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今後の土壌汚染対策の在り方について

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第2 今後の土壌汚染対策の在り方について
1 土壌汚染状況調査及び区域指定
(1)有害物質使用特定施設における土壌汚染状況調査
①一時的免除中や施設操業中の事業場における土地の形質の変更や搬出の規制

【現状】
・法では、有害物質使用特定施設の廃止時に土壌汚染状況調査が義務付けられて
いるが、操業中の施設の敷地における土地の形質の変更(3,000 ㎡以上の土地
の形質の変更の場合を除く。)や土壌の搬出には規制はない。また、有害物質
使用特定施設が廃止された場合であっても予定されている土地の利用の方法
からみて人の健康被害が生ずるおそれがない旨の確認を受けた場合(当該敷地
を継続的に、工場として使用し続ける場合等)において、土壌汚染状況調査が
一時的に免除されている。

・有害物質使用特定施設廃止時の土壌汚染状況調査(当該土地において使用、貯
蔵等されていた特定有害物質が調査の対象)において、約5割の土地で土壌汚
染が見つかっている。また、都道府県等の条例による一時的免除中や操業中の
特定有害物質取扱事業場における規制(土地の形質の変更や土壌の搬出時)に
関する調査結果(要措置区域等以外の3,000 ㎡未満の土地の形質変更に限る。)
によると、3割から5割の割合で土壌汚染が確認されており、搬出された汚染
土壌は約9万5千トン(自然由来を除く。)であった。さらに、搬入時に土壌
汚染の調査が行われない建設発生土等がある結果、土壌の搬入後に搬入場所で
土壌汚染が見つかり都道府県等が指導した事例が存在している。

・一時的免除中の土地においては、土地の利用方法が変更された場合には、都道
府県等が届出を受けて調査の要否を改めて判断することとなっているが、土地
の形質の変更が行われる場合については、必ずしも届出や都道府県等による調
査の要否の判断が行われていない。また操業中の土地についても土壌汚染状況
調査が行われていない。このため、汚染の有無や帯水層の深さが不明な状態で
土地の形質の変更が行われた場合には、汚染土壌の飛散流出や地下水汚染の発
生、拡散が懸念される。

【方向性】<資料3の議論を踏まえ、答申案を作成(以下は、資料3に記載した内容)>

・一時的免除中及び操業中の事業場については汚染土壌が存在する可能性が高
く、汚染のある場所や深さ、帯水層の位置が不明な状態で土地の形質の変更や
土壌の搬出などが行われた場合、地下水汚染の発生や汚染土壌の拡散の懸念が
ある。このため、一定規模以上の土地の形質の変更や土壌の搬出を行う場合に
は、あらかじめ都道府県等に届出を行い、当該形質変更を行う範囲に対して、
土壌汚染状況調査を行うべき。また、調査の結果、土壌汚染が確認された範囲
については、都道府県等が区域指定を行い、適正な搬出・処理を義務付けるこ
ととすべき。ただし、事業者や都道府県等の事務の負担が過大なものとならな
いよう、以下の措置を講ずるべき。

ア 調査の対象となる一時的免除中や操業中の事業場の敷地の明確化
調査の対象となる「工場・事業場の敷地」の捉え方を明確に示し、周知・
徹底する。(既に一時的免除を受けている土地における免除の範囲の見直し
についても可能とする。)

・調査の対象となる「工場・事業場の敷地」については、有害物質使用特定
施設がある場所と一連の生産プロセスを構成している場所に限定し、汚染
のおそれがない場所は調査の対象外とする。

・一連の生産プロセスか否かについては、例えば公道等や配管等(特定有害
物質を含む液体等が流れるもの)の位置を考慮して決めることとする。

イ 規模要件の設定
一時的免除中や操業中の事業場の敷地のうち、通常の管理行為等を除き、
一定規模以上の土地の形質の変更や搬出を行う場合を届出対象とする。な
お、具体的な規模要件については、形質変更時要届出区域における届出対
象や都道府県等の条例で規制対象とされている面積を考慮しつつ更に検討
すべき。

ウ 報告様式の提示
土壌汚染状況調査の結果について都道府県等による確認がスムーズに行
われるよう、一定の報告書の様式を示すべき。
②地下浸透防止措置が行われている施設廃止後の調査と施設設置者の調査への協力

【現状】
・平成24 年の水質汚濁防止法の改正後に新設された施設では、改正後の水質汚
濁防止法(以下「改正水濁法」という。)に対応した地下浸透防止措置(構造
基準の遵守、定期点検の実施等)がなされており、廃止等を契機とした調査に
おいて、土壌汚染が確認された事例はない。

・有害物質使用特定施設における調査については、土地所有者等に義務が課され
ているが、有害物質使用特定施設設置者と土地所有者が異なるケースが約3割
存在しており、有害物質使用特定施設設置者の協力が得られない場合に、使用
等されていた物質や位置の特定に支障を生じていることがある。

【方向性】
・有害物質使用特定施設は、平成24 年の改正水濁法に対応した地下浸透防止措
置が講じられた場合であっても引き続き調査対象とするが、地下浸透防止措置
が確実に講じられていることが地歴調査により確認された範囲においては、地
下浸透防止措置が講じられた後に限って当該施設で使用されていた物質につ
いて、土壌汚染のおそれが認められないものとして扱うべき。

・一方で、地下浸透防止措置のうち構造基準は満たしているものの適切に機能し
ていなかったことや、地下浸透防止措置実施前や地下浸透防止措置範囲外の土
地について有害物質の漏えい等の可能性があることが地歴調査により判明し
た場合は、当該土地における汚染拡散等による汚染状態の把握のため、試料採
取等を行うべき。

・有害物質使用特定施設の使用廃止時等の調査が適切に行われるよう、施設設置
者に対し地歴調査、試料採取等の調査への協力を義務付けるなど役割の強化を
行うべき。

(2)一定規模以上の土地の形質の変更の際の土壌汚染状況調査
① 法第4条の届出及び調査に係る手続の迅速化
【現状】
・一定規模以上の土地の形質の変更を行う場合、届出が行われた上で、公的届出
資料等の行政保有情報をもとに都道府県等により汚染のおそれが判断され、そ
の後調査が行われる仕組みであることから、手続に時間を要している場合があ
る。

・約6割の都道府県等は、より正確に汚染のおそれを判断するため、条例等によ
り届出時に地歴調査結果等の添付を求めている。

【方向性】
・法第4条の手続において汚染のおそれを的確に捉え、迅速に行政判断を行うた
めには、法第4条第1項の届出をして第2項の調査命令を受けてから調査に着
手するというこれまでの手続の他に、前もって土壌汚染状況調査(地歴調査に
より汚染のおそれがないことが判明した場合については、試料採取等は不要。)
を行い、その結果を届出時に報告する方法も選択できるよう制度に位置付ける
べき。

・法第4条第1項の届出時に私的資料の提出を求めることは、都道府県等による
汚染のおそれの判断の迅速化や正確性の向上に有効と考えられるが、一律に私
的資料の提出を求めることは都道府県等及び事業者の過大な負担につながる
ことから、引き続き公的資料にて第2項の調査命令について判断することを基
本とする。ただし、任意に提出された私的資料については、各都道府県等にお
いて、調査命令の判断の際に活用できるものとする。
・都道府県等が事務処理に係る標準処理期間を適切に定めて公表するよう促すこ
とで、手続きに要する時間を明確化すべき。

②法第4条の届出対象範囲と調査対象とする深度の適正化
【現状】
・法第4条の届出は、特定有害物質が使用される施設等が設置されることのない
土地も含めた全ての土地を対象としているが、平成25 年度までの累計では、
全国の法第4条届出件数中、調査命令が発出された割合は2%程度と低いた
め、届出対象が広範過ぎるのではないかと考えられる。自治体アンケートによ
れば、都市計画法の区域区分との関係で見た場合、都市計画区域外で調査命令
が発出された件数は1,263 件中1件、基準超過は0件であった(平成26 年度)。

・土地の形質変更の範囲外の土壌については、当該形質変更に起因する汚染の拡
散のおそれが想定されないが、平成26 年度自治体アンケートによれば、掘削
深度以深に汚染のおそれがあったために調査命令が発出された事例が存在し
ている。

【方向性】
・都市計画法の都市計画区域外の土地については、有害物質使用特定施設等が過
去に存在した可能性が著しく低いと考えられ、汚染のおそれがあるところを効
率的に調査する観点からは過剰であることから、届出対象外とすべき。

・掘削範囲外の土壌については、当該土壌の搬出による汚染の拡散、形質変更時
の汚染の飛散、帯水層に接することによる地下水汚染の発生のリスクは低いと
考えられることから、土壌汚染状況調査の対象とする深度を、原則掘削深度ま
でとすべき。この場合、都道府県等による調査命令、土壌汚染状況調査結果報
告書、台帳等において調査対象が掘削深度に限るものであることを明らかにす
べき。なお、土壌汚染状況調査を実施した深度以深を別の機会に形質変更する
場合については、改めて調査を実施することとすべき。

(3)健康被害が生ずるおそれに関する基準
【現状】
・要措置区域の指定に係る基準には、汚染状態に係る基準と健康被害が生ずるお
それに係る基準があり、後者の基準のうち、地下水経由の健康被害のおそれの
有無については、特定有害物質を含む地下水が到達しうる範囲を特定し、その
範囲内に飲用井戸等が存在するか否かにより都道府県等が判断することとな
っている。この「範囲」については、特定有害物質の種類、地層等の条件によ
り、土壌中の吸着や地下水中の拡散が大きく異なるため、個々の事例ごとに地
下水の流向・流速等や地下水質の測定結果に基づき設定されることが望ましい
とされている。しかし、実態としては、参考として環境省が通知で示している
地下水汚染が到達しうる一定の距離の目安が用いられている。

・また、都道府県等が存在を確認する必要のある飲用井戸の定義が不明確であり
(飲用の頻度が低い場合の取扱等)、また、飲用井戸の把握方法も都道府県等
により異なっており、把握のために30 日以上要している都道府県等も存在す
るなど、効果的・効率的な把握が行われていない。

【方向性】
・区域の指定基準である土壌汚染による健康被害が生ずるおそれがある土地に該
当するかどうかについては、都道府県等が地域の実情に応じ個別に判断するこ
とが原則である。したがって、当該判断の根拠となる特定有害物質による汚染
の到達範囲(対象となる帯水層の設定も含む。)については、都道府県等によ
り個別の事案ごとに適切に設定されるよう促すべき。そのため、個別の土地ご
との地下水の流向・流速、地下水質の測定結果、地質に関するデータを用い、
客観的かつ合理的に汚染の到達範囲の設定を行うための方法について技術的
検討を実施すべき。

・高濃度の地下水汚染が存在する可能性があるため、飲用井戸について、飲用頻
度が低いことや何らかの浄水処理が行われていることをもって安全が担保さ
れているとは言えないことから、浄水処理の有無や飲用頻度によらず、当該地
下水が人の飲用利用に供されている場合は、都道府県等が把握する飲用井戸と
すべき。また、都道府県等が飲用井戸に係る情報を把握しやすくするよう、人
の健康被害の防止に関する情報収集を促す規定等を設けるとともに、都道府県
等において、市町村と連携した飲用井戸の合理的な把握方法を明確化するよう
促すべき。

(4)臨海部の工業専用地域の特例
【現状】
・都市計画法で規定される工業専用地域では、工場が立地していることから土壌
汚染の可能性はあるものの、臨海部にあっては一般の居住者による地下水の飲
用及び土壌の直接摂取による健康リスクが低いと考えられ、産業活性化及び土
地の有効活用のためにも、工業専用地域の土地の形質の変更については、人の
健康へのリスクに応じた規制とするため、臨海部の工業専用地域について特例
措置を設けるべきとの指摘がある。

・他方、埋立地に立地する工業専用地域では、一定規模以上の土地の形質の変更
の際の届出が年間約50 件程度あり、そのうち土壌汚染状況調査を経て区域指
定される土地が5割程度存在する。また、臨海部の工業専用地域については、
付近に飲用井戸が存在する箇所も存在するとともに、工業専用地域であって
も、保育所や小規模店舗等の立地は可能であり、一般の人の立ち入りが可能な
場所も存在している。

・これらについては、規制改革実施計画において、「工業専用地域の土地の形質
変更に係る規制の在り方につき、事業者等の意見を踏まえつつ、人の健康への
リスクに応じた必要最小限の規制とする観点から検討し、結論を得る。」とさ
れている。

【方向性】<資料3の議論を踏まえ、答申案を作成(以下は、資料3に記載した内容)>
臨海部の工業専用地域については、一定の要件の下で以下のような特例措置を
設けるべき。

(特例区域の指定の要件と確認方法)
・臨海部の工業専用地域にあって、人への特定有害物質の摂取経路がない土地で
あり、専ら埋立材由来又は自然由来による所与の汚染が広がっており、かつ、
特定有害物質による人為由来の汚染のおそれが少ない又はおそれがない土地
については、以下のような特例を設けるべき。特例については、土地所有者等
の申請により新たな区域(以下「新区域」という。)への指定を可能とする。

・人為由来汚染の位置が特定されている土地は新区域に含めない。また、新区域
として指定後に人為由来汚染が特定された場合については、当該箇所を新区域
から除外する。

(対象地が既存の区域に指定されている場合の取扱い)
・既存の区域のうち、埋立地特例区域、自然由来特例区域及び一定の条件を満た
す埋立地管理区域については、新区域への申請を可能とする。

(新区域に係る規制と自主管理のイメージ)
・新区域については、土地の形質の変更及び土壌の移動に関する記録や新区域内
の土地に応じた土地の形質の変更の施行方法等の自主管理の方法をあらかじ
め都道府県等と合意して実施する代わりに、都度の事前届出(法第4条、第
12 条)を不要とし、年1回程度の頻度でまとめて事後的に届出を行うことと
する。一方で、汚染土壌の区域外への搬出の規制、土地の形質の変更の施行方
法の基準の遵守を求める。

・より具体的には、新区域において、土壌を区域外へ搬出する場合には、認定調
査相当の調査を行い、結果に応じた搬出規制を行うとともに、区域内での土地
の形質の変更(10 ㎡未満の形質の変更等の通常の管理行為等を除く。)及び
土壌の移動について、まとめて事後届出を年1回程度の頻度で行うこととす
る。また、土地の形質の変更の施行方法については、帯水層に接する場合、人
為由来の汚染のおそれが少ないと考えられる土地については、飛散流出防止措
置に加え、地下水質を監視又は地下水位を管理する方法とすることとし、自然
由来特例区域や埋立地特例区域、埋立地管理区域から新区域へ指定替えされた
土地や、人為由来の汚染のおそれがないと考えられる土地については、飛散流
出防止措置を講ずる方法とする。

・自主管理計画には、土地の形質の変更等の記録や施行方法の適用計画のほか、
区域内での運搬方法や地下水のモニタリング方法(実施する場合)や、人為由
来の基準不適合の存在が判明した場合の取り扱い、土地の形質の変更の施行時
のモニタリングにおける異常値検出や事故時など汚染が周囲に拡散するおそ
れがあるときの対応について位置づけるものとする。

・新区域内において、有害物質使用特定施設が新設される場合、改正水濁法に対
応した地下浸透防止措置を備えたものとなることから、施設設置場所も含め、
区域指定に変更はなく引き続き新区域として指定されることとする。なお、新
区域内に存在する既存施設又は新設された施設の廃止時には、法第3条調査に
基づき、地下水浸透防止措置が実施されている範囲を含め、調査義務が生じる
こととする。

・また、土地所有者等が新区域からの解除を希望する場合は、自主管理期間中の
土地の形質の変更や土壌の移動状況等も勘案して調査を行った上で、結果に応
じて区域指定し直すとともに、土地所有者等が変更となった場合は、新区域に
とどまるか、新区域の指定を解除・調査結果に応じた他区域への変更とするか
を新しい土地所有者等が選択できることとする。
・新区域については、都道府県等は、土地所有者等に対し、報告徴収・立入検査
を行うことができることとする。

・新区域中、専ら埋立材(昭和52 年3月15 日以前の埋立地も含む。)又は自然
由来による汚染のみが存在している土地については、後述の2(3)における
移動や資源としての活用の対象とすべき。

(5)昭和52 年3月15 日以前に埋め立てられた埋立地の取扱い
【現状】
・埋立地特例区域に指定されるための要件は、①昭和52 年3月15 日以降に公有
水面埋立法により埋め立てられた埋立地であること、②汚染原因が専ら埋立材
由来であること、③廃棄物が埋め立てられている場所でないこと、④第二溶出
量基準に適合していることとなっている。

・一方で、昭和52 年以前の埋立地であっても専ら埋立材由来である基準不適合
の土地が存在しているとの指摘がある。

【方向性】<資料3の議論を踏まえ、答申案を作成(以下は、資料3に記載した内容)>
・昭和52 年3月15 日以前に公有水面埋立法により埋め立てられた埋立地であっ
ても、土壌汚染状況調査(埋立地特例調査)において、①汚染原因が専ら埋立
材由来であること、②第二種特定有害物質(シアン化合物を除く)については
第二溶出量基準適合であること(第一種特定有害物質、第三種特定有害物質及
びシアン化合物については基準適合)、③廃棄物が埋め立てられている場所で
ないこと、が確認された場合、埋立地特例区域に指定できるようにすべき。
・併せて、埋立地管理区域又は一般管理区域について、土壌汚染状況調査の結果、
上記条件を満たす場合は、埋立地特例区域に変更することを認めるべき。




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