Quantcast
Channel: 持続可能な開発(水・土・廃棄物)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2268

フライアッシュの物理、化学特性は燃焼する石炭の種類によって大きく異なり、冷却過程や微粉炭の粉砕度合いによっても特性が異なる。

$
0
0


石炭灰の品質と利用用途
(1) フライアッシュ
1) 品質
フライアッシュの物理、化学特性は燃焼する石炭の種類によって大きく異なり、冷却
過程や微粉炭の粉砕度合いによっても特性が異なる。
石炭火力発電所では1~数週間で燃焼する炭種が変わることもあるため、石炭火力発
電所間の品質のばらつきに加え、発生時期の違いによっても品質が大きく変動する。
コンクリート用のフライアッシュの品質はJIS A 6201において表2.7.2に示すとおり、
主に発現強度と流動性からⅠ~Ⅳ種に等級化されている。これらはコンクリート用材や
スラリー化させて裏込等に利用する際にコンクリートやスラリーの品質に大きく影響す
る。

表2.7.2 コンクリート用フライアッシュの用途・性能等(JIS A 6201)
種 別用 途 ・ 性 能 等

フライアッシュⅠ種
  混入することにより、特にコンクリートの高強度,流動性付与,
アルカリシリカ反応抑制に効果があるもの。
また、初期強度発現性も無混入の場合と遜色ないもの。

フライアッシュⅡ種
 標準的なフライアッシュで、混入することにより、特にコンクリ
ートの水和発熱抑制,長期強度の改善効果があるもの。また、コ
ンクリートへの流動性付与,アルカリシリカ反応抑制について、
無混入の場合と比較して十分に効果が発揮されるもの。

フライアッシュⅢ種
 混入することにより、特にコンクリートの水和発熱抑制,アルカ
リシリカ反応抑制,長期強度の改善に、Ⅱ種と同等の効果がある
もの。ただし、練り混ぜ時に、コンクリートの流動性,空気連行
性に関して配慮が必要。

フライアッシュⅣ種
 水和発熱抑制に対しⅡ種と同等の効果があり、アルカリシリカ反
応抑制も期待出来るもの。強度発現の点で低強度コンクリート,
工場製品等に使用可能なもので、鉄筋コンクリート用の普通コン
クリートに適用する場合には、事前に強度の発現を確認して使用
するもの。

表2.7.3 にJIS A 6201 でのフライアッシュの品質区分を示す。
また、平成11 年度に運輸省第二港湾建設局(現国土交通省関東地方整備局)で実施
したフライアッシュの品質調査では、全国の主な石炭火力発電所から発生する原粉・粗
粉(コンクリート用混和材等に利用する高品位なものではなく、余剰となっているフラ
イアッシュ)の品質は図2.7.2 に示すとおり大半のフライアッシュはⅡ種に区分される
等級のものが発生している。なお、一部に強熱減量が大きいものがあるが、これは旧式
のボイラーから発生しているものやその他の理由による。


① 密度
フライアッシュの粒子密度は一般的に1.9~2.4g/cm3の範囲にある。
表2.7.4は石炭灰のばらつきの特性を把握するため多くの事業所(20カ所×2回)と同
一事業所(2カ所×12回)から採取した新生灰(発生したばかりの灰)の密度試験結果
である。


② 粒度分布
シンダーアッシュの粒径は0.1~1mm、フライアッシュは0.1mm 以下の粒径で、両者を
広義のフライアッシュ(原粉)とした場合、フライアッシュの粒度分布は0.1mm 以下が90%
以上を占め、シルト分に相当するものが多い。

③ 粉末度(表2.7.3)
粉末度はフライアッシュをコンクリート混和材などに利用する際の強度を支配する一
つの重要な因子である。
④ 強熱減量
強熱減量は、主に未燃炭素の比率の指標を示す値であり、コンクリートや石炭灰スラ
リーの流動性に影響する。

⑤ ポゾラン反応
フライアッシュの主成分は、シリカ(SiO2)とアルミナ(Al2O3)である。これ自身は水硬
性を持たないが、微細粒子の状態で、かつ水分の存在下では、アルカリまたはアルカリ
土類と反応して不溶性化合物を生成する。これをポゾラン反応という。
例えばセメントと混合した場合、石炭灰中のシリカ、アルミナは、セメントの水和に
よって生成される水酸化カルシウム(Ca(OH)2)と徐々に反応して、カルシウムシリケー
ト水和物(3CaO・2SiO2・3H2O)、カルシウムアルミネート(3CaO・Al2O3・6H2O)、エ
トリンガイト(3CaO・Al2O3・3CaSO4・32H2O)などを生成する。この反応を以下に示
す。

2) 適用用途
フライアッシュの適用用途については表2.7.5に示すとおりであり、コンクリート用材
(混和材)としてJIS 化されており、その他にも港湾工事用としてマニュアルが示され
ている用途もある。

3) 周辺環境への影響
① pH
 石炭灰(フライアッシュ)の環境庁告示の方法で得た検液のpHは純水中で11.8~12.6、
人工海水で8.6~10.2であり、鉄鋼スラグと同様にpHは高い(「リサイクル環境保全ハ
ンドブック」環境庁)

② 有害物質の溶出
 石炭灰の有害物質の溶出特性は、表2.7.6に示すとおりである。これによると、炭種に
よって、六価クロム、砒素は僅かながら検出されており、これ以外に銅や亜鉛等が低濃
度で検出されることもある。
従って、使用を予定している石炭灰について試験を行う等により安全性を確認する必
要がある。
http://www.mlit.go.jp/kowan/recycle/2/09.pdf




Viewing all articles
Browse latest Browse all 2268

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>