目標による管理
目標による管理とは、組織のマネジメント手法の1つで、個々の担当者に自らの業務目標を設定、申告させ、その進捗や実行を各人が自ら主体的に管理する手法。
1950年代に米国のピーター・ドラッカーが提唱したとされる。本人の自主性に任せることで、主体性が発揮されて結果として大きな成果が得られるという人間観/組織観に基づくもの。また、ドラッカーがユダヤ人であり、人種や性格特性ではなく、結果/成果だけを見てほしいという叫びに似た記述を『現代の経営』においてしている。
目標管理は、米語でManagement by objectivesといい、MBOと略される。『目標による管理』とはその訳語である。単に「目標管理」ともいうが、「目標管理」では「目標」そのものを管理(マネジメント)することと誤解されやすいので、「目標による管理」が本来の意味を表しているとされる。
目標管理は、ダグラス・マクレガーによって継承され(1953年に"An uneasy look for Performance Appraisal"「業績評価に対する気がかりな見通し」ハーバードビジネスレビュー掲載)、当時の大企業の一部に人事考課制度として導入されるケースも出た。
その後は、影響の大きかったものとして、シュレイの『結果の割り付けによる管理』(Management by Results)がある。これは計画と実績の立て方など目標管理の詳細を解説するもので、上野一郎によって直ちに翻訳され、米国のみならず、日本にも大きな影響を与えた。
しかし、米国では当初からMBOには懐疑的な見方も示され(例えば、GE研究やマグレガーなど)、やがて1970年代には徐々に行動評価尺度に代替されていく(例えば、1963年に開発された行動アンカー尺度,Smith)。
80年代以降は米国でMBOが議論されることさえなくなっていった。現在ではASTD、SHRM、HR.comなどのサイトで調べても数件しかなく、MBOと言えば、セールスマンの業績評価の際に時々使われるという位置付けである。
略語にすればマネジメント・バイ・アウトと同じだが、これは全く別の言葉。(「バイ」そのものが異なる)
日本における目標管理
日本では昭和40年代に目標管理の第一次ブームがあったが、さして定着することなくブームは去った。その要因として、次の点が挙げられる。
- 業績を上げることに目標が置かれるあまり、具体的な数値目標として、「売上」の極大化と誤解された。(売上至上主義)
- 自主性を過大評価し、実施途中における組織の関与や行動プロセスが制度的に組み込まれなかった。
- 「目標」に対する「成果」を重視するあまり、成果に対する報酬という金銭的インセンティブだけではなく、人は「情」によって動くものという「人間尊重」の考え方が欠落していた。それは本来、MBOが狙ったものと裏腹のものであった。
「目標管理」は成果目標による進行管理であるが、自主性が無視されたノルマ主義と混同されることも多い。ただ、「目標管理」と言うかどうかは別にして、その考え方は日本の企業において自己申告制度など広く定着している。
この点は、幸田一男による『実践 目標による管理』(1993年発刊)に詳しい。幸田によると、度重なる紹介にかかわらず、日本では不況のたびごとにMBOが引き合いに出され、結果重視の管理、成果主義、ノルマ主義が重視されるようになったと指摘されている。
目標管理の失敗例 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||
最近、成果主義の賃金制度にして、その成果の測定に目標管理を利用している企業が増えている。しかし、その目標管理がうまく運用できず、結局、成果主義にしたために社内が混乱するというケースが数多く見受けられる。
そこで、目標管理がうまく運用できない理由を考えてみた。 1.目標項目の問題
2.目標水準の問題
3.目標水準の表現の問題
4.目標設定の仕方の問題
5.評価の問題
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ など、など。
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