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[転載]? カネミ油症の原因物質であるライスオイルは、どこに捨てたのでしょうか?&「油症認定患者と一般人における ダイオキシン類の血中残留性と暴露経路の関連性について」を読む

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?カネミ油症の原因物質であるライスオイルは、どこに捨てたのでしょうか? 


カネミ油症の損害賠償を求めた訴訟で、時効により患者側が敗訴が確定したことは、とても残念なことだと思います。
さて、カネミ油症の原因物質であるライスオイルは、どこに捨てたのでしょうか?
海や畑に捨てたという話を聞きますが、具体的に土壌汚染や底質汚染を確認できれば、カネミ油症被害者認定の具体的な判断資料になるかも知れません。
カネミ油症被害者救済のため、ライスオイルを何処に捨てたのかをご存知の方がいらっしゃいましたら、お教えくださいますようお願いします。


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「回復への祈り‐カネミ40年記念誌‐」と言う本の
第2章 被害者の証言より
http://www.yusho.hosp.kyushu-u.ac.jp/about/pdf/20141119_data.pdf
この49ページに以下の記載があります。

『問題のカネミ油を買ったのは、昭和43年頃だった思います。安くて良い油があるときいて〇〇商店から一斗缶で購入(中略)
しかし、昭和43年8月頃、〇〇で米穀の販売業を経営していた叔父から、この油は悪い油らしいから食べてはいけないと注意を受け、びっくりして残った油を缶ごと一緒に屋外に捨ててしまいました。残った油は4升ぐらいで、家族で6升ものカネミ油を食べたことになります。
 その原因で、私たちは全身的な障害を受け、(以下略)』
との記載があります。

昭和43年ごろに、油を捨てるとなると川や海、山ぐらいだろうと思います。もし、土壌や底質に含まれる当時のカネミ油を分析することができれば、ロットごとに異なるカネミ油の毒性組成が明らかになり、認定されない患者に対する新たな知見が分かるかも知れません。

他に、ご存知の方がいらっしゃいましたらお教え頂きますようお願いします。

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油症認定患者と一般人におけるダイオキシン類の血中残留性と暴露経路の関連性について

はじめに
ポリ塩化ビフェニル(PCB)等に汚染されたカ
ネミライスオイルの摂取に起因する油症事件が発
生して38年以上が経過した.飯田ら􌛋􌛗􌛙􌛎􌛗は1995
年頃より油症認定患者(以下,油症患者と記す)
血液中のPCB,ポリ塩化ジベンゾフラン(PCDF)
及びポリ塩化ジベンゾダイオキシン(PCDD)等の
ダイオキシン類濃度レベルの追跡調査を継続して
きた.その結果,現在でも一般人と比較してかな
り高濃度のダイオキシン類が血液中に検出され,
あらためて残留性の高さが再確認された􌛏􌛗.さら
に,残留レベルの差に加えて,ダイオキシン類同
属体の残留パターンが互いに著しく異なっている
ことが明らかにされている􌛌􌛗􌛍􌛗.その原因は油症患
者と一般人では,暴露された化学物質の組成,暴
露量,暴露期間等の暴露状況の違いに起因するも
のと考えられる.油症患者はカネミライスオイル
に混入した種々の化学物質,特に,PCB,PCDF 及
びPCDD 等のダイオキシン類に高濃度の暴露を
受けたことがわかっている􌛐􌛗.一方,一般人も低濃
度ではあるが,食事を通じて日常的にダイオキシ
ン類の暴露を受けていることが明らかにされてい
る􌛑􌛗.このように両グループともに類似の化学物
質の暴露を受けているが,血中の残留状況と暴露
状況の関連性を詳しく評価した報告は少ない.血
中の残留状況と暴露経路の関連性を評価するには,
暴露源と人体のダイオキシン類濃度・組成情報が
必要である.油症患者のダイオキシン類暴露量は
吉村による原因カネミライスオイルの摂取量調
査􌛒􌛗や組成分析をもとに増田ら􌛓􌛗によって推定さ
れている.また,一般人のダイオキシン類暴露量
は,厚生労働省によるトータルダイエット調査􌛋􌛔􌛗
等を通じて明らかにされてきた.それらのデータ
を利用すれば,油症患者及び一般人の血中ダイオ
キシン類の残留特性と暴露量の関係を解析できる
と考えられる.
そこで,本報告では,現在までに得られている
油症患者と一般人のダイオキシン類暴露量と血中
残留性に関する報告値をもとに,カネミライスオ
イルを摂取した油症患者と食事から摂取した一般
人の血中ダイオキシン類の残留特性を比較検討し
た.

対象と方法
 油症患者及び一般人のダイオキシン類濃度
油症患者の血中のダイオキシン類濃度は飯田
ら􌛎􌛗の報告値を使用した.このデータは2001年度
受診された油症認定患者78名を対象としたもの
で,平均年齢は65歳であった.一般人について
は,油症患者と同じ平均年齢65歳の一般住民検診
受診者127名を対象とした飯田らの調査結果
を使用した.なお,これらの調査における血中の
ダイオキシン類分析の精度を確認するため,3分
析機関によるクロスチェック􌛋􌛌􌛗を実施したとこ
ろ,良好な結果であった.

油症患者のダイオキシン類摂取量の推定
 油症患者のダイオキシン類摂取量は,飯田ら
によって測定されたカネミライスオイルのダイオ
キシン類濃度と油症患者が摂取したカネミライス
オイルの平均摂取量(Hayabuchiら1979)より
推定した.ここで,カネミライスオイルの平均摂
取量は688ml,カネミライスオイルの比重は0.92
として計算した.

食品経由のダイオキシン類摂取量の推定
 一般人におけるダイオキシン類の摂取量は,平
成10年度に厚生省(当時,現厚生労働省)が実施
したダイオキシン類の食品経由摂取量に関する研
究(トータルダイエットスタディ)の成果をまと
めた「食品中のダイオキシン類汚染実態調査研究
報告書」􌛋􌛔􌛗の報告値を使用して計算した.この調
査は全国7地域に分けて行われているが,九州地
区における各食品群のダイオキシン類濃度と国民
栄養調査の食品別摂取量表をもとに同族体ごとに
平均的な食生活におけるダイオキシン類の一日摂
取量を算出した.総摂取量は一日摂取量に65歳ま
での日数を乗じて計算した.

結果と考察
 油症患者及び一般人のダイオキシン類の血中の

残留状況
 油症患者及び一般人の血中のダイオキシン類濃
度をTable1に示した.油症患者の血中ダイオキ
シン類濃度は一般人と比較してPCDD が
0.3~2.3倍,PCDF が0.9~5.2倍, ノンオルソ
コプラナーPCB(Non-Co-PCB)が0.7~3.3倍
及びモノオルソコプラナーPCB(Mono-Co-
PCB)が0.7~6.4倍であった.油症患者及び一般
人の平均TEQ濃度はそれぞれ,206及び46pg-
TEQ/g lipidであり,油症患者の方が4.5倍高濃
度であった.カネミ油症事件が発生して38年以上
経過し,血中濃度がかなり低下したとはいえ依然
一般人と比較すると高いレベルであった.TEQ
の構成割合は,油症患者ではPCDF が68%を占
め他の同族体の寄与率が少ないのに対して,一般
人はPCDD が33%で,ついでNon-Co-PCB
(26%),PCDF(22%)及びMono-Co-PCB(20%)
の順であった.このように両グループ間では
TEQの構成割合に顕著な差が認められた.

Table 1の測定値をもとにPCDD,PCDF,
 Non-Co-PCB 及びMono-Co-PCB 等の同族体
別に濃度構成割合を表した結果をFig.1に示す.
PCDD では両グループともにOCDD が80%以上
を占め,他の同族体は10%以下であった.油症患
者と一般人の間でPCDD 同族体の構成割合に大
きな違いは認められなかった.PCDF では両グ
ループともに2,3,4,7,8-PeCDF が50-70%以上を
占め,ついで1,2,3,4,7,8-HxCDF,1,2,3,6,7,
8-HxCDF(10-20%)の順で他の物質は10%以下
であった.Non-Co-PCB については油症患者に
おいてPCB169 の割合が70%を占めるが,一般人
ではPCB126が60%を占め油症患者と構成割合
が異なっている.Mono-Co-PCB については油症
患者においてPCB156の割合が高く50%を占め
ているがPCB118の割合20%と少なく,一般人で
は50%を占め,逆にPCB156は20%以下であり
両者間に顕著な差が認められた.
ダイオキシン類の摂取量
一般人と油症患者のダイオキシン類総摂取量を
計算した結果をTable 2に示す.油症患者のダイ
オキシン類総摂取量は一般人と比較してPCDD
が1~78倍,PCDF,0~1029,Non-Co-PCB が
14~390倍,Mono-Co-PCB が26~227倍,及び
TEQ値が151倍であった.油症の諸症状と最も
関連性の高いと考えられている2,3,4,7,8-PeCDF
及び1,2,3,4,7,8-HxCDF は475及び1029倍にも
達した.


中略


ダイオキシン類の摂取量
一般人と油症患者のダイオキシン類総摂取量を
計算した結果をTable 2に示す.油症患者のダイ
オキシン類総摂取量は一般人と比較してPCDD
が1~78倍,PCDF,0~1029,Non-Co-PCB が
14~390倍,Mono-Co-PCB が26~227倍,及び
TEQ値が151倍であった.油症の諸症状と最も
関連性の高いと考えられている2,3,4,7,8-PeCDF
及び1,2,3,4,7,8-HxCDF は475及び1029倍にも
達した.
油症患者のダイオキシン類の総摂取量は357
μg-TEQと推定された.一般人のダイオキシン類
の総摂取量は2.4μg-TEQと推定された.このよ
うに油症患者は発症までに一般人と比較して
TEQベースで150倍の高濃度暴露を受けたもの
と推定された.

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 油症患者のダイオキシン類摂取量を見積もるた
めには油症患者が摂取した油症ライスオイルのダ
イオキシン類濃度と摂取量が必要であった.前者
についてはTanabe et al,飯田ら及び元
らの報告があり,後者については吉村  の報告を
もとに油症患者が摂取したカネミライスオイルを
算出したHayabuchi et al.􌛋􌛎􌛗の報告がある.今回
は飯田らとHayabuchi et al.の報告値を用いて計
算した.その結果,総摂取量は357μg-TEQで
あった.この値は増田らの報告値􌛓􌛗(620μg)より
60%程度で低値であったが, 元らの測定値を用
いて計算した結果に近い値であった.いずれにし
ても両者の差は大きいものではなく,製造日ある
いは出荷時等分析に供したカネミライスオイルの
ロットの差􌛋􌛑􌛗に起因するものと考えられた.
一般人のダイオキシン類摂取量を一日当たりに
換算すると食事からの摂取量は100pg-TEQ/
day/person,体重1 kg 当たりでは1.67pg-
TEQ /dayと推定された.この値は耐用一日摂取
量(TDI 4 pg-TEQ/kg/day)を下回っており,
平成10年度の全国調査結果􌛋􌛔􌛗(1.4-2.7pg-
TEQ/kg/day平均値1.7pg/kg/day)とほとんど
同じ値であった.油症患者の場合はダイオキシン
類の摂取量は5300ng-TEQ/day/person,88.8
ng-TEQ/kg/dayと推定された.ダイオキシン類
一日摂取量を比較すると油症患者は一般人の5万
倍の一日摂取量に相当するが,摂取期間が短かっ
たため,総暴露量は前述したように150倍と推定
された


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血液と暴露源のダイオキシン類の比較
Fig.2に油症患者について血中及びカネミライ
スオイルを通じて摂取したダイオキシン類同族体
の構成割合を示した.Fig.3に一般人について同
様なグラフを示した.縦軸はいずれも各同族体総
濃度に対する各化合物の割合を示している.油症
患者の血中PCDD 同族体の構成割合はOCDD が
80%を占め,他の化合物は10%以下であった.カ
ネミライスオイルのそれは1,2,3,4,7,8-HpCDD が
40%を占め,ついでOCDD 及び1,2,3,6,7,
8-HxCDD がそれぞれ20%程度であり血中
PCDD 同族体の構成割合とは異なっていた.一
方,一般人では血中と食品の構成割合はお互いに
よく類似していた.
油症患者の血中PCDF 同族体の構成割合は2,
3,4,7,8-PeCDF が70%を占め,ついで1,2,3,4,7,
8-HxCDF,1,2,3,6,7,8-HxCDF(10-20%)の順で
ある.この構成割合はカネミライスオイルのそれ
と比較的類似していた.一方,一般人の血中での2,
3,4,7,8-PeCDF,1,2,3,4,7,8-HxCDF,1,2,3,6,7,
8-HxCDF 等の構成割合は油症患者のそれと類似
しているが,2,3,7,8-TCDF のように一般人の暴露
源で25%を占めているのに血中での割合が低い
ものがあった.その他にも2,3,4,7,8-PeCDF,1,2,
3,4,7,8-HxCDF 及び1,2,3,6,7,8-HxCDF 等を除
いて両者ともに血中残留濃度は低かった.2,3,4,7,
8-PeCDF は両グループともに血中の総TEQに
占める毒性寄与率が最も高い物質であり,油症患
者では62%を占めている.増田ら􌛋􌛒􌛗􌛙􌛌􌛋􌛗は日本と
台湾の油症患者血中のPCB,PCDF について濃度
推移を詳しく追跡している.その結果,PCDF の
半減期は7.7年と非常に長く人体への残留性が高
い物質であり,神奈川ら􌛌􌛌􌛗は35年以上経過した
時点でも油症患者に残る諸症状との関連性を示唆
している.
Non-Co-PCB についてはカネミライスオイル
からの摂取割合が低いPCB 169(8%)が油症患
者の血中では70%を占めている.一方,一般人で
摂取量の80%を占めるPCB 77の血中での割合
は数%であり,その代わりにPCB 126が60%を
占め油症患者と顕著な違いが見られた.
Mono-Co-PCB については油症患者の血中
PCB 118及びPCB 156の割合はそれぞれ20及
び40%であったが,一般人のそれは60及び20%
であった.PCB 118とPCB 156の構成割合に関
してして両グループ間に顕著な差が認められた.
一方,暴露源であるカネミライスオイル及び食品
におけるPCB 同族体の構成割合は両者間に大き
な違いは認められなかった.今までPCB の構成
割合で検討してきたが,総摂取量でみても,両グ
ループともにPCB 118の摂取量が最も多いにも
かかわらず,油症患者の血中濃度は一般人の80%
程度である.これとは逆にPCB 156は食品及びカ
ネミライスオイルともにPCB 118より摂取量が
はるかに低いにもかかわらず血中残留濃度は油症
患者の方が5.7倍も高かった.これは, 摂取した
PCB が油症患者では一般人と異なる生体内挙動
をとることを示唆している.堀ら􌛌􌛍􌛗はPCB と
PCDF を同時投与したマウスのPCB 残留状況は
油症患者に類似したパターンを示すことを明らか
にした.すなわち,PCB 118に相当するピークの
減少がみられ,その原因としてPCDF 投与により
強い酵素誘導が起こりPCB 118の代謝促進が起
こると推定している.そのために一般人と異なる
油症患者特有のPCB パターン􌛌􌛎􌛗を示すものと考
えられている.一方,一般人の場合,PCBsの摂取
は食事由来が大部分を占め,特に我が国では魚介
類を多食する傾向があるためPCB 118の摂取量
も多く油症患者の総摂取量と比較して1/38程度
であるが,油症患者のような短期間に高濃度の暴
露を受けなかったため,酵素誘導に基づく
PCB 118の代謝促進は起こらなかったものと推
察される.
生体内運命が類似する化学物質では暴露量と人
体の残留量は相関すると考えられるが,物理化学
的性質が類似しているダイオキシン類同族体で
あっても実際には体内吸収率,代謝性,排泄がそ
れぞれ異なるため,それらの影響を受けて血中の
最終的な残留パターンが決まることが示唆された.

総括
油症患者と一般人の血中ダイオキシン類の残留
パターンは互いに顕著な差がみられる.この違い
を考察するため,それぞれの暴露源であるカネミ
ライスオイル及び食事のダイオキシン類組成及び
摂取量と関連させて比較検討した.
一般人について血液と食事中のダイオキシン同
族体の組成割合を比較検討した結果,PCB 及び
PCDD の血中残留状況は食事の同族体の組成割
合と類似していた.一方,油症患者の場合,血中
残留状況は食事あるいはカネミライスオイルいず
れの同族体組成割とも類似せず一般人の血中残留
同族体組成とも異なっており,同族体の選択的代
謝が推察された.両グループの主な暴露源である
カネミライスオイル及び食事からの推定総暴露量
はTEQ値で150倍の開きがあったが,2001年度
の時点における血中の濃度比は4.5倍であった.
しかし,油症の諸症状に最も関連している物質と
考えられている2,3,4,7,8-PeCDF の濃度レベルは
一般人の10倍以上のレベルであり,今後とも注意
深く観察する必要があると考えられた.

大阪市 津守の木津川運河の底質ダイオキシン

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転載元: 土壌・底質を学ぶ


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