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進めたい がれき広域処理

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進めたい がれき広域処理

2012年2月6日付
安全周知に国の努力を
岩手、宮城の両県分 公明、ネットワークで後押し
空間放射線量の測定結果
 
 岩手、宮城両県沿岸部の災害廃棄物(がれき)を全国の自治体で受け入れる広域処理。復旧・復興の前途をがれきの山に阻まれる被災地の苦悩を分かち合おうと、昨年4月には42都道府県の572市町村・事務組合が広域処理を受け入れる意向を表明した。
 しかし、同10月の再調査では54に激減。放射性物質への誤解や懸念が背景にあり、がれきの安全性をめぐる政府の周知不足が否めない。

 広域処理の対象は、東日本大震災の津波被害が大きかった岩手、宮城、福島の被災3県のうち、国の責任で県内処理される福島県を除く、岩手、宮城両県のがれき。その量はそれぞれ通常の約11年分(476万トン)と約19年分(1569万トン)に上る。地元の処理能力をはるかに超え、広域処理への協力を全国に呼び掛けている。

 環境省が策定した「災害廃棄物の広域処理の推進に係るガイドライン」によれば、まず被災地で可燃物と不燃物、再生利用品にがれきを分別。放射性物質の濃度が不検出または低く、安全性が確認された可燃物や不燃物を全国各地に運び出し、焼却などの処理を経て最終処分場に埋め立てる、というのが広域処理の流れだ。

 がれきの安全性を確認する基準は、埋立処分の際、可燃物の焼却灰や不燃物の放射性セシウム濃度が「1キログラム当たり8000ベクレル以下」と設定。この数字であれば、放射線量が年間0.01ミリシーベルト以下(一般公衆の年間線量限度は1ミリシーベルト)にとどまり、「周辺住民、作業者のいずれにも安全に処理することが十分可能」としている。

 この安全基準に対し、環境省は岩手、宮城両県沿岸部の空間放射線量【表参照】が他地域と比べて高くないことや、被災地でのがれきの測定で放射性セシウム濃度が不検出か、基準を大幅に下回る結果が出ていることを強調。搬出から埋立処分までの過程でも放射能濃度を重ねて測定するなど「徹底的な安全管理のもとで実施する」としている。

 これまでに東京都が3年間で50万トンの受け入れをめざして処分を開始し、山形県でも既に実施。これに続き、静岡県島田市が試験焼却の実施を決め、埼玉、神奈川の両県などが受け入れ協力を表明している。

 今月2日に開かれた同チームの会合では、環境省に現状の説明を求める一方、さらなる推進に向けた課題を協議。可燃物の焼却灰と不燃物を埋立処分する際の基準「1キログラム当たり8000ベクレル以下」と、市中に広く出回る金属やコンクリートなどの再生利用品に適用される「1キログラム当たり100ベクレル以下」という数字が整理されず、混乱が生じている問題などが指摘された。

 広域処理に対する住民の理解を得るため、木庭座長らが安全性の周知徹底を求めたのに対し、環境省の山本昌宏廃棄物対策課長は「まだ説明が十分でないために誤解が生じており、引き続き徹底していきたい」と応じた。

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