化学製品PL相談センターに以下の相談がありました。
相談「1ヵ月ほど前から、隣家が駐車場に、除草剤を週に2~3回まいている。そのころから異臭を感じ、のどが腫れる、目が痛いなどの症状がでている。総合病院の診察を受けたが、「体調不良と除草剤の関係は断言できない」と言われた。隣家に除草剤の使用中止を申し入れても、聞き入れられない。住宅における除草剤の使用について、規制はないのか」
回答使用された除草剤が、農薬登録された製品であるかどうか不明ですが、いずれにせよその使用にあっては、農薬と同様の配慮が必要。農薬使用に当たっては、ラベルに記載された使用方法を遵守すること、周辺住民に十分周知すること等が求められる。製品に記載された使用頻度や散布方法の遵守を再度隣家に申し入れるよう、お話しされてはいかがか。(化学製品PL相談センター アクティビティーノート〈第 234 号〉 2016 年8 月10 日発行、p. 3)
除草剤使用にあたっては農水・環境省通知「住宅地における農薬使用(使用濃度・使用回数・使用間隔など)について」を守り、かつ農薬取締法による多くの規制があります。
20年程前の話ですが、水田初期の除草剤として使用されてきたCNP(ジフェニルエーテル系の薬剤)は、胆のうがんの原因物質でした。CNP中に不純物のダイオキシン類が含まれていることが判明したのをきっかけに市民の反対運動がおき、さらに新潟大学の研究者グループが、がんとの因果関係を報告したことで、やっとメーカーの販売自粛にいたりました。
CNPは河川へ流入して、全国各地の水系を汚染しました。汚染された魚介類には、水中濃度の1000~2000倍のCNPが生物濃縮されていることが明らかになっています。東京中央市場に入荷した17種の魚介類は30%の検出率だったそうです。しかし、政府は登録取り消しなどの措置をとりませんでした。
最近、でまわっているグリホサートは、国際がん研究機関IARCが、発がん物質2Aに分類したことで、海外では禁止する国が続出していますが、日本政府は無視しています。グリホサートは公園や駐車場などでも使えることになっています。
JAは、10種類程度の殺虫剤と殺菌剤、除草剤のジェネリック農薬開発に参入するそうです。理由は安いからです。TPPで輸入農産物が増え、国内農家の経営が厳しくなるため、農家の負担軽減が目的です。しかし、殆どの農薬は十分な安全試験が行われていません。この相談者のような人は、氷山の一角。
農薬と健康被害の関係を診断できる医師が極めて少ないことも心細いです。
化学製品PL相談センター、毎日新聞、名古屋生活クラブ他