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放射線の計測技術

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放射線の計測技術

 表2.2 に放射線の検出に利用される検出器と相互作用についてまとめました。
  α 線の計測には比例計数管、固体(半導体)検出器が用いられる。β 線の計測には有機シンチレーション検出器、GM 計数管、比例計数管、電離箱、固体(半導体)検出器が用いられています。γ 線、X線の検出には無機シンチレーション検出器、GM 計数管、固体(半導体)検出器が使用されます。ここでは、特にγ 線測定(主としてCs137 及びCs134 などによる線量率及び放射能量)に用いられる各種計測機器の概略についてのみ示します。
 
 
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 まず、空間線量(1 cm 線量当量)測定用として持ち運びの容易なサーベイメーターでは、電離箱、GM 計数管、NaI(Tl)シンチレーション式が一般的です。計測値もμSv/h 単位で表すことができるNaI(Tl)シンチレーション式は通常、放射線の検出感度が高いがエネルギー依存性が劣るため、カウント(cpm; count per minute; 一分当たりの放射線検出数)測定が基本的に可能ですが、良好なエネルギー依存性を補償する機種も販売されています)。
 γ 線放出核種の定性、定量測定に用いられる検出器としては、まずNaI(Tl)シンチレーションカウンター(NaI(Tl)シンチレーション検出器)が挙げられます。γ 線を受けたNaI(Tl)結晶中で生じた電離や励起が元に戻る過程で生じる蛍光を光電子増倍管において電子に変換するが、光電子増倍管は波高分析器につながっており、光電子増倍管から生じた信号の数(ピーク数)と振幅(ピーク面積)を測定し、核種同定と放射能測定を行います。

 NaI(Tl)シンチレーションカウンターよりもエネルギー分解能に優れ、核種同定に威力を発揮するのがゲルマニウム(Ge)半導体検出器です。円筒形のGe 半導体中にγ 線が入射するとGe 結晶中に生じた電子-正孔対に由来する電離電流が生じ、パルスとしての電気信号が得られます。電子-正孔対を1 個作り出すのに必要なエネルギーは、ゲルマニウム半導体検出器でわずか3 eV であり、気体電離を原理とする検出器に比べてはるかに大きなばらつきの少ない信号が得られます。
 測定に用いる電子回路はNaI(Tl)シンチレーションカウンターの場合と同様で検出器からの電気信号を増幅器で拡大し、多重波高分析器で解析します。Ge 検出器では、検出するγ 線のエネルギーが約2 keV 異なれば分離可能であり、核種同定と放射能の定量には現在、ほとんどGe 半導体検出器が用いられています。
 電離箱サーベイメーターによる線量当量率の測定もμSv/h 単位で表記されます。安定した
状態での指示値の精度は良く、サーベイメーターだけでなく、エリアモニタとして長く利用されてきています。シャッターを開けるものについては、外したときの計測値と閉じた状態の差を以って、β 線の線量率測定することも可能です。しかしながら、電源を入れてから数分待たなければならないこと、衝撃に弱いことに注意する必要です。

 GM サーベイメーターについては、μSv/h 表示できるもの(線量率測定用)とcpm 表示(表面密度測定用)の2 種類が存在します。計数はγ 線だけでなくβ 線も検出するので、γ 線の精度のよい測定をする場合には十分に注意する必要です。一般的に、時定数の設定のあるもので長い時定数の方がより精度の高い測定が可能ですが、計測には時定数の3 倍の時間保持(例えば、時定数が10 秒となっている場合、30 秒間保持しての読み値を測定値とすべきである)して測定すべきとされています。モニタリングポスト、エリアモニタ、個人被ばく測定用の線量計も含めて、上記の放射線による相互作用を利用した検出器が利用されています。
 

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