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中環審小委/土壌汚染対策制度見直し最終答申案/大規模開発時のルール緩和

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中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会(第8回)議事次第・資料

今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申案)
第1 背景
1 土壌汚染対策法の意義
土壌汚染対策法(以下「法」という。)が制定された当時、工場跡地等の再開
発・売却の際や環境管理の一環として汚染調査を行う事業者の増加、都道府県
等による地下水の常時監視の拡充等に伴い、重金属、揮発性有機化合物等によ
る土壌汚染が顕在化していた。

これらの有害物質による土壌汚染は、放置すれば人の健康に影響が及ぶことが
懸念されることから、国民の安全と安心を確保するため、その環境リスクを適
切に管理し、土壌汚染による人の健康への影響を防止する必要がある。このた
め、以下のリスクを管理の対象とした上で、土壌汚染の状況の把握、土壌汚染
による人の健康被害の防止に関する措置等の土壌汚染対策を実施することを内
容とする法が平成14 年に制定された。

①直接摂取によるリスク
汚染された土地で人が生活する場合に、これに伴って有害物質を含有する汚
染土壌を直接摂取(摂食又は皮膚接触(吸収))する可能性があり、これによ
り人の健康に影響が及ぶおそれがある。

②地下水等の摂取によるリスク
土壌からの有害物質の溶出により、その周辺の地下水等の汚染を生じさせる
おそれがあるが、地下水等はいったん汚染されると汚染源たる汚染土壌につい
て何らかの措置が講じられない限り一定の濃度レベルを超える汚染の範囲が
拡大し続けるとともに汚染状態が存続することになる。このため、溶出して地
下水等を汚染する以前の土壌の汚染そのものについてリスクの管理を行うこ
とにより、身近にある貴重な水資源である地下水等の汚染の未然防止を図る必
要がある。

土壌汚染対策の実施については、法制定以前の汚染行為に起因する土壌汚染で
あっても、現に当該汚染により人の健康に係る被害が生ずるおそれがあることを
踏まえ、当該土地の所有者等に当該汚染土壌についてのリスク低減措置を求める
ほか、土壌含有量基準又は土壌溶出量基準を超える汚染土壌が存在する土地の形
質変更等に際し、新たな汚染が発生することを防止するための措置を講じること
を求めるとともに、都道府県等による立入検査等を可能とするなど、土壌汚染に
よる人の健康に係る被害を防止する観点に立脚した制度とされた。

他方、法は、このように人の健康に係る被害を防止する観点に立脚する一方で、
調査については、リスク管理が必要とされる土地を的確に把握し、国民負担の軽
減に資するため、調査の対象となる区画及び物質を限定するとともに、対策につ
いても、人の健康影響を防止するための一般に必要かつ合理的なリスク低減措置
の実施を求めるなど、効率的な運用に配慮するものとされた。

2 平成21 年の土壌汚染対策法改正の背景と概要
法の制定から5年が経過した平成20 年当時の土壌汚染対策に関
する現状と課題として、

・平成21 年の改正以前の法(以下「旧法」という。)に基づかない自主的な
調査により土壌汚染が判明することが多く、このような自主的な調査により
明らかとなった土壌汚染地については、情報が開示され、適切かつ確実に管
理・対策を進めることが必要であること

・旧法では「盛土」や「封じ込め」等の摂取経路を遮断する対策を基本とし
ているが、実際には、このような対策により摂取経路を遮断できる場合であ
っても「掘削除去」が行われる等といった過剰な対策が取られることが多い
ため、汚染の程度や健康被害のおそれの有無に応じて合理的で適切な対策が
実施されるよう、指定区域については、環境リスクに応じた合理的な分類を
すべきであること

・近年、汚染された土壌の処理に関して、残土処分場や埋立地等における不
適正事例が顕在化しており、これらの不適正な処理を防止するため、適正な
処理の基準や是正措置を規定すべきであること
が指摘されていた。これらの課題を解決するために、

・一定規模の土地の形質の変更時における届出・調査(法第4条)や自主的
な調査結果による区域指定の申請(法第14 条)を認めることによる土壌汚
染の状況の把握のための制度の拡充

・過剰な土壌汚染対策を防止するため、摂取経路があり健康被害が生ずるお
それがあるため汚染の除去等の措置が必要な区域(要措置区域)と、健康被
害が生ずるおそれがないため汚染の除去等の措置が不要な区域(形質変更時
要届出区域)の分類等による、講ずべき措置の内容の明確化

・要措置区域等内の土壌の搬出の規制、汚染土壌処理施設に関する許可制度
の新設等による搬出土壌の適正処理の確保
等の法改正を行い、平成22 年4月に施行された。
また、同法改正では、汚染土壌の搬出及び運搬並びに処理に関する規制が創設
されたが、かかる規制を及ぼす上で、健康被害の防止の観点からは自然由来の有
害物質が含まれる汚染された土壌をそれ以外の汚染された土壌と区別する理由
がないことから、自然由来の有害物質が含まれる汚染された土壌を法の対象とす
ることとされた。

3 平成21 年の法改正以降の状況と主な課題
(1)土壌汚染状況調査及び区域指定
平成21 年の法改正以降、法に基づく年間の土壌汚染状況調査の結果報告件数
が2倍以上に増加しており、法改正前の課題であった法に基づく調査の拡大につ
いては一定の成果が見られる。一方で、一時的免除中や操業中の施設の敷地にお
ける土地の形質の変更や土壌の搬出には規制がなく、汚染の拡散が懸念されてい
る。平成24 年の改正水質汚濁防止法(以下「改正水濁法」という。)の施行以
降に地下浸透防止措置が実施されている施設の廃止時の調査や有害物質使用特
定施設設置者と土地所有者が異なる場合の調査の在り方等の課題がある。また、
一定規模以上の土壌汚染状況調査に関しては、手続や届出対象等に課題がある。

区域指定については、要措置区域と形質変更時要届出区域に分けて、都道府県
等により指定されるようになり、リスクに応じた管理が進んできている。一方で、
区域指定の際に考慮する、地下水汚染が到達しうる範囲の設定方法や、地下水が
到達しうる範囲に存在する飲用井戸等の都道府県等による把握方法等、区域指定
に係る技術的課題がある。また、工業専用地域の土地の形質の変更については、
平成27 年6月30 日に閣議決定された規制改革実施計画(以下「規制改革実施計
画」という。)において、人の健康へのリスクに応じた必要最小限の規制とする
観点から検討し、結論を得るとされている。

(2)要措置区域等における対策及び汚染土壌処理施設における処理
平成21 年の法改正以降、要措置区域としての指定が解除される割合は約5割
で、法改正以前とほぼ同じ割合となっているが、形質変更時要届出区域としての
指定が解除される割合は約3割で、法改正以前と比べ減少していることから、適
正なリスク管理が一定程度進んでいると考えられる。一方で、要措置区域におい
て土地所有者が実施する措置については、掘削除去が行われることが多いこと
や、計画段階や措置完了時に具体的な実施内容の都道府県等による確認が行われ
ていない場合があること、台帳に区域指定が解除された旨の記録が残らないこと
が課題となっている。また、形質変更時要届出区域(一般管理区域)における土
地の形質の変更については、健康被害のおそれがないにもかかわらず、厳しい施
行方法が求められている。

汚染土壌については、平成21 年の法改正で許可を受けた汚染土壌処理業者へ
の委託が義務付けられており、平成26 年度には、約160 万トンの汚染土壌が処
理施設において適正に処理された。また、搬出規制の例外として土壌を取り扱う
ために設けられている認定調査については、平成26 年度に182件行われ、認定
土壌量認定調査実施土量は約6万トンであった。一方で、連続しない区画間で
汚染土壌の移動ができないことや、搬出時の認定調査の負担が大きいことが課題
となっている。自然由来基準不適合土壌に対して事業活動その他の人の活動を加
えることにより生ずる相当範囲にわたる土壌の汚染であって、人の健康又は生活
環境に係る被害が生ずるものは、環境基本法第2条第3項に規定する「公害」に
該当し、その未然防止として法に基づき行う区域指定、搬出規制等の措置は、環
境基本法第21 条第1項第1号の「土壌の汚染(中略)に関し、事業者等の遵守
すべき基準を定めること等により行う公害を防止するために必要な規制の措置」
に当たると考えられる。しかしながら、自然由来基準不適合土壌及び埋立材由来
基準不適合土壌について、規制改革実施計画において、人の健康へのリスクに応
じた必要最小限の規制とする観点から検討し、結論を得るとされており、また、
現場での管理や資源としての活用を推進すべきという指摘がある。さらに、約半
数の汚染土壌処理業者が都道府県等に対して処理状況の報告を行っていない等
の課題がある。

(3)その他
指定調査機関については、環境大臣等が約700 の機関を指定しているが、平成
21 年の法改正で環境大臣が実施する試験に合格した技術管理者の設置が義務付
けられており、現在約2,200 名余が技術管理者証の交付を受けている。一方で、
技術管理者が適切に調査を指揮・監督できていないと思われる事例や業務規程が
十分に機能していないと思われる事例がある等の課題がある。また、指定調査機
関の届出事項について、法律で規定する14 日前までに届け出ることが難しいも
のがあるとの指摘がある。

基金については、法制定以降、助成金交付事業の実績が2件にとどまっており、
基金制度の継続の必要性、今後の在り方が課題となっている。
測定方法については、海外の状況も踏まえて、土壌の汚染状態をより適切に分
析できるようその在り方について検討することが必要となっている。

第2 今後の土壌汚染対策の在り方

中略

(法第4条の調査対象とする深度の適正化)
土地の形質変更の範囲外の土壌については、平成26 年度自治体アンケート
によれば、土地の掘削深度以深に汚染のおそれがあったために法第4条の調査
命令が発出された事例が存在している。

一方で、当該土壌については、搬出による汚染の拡散、形質変更時の汚染
の飛散、帯水層に接することによる地下水汚染の発生のリスクは低いと考えら
れることから、法第4条の調査命令による土壌汚染状況調査の対象とする深度
を、原則掘削深度まで(最大深度10 メートルとする。)とすべきである。



ア 特例区域の指定の要件と確認方法
臨海部の工業専用地域にあって、人への特定有害物質の摂取経路がない土
地であり、専ら埋立材由来又は自然由来による所与の基準不適合土壌が広が
っており、かつ、特定有害物質による人為由来の汚染のおそれが少ない又は
おそれがない土地については、特例を設けることとし、土地所有者等の申請
により新たな区域(以下「新区域」という。)への指定を可能とすべきであ
る。
ただし、人為由来汚染の位置が特定されている土地は新区域に含めない。
また、新区域として指定後に人為由来汚染が特定された場合については、当
該箇所を新区域から除外する。

イ 対象地が既存の区域に指定されている場合の取扱い
既存の区域のうち、埋立地特例区域、自然由来特例区域及び一定の条件を
満たす埋立地管理区域については、新区域への申請を可能とする。

ウ 新区域に係る規制と自主管理のイメージ
新区域については、土地の形質の変更及び土壌の移動に関する記録や新区
域内の土地に応じた土地の形質の変更の施行方法の適用の考え方などの自
主管理の方法をあらかじめ都道府県等と合意して実施する代わりに、都度の
事前届出(法第4条、第12 条)を不要とし、土壌汚染の状況を適切に管理
する上で最低限必要な情報を年1回程度の頻度でまとめて事後的に届出を
行うこととする。一方で、汚染土壌の区域外への搬出の規制、土地の形質の
変更の施行方法の基準の遵守を求める。
より具体的には、新区域において、土壌を区域外へ搬出する場合には、認
定調査相当の調査を行い、結果に応じた搬出規制を行うとともに、区域内で
の土地の形質の変更(10 ㎡未満の形質の変更等の通常の管理行為等を除く。)
及び土壌の移動についての記録や土壌の移動状況を示した図面等を年1回
程度の頻度でまとめて事後に届け出ることとする。


日時

平成28年12月7日(水)15:30~17:30

議事次第

1 開会
2 議事
(1)「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申案)」について


配付資料一覧

資料1
中央環境審議会土壌農薬部会土壌制度小委員会委員名簿 [PDF 52KB]
資料2
「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申案)」に関する意見募集(パブリックコメント)の結果について [PDF 361KB]
資料3
「今後の土壌汚染対策の在り方について(第一次答申案)」 [PDF 253KB]
参考資料1
中央環境審議会議事運営規則 [PDF 89KB]
参考資料2
土壌汚染対策法の概要 [PDF 135KB]
参考資料3
土壌汚染対策法(平成14年法律第53号) [PDF 721KB]
参考資料4
土壌汚染対策法施行令(平成14年政令第336号) [PDF 159KB]
参考資料5
土壌汚染対策法施行規則(平成14年環境省令第29号) [PDF 1,832KB]
参考資料6
土壌の汚染に係る環境基準について(平成3年環境庁告示第46号) [PDF 112KB]
参考資料7
平成26年度土壌汚染対策法の施行状況及び土壌汚染調査・対策事例等に関する調査結果 [PDF 1,595KB]
参考資料8
第4回土壌制度小委員会(平成28年7月7日)資料2(今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点~土壌汚染の調査、区域指定等~) [PDF 389KB]
参考資料9
第5回土壌制度小委員会(平成28年7月22日)資料2(今後の土壌汚染対策の在り方に係る論点~指定区域における対策、汚染土壌処理施設における処理等~) [PDF 781KB]
参考資料10
第6回土壌制度小委員会(平成28年9月2日)資料3(論点に係る補足説明資料) [PDF 604KB]
参考資料11
第7回土壌制度小委員会(平成28年10月18日)資料3(補足説明資料) [PDF 179KB]


中環審小委/土壌汚染対策制度見直し最終答申案/大規模開発時のルール緩和

   [2016年12月8日1面]
 土壌汚染対策制度の見直しを検討してきた中央環境審議会(中環審、環境相の諮問機関)の小委員会は7日、大規模開発時の汚染土壌処理ルールの緩和を柱とする最終答申案をまとめた。地方自治体が行う土壌汚染状況調査の評価の迅速化を図る。環境省は年内にまとまる答申を踏まえ、来年の通常国会に土壌汚染対策法改正案を提出する。
 最終答申案は、小委員会がこれまでの会合で行ってきた民間団体からの聞き取り調査を経てまとめた。大規模開発時の汚染土壌処理ルールの緩和は日本建設業連合会(日建連)が要望していた。
 環境省によると、現行法で規定されている一定規模(3000平方メートル)以上の土地形質変更時に、施工業者が自治体に土壌汚染状況調査を届け出てから実際に着工するまでにかかる標準的な評価手続き期間は1カ月程度だが、実際には最長1年以上かかるケースも生じているという。
 最終答申案では、評価手続きの迅速化を提案。新たな選択肢として、自治体への届け出前に独自に行った調査の結果を報告し、その有効性を認める仕組みの追加を求めた。自治体には届け出を行った施工業者に私的な資料の提出を求めることを原則禁じるとともに、あらかじめ手続きにかかる具体的な期間を明確にしておくことも求めている。
 このほか、土壌汚染状況調査結果に基づく自治体指定の「要措置区域」での土地形質変更工事の簡素化も提案。現行法ではコストがかさむ地下20メートル程度の準不透水層にまで遮水壁を設置することを原則としているが、このルールを緩めるよう求めた。
 日建連は、土壌汚染状況調査の手続きについて、実際に形質変更工事を施工する立場から、自治体への届け出後も含め、評価を行う自治体から複数回の事前協議や法令で規定されていない施工業者の私的な資料の提出を求められるケースがあると指摘。そうした影響で発生した工事の中断・遅延や事業の中止に伴う追加コストが余分な負担になっているとして、改善を要望していた。



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