放射能汚染土洗浄用粉末で浄化/三井住友建設が実用化急ぐ
- 【太田金沢大大学院教授と開発へ連携】
三井住友建設は、放射能に汚染された土を浄化する処理システムの開発に着手した。金沢大大学院の太田富久教授が開発した工業用排水の浄化洗浄用粉末「K525」には放射能汚染水から放射能物質を取り除く効果があり、これを汚染土の浄化に活用する計画で、太田教授と連携して実用化を急ぐ。福島第一原子力発電所の放射能漏れ事故を受け、校庭などの表土処理が問題視される中、同社は「2カ月後をめどに開発を完了したい」と強調する。
K525は、汚染水から放射性物質を沈殿させる効果があり、実験レベルでは水に溶けた放射能を持たないセシウム、ヨウ素、ストロンチウムを沈殿させることが確認済み。太田教授は放射性をもつ場合でも同様の効果を得られるとの見通しをもっている。
同社は太田教授からの依頼を受け、放射能汚染水の浄化プラントの設計に協力しており、これに並行して放射能汚染土の浄化システムの開発にも乗り出している。土に付着した放射性物質を水に移し、K525を使って沈殿させる仕組みだが、現時点ではまだ課題は残っている。
細かな粒子になれば、それだけ放射能物質との結合度が強く、洗浄しただけでは水に移しにくい。同社はその仕組みを早急に確立し、具体的に浄化プラントの設計に着手する。
現時点では、10日間程度をかけて校庭の表層土を浄化できる簡易型浄化システムの実用化を目指している。
福島原発の汚染水処理はフランスのアレバ社が取り組んでいるが、万が一に備えてバックアップシステムの必要性が指摘されている。放射能汚染土についても表層を入れ替える処理方法では、放射能物質を地中に残したまま放置するとの指摘があり、有効な浄化方法を求める声が広がっている。
転載元: 3月11日 ATC放射性物汚染対処シンポジウムの参加者募集