製造やアセトアルデヒド製造等の製造工程の無水銀化(水銀を使わない製造工程への転換)、水銀添加製品の水銀使用代替・削減の促進、無水銀・低水銀製品市場の形成 等
 水銀リサイクルシステムの構築: 地方自治体と住民が連携した乾電池や蛍光管等の水銀添加製品の分別収集、産業界における水銀添加製品の分別収集、水銀添加製品メーカーによる製品の自主回収、優れた技術による水銀回収 等

 その結果、昭和39(1964)年のピーク時には約2,500トンに達した我が国の水銀需要は、その後大きく減少し、近年は10トン程度で推移している(図3)。また、国内の水銀フロー(図4)は、原燃料に含まれる不純物として70トン程度が、また水銀合金や水銀添加製品の形でそれぞれ数トン程度が輸入され、原燃料や廃棄物に含まれる水銀についてリサイクルが行われ、国内需要を上回る部分は輸出されている(70トン程度)。
 
 
水銀等の環境上適正な暫定的保管
 条約においては、第10条に基づき、水銀及び6種の水銀化合物11について、今後締約国会議で採択される暫定的保管のための指針等を考慮し、暫定的保管が環境上適正な方法で行われることを確保する措置等が求められる。

(1) 基本的考え方
 水銀及び水銀化合物の保管等については毒物及び劇物取締法(昭和25年号)(以下「毒劇法」という。)及び水質汚濁防止法に関連する規定があるが、以下の点から条約の担保措置としては不十分であり、条約上認められた用途に使用されることを確保する観点及び不適正な保管等による環境への飛散・漏出を防ぐ観点から新たな法的措置が必要である。

毒劇法:
 水銀及び一部の水銀化合物の保管・運搬等について規制しているが、環境保全を目的としておらず、例えば、保健衛生上の危害を生ずるおそれのない場所において揮発させる等の方法により廃棄することも許容されている。

水質汚濁防止法:
 水銀を含む有害物質について、貯蔵施設に関する構造基準の遵守(漏洩防止)義務の規定があるが、固体である水銀化合物や、可搬型の容器には適用されない。
 その際、環境上適正な保管等の取扱いを確保するため、国内での管理のための指針・基準等(以下「管理指針等」という。)を策定することが適当である。また、
①管理指針等に基づく保管措置の実施状況を適切に把握等するため、また、
②条約の発効による水銀等の需給バランスの変化により、現状では有価物である水銀等が将来的に廃棄物処理法上の廃棄物に移行する可能性があることも考慮すれば、条約第10条(暫定的保管)の対象物が水銀廃棄物となった場合に第11条(水銀廃棄物)に基づき適正に管理される制度とするため、一定量以上の水銀を保管する事業者に対し定期的にその保管状況等の報告を求めることが適当である。

 さらに、環境上適正な暫定的保管の対象となる6種の水銀化合物の濃度について条約上の規定はないが、条約に規定のある水銀では純度の高いものを対象としていることから、水銀化合物についても同様に純度の高いものを対象とすることが適当である。
 
 
 
水銀廃棄物
 条約においては、第11条に基づき、水銀廃棄物に関して、今後締約国会議が採択する追加の条約附属書の要件に従い、環境上適正な方法で管理することが求められる。条約上適正な管理が求められる水銀廃棄物は、循環型社会部会水銀廃棄物適正処理検討専門委員会における検討結果を踏まえ、基本的には、条約第11条の規定を踏まえた廃棄物処理法に基づく措置により適正に管理されることとなる。
 
 他方、条約上の廃棄物の定義はバーゼル条約上の関連する定義を引用することとされており、水俣条約上の水銀廃棄物には、廃棄物処理法上の廃棄物の定義に該当しないものが含まれる(図7)。これら廃棄物処理法上の廃棄物の定義に該当しない水銀廃棄物は廃棄物処理法により条約の求める措置が担保されないため、新たな法的措置を設けることが適当である。
 また、条約上「水銀廃棄物」とされているものであって、廃棄物処理法上の「廃棄物」に該当しないもの(例えば、非鉄金属製錬から生ずる水銀含有スラッジ(以下「非鉄製錬スラッジ」という。))について、条約担保のための法的措置において引き続き「水銀廃棄物」との名称を使用する場合には、廃棄物処理法上の「廃棄物」と混同される可能性があるため、その名称については検討を行う必要がある。
 
 
汚染された場所
(第12条)
・水銀等により汚染された場所を特定し、評価するための適当な戦略の策定
・土壌汚染対策法及び水質汚濁防止法に基づく汚染された場所の特定、評価の仕組みがある
 
 
水銀廃棄物の環境上適正な管理の観点
 水銀添加製品の廃棄時において、水銀添加製品を適切に分別するためには、水銀使用が明確に示されていること等が必要である。
 水俣条約の第11条において、水銀廃棄物は「バーゼル条約に基づいて作成された指針を考慮し、かつ、第27条の規定に従って締約国会議が採択する追加の附属書の要件に従い、環境上適正な方法で管理すること」が求められている。
 バーゼル条約の下で作成された水銀廃棄物の環境上適正な管理に関する技術ガイドライン68では、水銀廃棄物の分別を環境上適正な管理における主要な要素として位置づけており、水銀を含んでいるという表示(labelling)が廃棄物の適切な分別を助け、結果として水銀添加製品の環境上適正な処分につながるとしている。
 他方、既に市中に出回っている製品には水銀に関する表示がないものが多く存在するため表示のない製品についても適切に分別できる仕組みが必要であること、消費者にとっては表示の有無にかかわらず水銀が含まれているかどうかの分別を完全に行うことは難しいこと、パッケージ等への表示は消費者が廃棄する段階では捨てられていることが多いため参照することができないこと等にも留意が必要である。
 

転載元: ミナマタ 水・土壌汚染・防災研究会 水銀条約遵守、水俣生物多様性


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