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ISO26000の構造とCSRの進め方

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ISO26000の構造とCSRの進め方

  エンゲージメントしていくステークホルダーについてですが、見落とされがちなのが地域やNGOです。生物多様性や将来世代も視野に入れながら、調達、開発、生産、販売、物流、さらには利用後のリサイクルまでの事業プロセスの中で、持続可能な社会をめざしてCSRを考えていく必要があります。
 CSRで取り組むべき課題というのはたくさんありますので、重要度の高い課題から取り組むことが必要です。GRIでも述べられているマテリアリティ(Materiality:重要性)の考え方です。ステークホルダーからの期待度の高いものと、経営・環境・社会面で重要度の高いものを考慮して優先的に取り組む重要課題群を選び出します。
 
 ISO26000は認証規格ではありません。自己宣言して実践していくためのガイドです。構造としては、ステップ1でSRとは何か、何故取り組むのか、といった社会的責任の理解が求められ、説明責任、透明性、倫理的行動、人権の尊重など社会的責任の7原則が述べられています。ステップ2として次に何に取り組むのか、ということで、ガバナンス、人権、労働慣行、環境、公正な事業慣行、消費者課題、コミュニティ参画の7つの中核課題が述べられています。そしてステップ3はどう取り組むのか、となっています。最終目標は「持続可能性の実現」です。ISO26000については、松本恒雄先生が中心になってまとめられた「ISO26000実践ガイド」が中央経済社からでていますので、これをお読みになるのがいいと思います。

 私はISO26000を行動チェックリストとして使わないでいただきたいと思っています。何ができていて、何ができていないかというとき、大事なのはできていないほうです。できていないことが何故重要なのか、どう対応していけばいいのかをしっかり考えることが大切です。

 CSR活動の進め方としては、ステークホルダーと対話したり、現状分析調査をして健康診断と同じくどこが問題なのか、どこがリスクに繋がるのかをきちんと把握することが大切です。そして戦略的に重点課題を策定します。場合によっては企業理念や行動指針を整備することが必要となるでしょう。トップのコミットメントがないと進みませんから、トップのリーダーシップも大切です。CSR方針や長期ビジョンの策定も重要です。さらに計画、目標の策定を行います。KPI(Key Performance Indicators:重要管理評価指標)を設定するのも有効な方法です。あとは情報開示です。マネジメント体制の整備、社内浸透 、人材育成、組織風土の醸成なども重要です。




ISO26000
ISO26000は、ISO(国際標準化機構:本部ジュネーブ)が2010年11月1日に発行した、組織の社会的責任に関する国際規格です。ISO26000の開発にあたってはISO規格としてははじめてマルチステークホルダープロセスがとられ、幅広いセクターの代表が議論に参加しました。NNネットはISO26000の発行に向け、NPO/NGO総体としての意見を広く議論する場を提供し、現在はISO26000の普及に取組んでいます。
(マルチステークホルダープロセス:背景の異なる複数のステークホルダーがテーブルを囲み、課題解決のための行動計画や目標についての合意形成を行っていく枠組みやその過程のこと)

ISO26000の特徴

ISO26000は、あらゆる組織に向けて開発された社会的責任に関する世界初のガイダンス文書で、持続可能な発展への貢献を最大化することを目的にしています。同時に、人権と多様性の尊重という重要な概念を包含しています。

特徴1:あらゆる組織に適用可能なこと

この規格は、組織の大小、活動する場所が先進国か途上国であるかを問わず、また民間、非営利、公的機関であるかに関わらず、あらゆる組織に役立つことを意図してつくられています。ISO26000に書いてあること全てが、あらゆる種類の組織に同等に用いられるわけではありませんが、いかなる組織であっても社会的責任に関する中核主題には関連性を持っています。

特徴2:認証を意図しない手引書(ガイダンス)であること

ISO26000は、マネジメントシステム規格ではありません。認証を目的としたり、規制や契約のために使用したりすることを意図していません。またそれらに適切でもありません。ISO26000は要求事項を含むものではないため、認証の根拠となる適合性評価をすることはできません。

特徴3:策定に、消費者、政府、産業界、労働、NGO、SSRO(サービス・サポート・研究・学術及びその他)によるマルチステークホルダープロセスが採用されたこと

ISO26000の開発にあたっては、上に挙げた6つのステークホルダーが主体的に参加し、合意に至るまで議論を尽くすというユニークな策定プロセスが採用されました。また策定プロセスには多くの途上国が参加しました。最終的に99カ国の参加を得て(その3分の2以上は途上国)、6つのステークホルダーの合意により規格を策定したことはISO史上始まって以来のことです。それゆえ策定に長い年月がかかったわけですが、このこと自体がISO26000に価値と意義を与えていると言えるでしょう。
(策定に関わったNPOが読み解くISO26000:P10より)

2011年11月1日にISO26000(社会的責任のガイダンス規格)が発効1周年を迎えました。この規格は、持続可能な発展への貢献を実現するために、あらゆる種類の組織に適用可能な社会的責任に関する初の包括的・詳細な手引書です。
* 持続可能な発展(sustainable development):将来の世代の人々が自らのニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような発展

ISO26000の内容

ISO26000では、社会的責任を以下のように定義づけています。
社会的責任
組織の決定及び活動が社会及び環境に及ぼす影響に対して、次のような透明かつ倫理的な行動を通じて組織が担う責任:
-健康及び社会の繁栄を含む持続可能な発展への貢献
ステークホルダーの期待への配慮
-関連法令の遵守及び国際行動規範の尊重
組織全体に統合され、組織の関係の中で実践される行動
注1:活動には、製品、サービス及びプロセスを含む
注2:関係とは組織の影響力の範囲内での活動を指す


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オルタナ


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2013年7月30日(火) 9時10分-社会(安藤光展)

ISO26000に関する有料雑誌記事(外部サイト)

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農水省の官僚出身、50代半ばでビジネスの世界に飛び込んだ。ISO26000にCSVやESDを重ねた経営戦略を打ち出した。斎藤 正一/日経BP環境経営フォーラム ...
2015年8月19日(水)-日経エコロジー 第195号




2014年12月4日 - ISO26000の、7つの原則・7つの中核主題 ISO26000(社会的責任ガイドライン・手引き) 発行から丸4年となり、日本企業の取組みにも随分浸透してきているようです。 2010年 年末に発行された直後は「CSR報告書のガイドライン」的な ...


7つの原則

説明責任
透明性
倫理的な行動
ステークホルダーの利害の尊重
法の支配の尊重
国際行動規範の尊重
人権の尊重

7つの中核主題

組織統治
人権
労働慣行
環境
公正な事業慣行
消費者課題
コミュニティへの参画

ISO26000の構成
序文
 組織は様々なステークホルダー(利害関係者)から厳しく監視されているとした上で、本規格が、社会との関係における組織のパフォーマンスの向上に寄与するためのものであることを示している。

第1章 適用範囲
 この国際規格で取り上げる主題を定義している。

第2章 用語及び定義
 本規格で使用する重要な用語と、その意味を説明している。

第3章 社会的責任の理解
 社会的責任の進展に影響を与える要素や、重要課題等について示している。また、社会的責任の概念そのものについて、それが何を意味し、どのように組織に適用されるかについて示している。この章では、中小規模の組織にとってのISO26000のガイダンスも含まれる。

第4章 社会的責任の原則
 以下の、基本的な社会的責任の原則について説明している。  
  1. 説明責任
  2. 透明性
  3. 倫理的な行動
  4. ステークホルダーの利害の尊重
  5. 法の支配の尊重
  6. 国際行動規範の尊重
  7. 人権の尊重
第5章 社会的責任の認識及びステークホルダーエンゲージメント
 社会的責任の実践である、組織の社会的責任の認識と、ステークホルダーの特定及びステークホルダーエンゲージメント(ステークホルダーの関心事項を理解するために行われる取組み)について説明している。

第6章 社会的責任の中核主題に関する手引
 以下の、社会的責任に関連する中核主題、およびその課題について説明している。 これらを総称して「7つの中核主題」と呼びます。 
  1. 組織統治
  2. 人権
  3. 労働慣行
  4. 環境
  5. 公正な事業慣行
  6. 消費者に関する課題
  7. コミュニティ参画および発展
第7章 社会的責任を組織全体に統合するための手引き
 以下の項目について、組織内で社会的責任を実践し、慣行とするための手引きを提供している。

  ・組織の特徴と社会的責任の関係
  ・組織の社会的責任の理解
  ・社会的責任に関する組織の行動及び慣行の見直し及び改善
  ・社会的責任に関する信頼性の強化
  ・社会的責任に関する自主的イニシアチブ
  ・社会的責任に関するコミュニケーション

 なお、第6章5に「環境」の項目があり「組織は自らの活動が、経済、社会、環境などに与える影響を広い視野で考慮することが望ましい」といった記載や、検討事項、課題等が示されています。
社会的責任を果たすための7つの原則として、
  1. 説明責任
    組織の活動によって、外部に与える影を説明する。)
  2. 透明性
    組織の意思決定や活動の透明性を保つ。)
  3. 倫理的な行動
    性や実であることなど、普遍的な倫理観に基づいて行動する。)
  4. ステークホルダー(利関係者)の利の関係
    様々な利関係者へ配慮して対応する。)
  5. 法の支配の尊重
    法令憲法、各種法、条例等)を尊重し、順守する。)
  6. 際行動規範の尊重
    法令のみならず、際的に通用している規範<スタンダード>を尊重する。)
  7. 人権の尊重
    重要かつ普遍的な人権を尊重する。)
の7つを挙げている。

ISO26000における中核題を簡潔に述べると、
の7つである。


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