Quantcast
Channel: 持続可能な開発(水・土・廃棄物)
Viewing all articles
Browse latest Browse all 2268

[転載]朝鮮半島情勢

$
0
0
朝鮮半島
 朝鮮半島では、半世紀以上にわたり同一民族の南北分断状態が続いている。現在も、非武装地帯を挟んで、160万人程度の地上軍が厳しく対たいじ峙している。
 このような状況にある朝鮮半島の平和と安定は、わが国のみならず、東アジア全域の平和と安定にとって極めて重要な課題である。

 
図表I-2-2-1 朝鮮半島における軍事力の対峙

1 北朝鮮

1 全般

 北朝鮮は、思想、政治、軍事、経済などすべての分野での社会主義的強国の建設を目指すとする「強盛大国」建設を基本政策として標榜(ひょうぼう)し、その実現に向けて「先軍政治」という政治方式をとっている。
 これは、「軍事先行の原則に立って革命と建設に提起されるすべての問題を解決し、軍隊を革命の柱として前面に出し、社会主義偉業全般を推進する領導方式」と説明されている。
 実際に、金正日(キム・ジョンイル)朝鮮労働党総書記が、国防委員会委員長として軍を完全に掌握する立場にあり、また、軍組織を引き続き頻繁に視察していることなどから、軍事を重視し、かつ、軍事に依存する状況は、今後も継続すると考えられる。
 北朝鮮は、現在も、深刻な経済困難に直面し、食糧などを国際社会の支援に依存しているにもかかわらず、軍事面に資源を重点的に配分し、戦力・即応態勢の維持・強化に努めていると考えられる。たとえば、人口に占める軍人の割合は非常に高く、総人口の5%近くが現役の軍人とみられている。
 また、そうした軍事力の多くをDMZ付近に展開させていることなどが特徴となっている。なお、11(平成23)年4月の最高人民会議における北朝鮮の公式発表によれば、北朝鮮の同年度予算に占める国防費の割合は、15.8%となっているが、これは、実際の国防費の一部にすぎないとみられている。
 北朝鮮の政策や行動については、北朝鮮が、依然として閉鎖的な体制をとっているため、その動向の詳細や意図を明確に把握することは困難であるが、引き続き細心の注意を払っていく必要がある。

大量破壊兵器・弾道ミサイル
 北朝鮮の大量破壊兵器については、核兵器計画をめぐる問題のほか、化学兵器や生物兵器の能力も指摘されている。北朝鮮の核問題は、わが国の安全保障に影響を及ぼす問題であるのみならず、大量破壊兵器の不拡散の観点から国際社会全体にとっても重要な問題である。特に、北朝鮮による核実験は、北朝鮮が大量破壊兵器の運搬手段となりうる弾道ミサイル能力を増強していることとあわせ考えれば、わが国の安全に対する重大な脅威であり、北東アジアおよび国際社会の平和と安定を著しく害するものとして断じて容認できない。
 弾道ミサイルについては、既存の弾道ミサイルの配備、長射程化や固体燃料化などのための研究開発が進められていると考えられるほか、北朝鮮による拡散についての指摘が引き続きみられる。北朝鮮のミサイル問題も、特に、核問題とあいまって、アジア太平洋地域だけでなく、国際社会全体に不安定をもたらす要因となっており、その動向が強く懸念される。

(1)核兵器
ア 北朝鮮の核問題に対する対応
 北朝鮮による核開発問題については、この問題の平和的解決と朝鮮半島の検証可能な非核化を目標として、03(同15)年8月以降、六者会合7が開催されている。05(同17)年の第4回六者会合では、北朝鮮による「すべての核兵器および既存の核計画」の放棄を柱とする共同声明を初めて採択するに至った。しかし、その後、北朝鮮は、六者会合への参加を引き延ばすとともに、06(同18)年、7発の弾道ミサイルの発射や核実験実施の発表を行った。このような北朝鮮による緊張を一層高める行動に対し、国連安保理は、決議第1695号および第1718号を採択するなどして、北朝鮮に対する制裁措置を実施した。北朝鮮は、同年12月、ようやく第5回六者会合に復帰し、07(同19)年2月には、第4回六者会合の共同声明を実施していくための「共同声明の実施のための初期段階の措置」に合意した。この合意に基づき、寧辺の核施設の活動停止などが実行されたことを受け、同年10月には、第6回六者会合の成果文書として「共同声明の実施のための第二段階の措置」が発表され、北朝鮮が同年末までに、寧辺の核施設の無能力化を完了し、「すべての核計画の完全かつ正確な申告」を行うことなどが合意された。しかしながら、その合意内容の履行は完了していない8

北朝鮮は、09(同21)年4月の北朝鮮によるミサイル発射を非難する国連安保理議長声明に対して、六者会合への不参加を示唆するとともに、使用済み燃料棒の再処理開始を表明したほか、国連安保理が謝罪しない場合には、核実験や大陸間弾道ミサイル発射実験を含む措置を講ずる旨表明し、同年5月には、2度目の核実験の実施を発表した。これに対し、国際社会は、北朝鮮による核実験実施を強く非難し、北朝鮮に対する追加的な措置を決定する国連安保理決議第1874号を同年6月に採択したが、北朝鮮は、新たに抽出されるプルトニウムの全量を兵器化すること、ウラン濃縮作業に着手することなどを表明した9。その後、09(同21)年9月に、ウラン濃縮実験が成功裏に行われ、完了段階に入ったとするとともに、同年11月には使用済み燃料棒の再処理を8月末までに成功裏に終え、抽出されたプルトニウムを兵器化する上で注目すべき諸成果が収められたと発表した。さらに北朝鮮は、10(同22)年11月、訪朝した米国人専門家に対してウラン濃縮施設を公開し、また、軽水炉の燃料のために数千基規模の遠心分離機を備えたウラン濃縮工場が稼動していると発表した10
以上のような北朝鮮の核問題に対する対応は、意図的に緊張を高めることによって何らかの見返りを得ようとするいわゆる瀬戸際政策であるとの見方がある一方で、北朝鮮の最終的な目的は核兵器の保有による抑止力の確保であるとの見方もある。北朝鮮の究極的な目標は体制の維持であると言われており、こうした観点を踏まえれば、これらの見方はいずれも相互に排他的なものではないとも考えられる。
 北朝鮮の核問題の解決にあたっては、日米韓が緊密な連携を図ることが重要であることは言うまでもないが、六者会合の他の参加国である中国、ロシアなどの諸国や国連、国際原子力機関(IAEA:International Atomic Energy Agency)といった国際機関の果たす役割も重要である。

イ 核兵器計画の現状
北朝鮮の核兵器計画の現状については、北朝鮮がきわめて閉鎖的な体制をとっていることもあり、その詳細についてはなお不明な点が多いが、過去の核開発の状況が解明されていないことに加え、過去2回(06(同18)年10月および09(同21)年5月)の核実験実施の発表を含む一連の北朝鮮の言動を考えれば、核兵器計画が相当に進んでいる可能性も排除できない。さらに、10(同22)年11月に北朝鮮がウラン濃縮施設を公開し、また数千基規模の遠心分離機を備えたウラン濃縮工場の稼動に言及したことは、北朝鮮が高濃縮ウランによる核兵器開発を推進している可能性があることを示すものであると考えられる11
北朝鮮による核実験は、北朝鮮が大量破壊兵器の運搬手段となりうる弾道ミサイル能力を増強していることと併せ考えれば、わが国の安全に対する重大な脅威であり、北東アジアおよび国際社会の平和と安全を著しく害するものとして断じて容認できないものである。
なお、一般に、核兵器を弾道ミサイルに搭載するための小型化には相当の技術力が必要とされている。しかしながら、米国、ソ連、英国、フランス、中国が60年代までにこうした技術力を獲得したとみられることを踏まえれば、北朝鮮が、比較的短期間のうちに、核兵器の小型化・弾頭化の実現に至る可能性も排除できず12、関連動向に注目していく必要がある。

(2)生物・化学兵器
北朝鮮の生物兵器や化学兵器の開発・保有状況については、北朝鮮がきわめて閉鎖的な体制をとっていることに加え、生物・化学兵器の製造に必要な物資・機材・技術の多くが軍民両用であるため偽装も容易であることから、詳細については不明である。しかし、生物兵器については、87(昭和62)年に生物兵器禁止条約を批准したものの、一定の生産基盤を有しているとみられている。また、化学兵器については、化学兵器禁止条約には加入しておらず、化学剤を生産できる複数の施設を維持し、すでに相当量の化学剤などを保有しているとみられている13

(3)弾道ミサイル
北朝鮮の弾道ミサイルについては、北朝鮮がきわめて閉鎖的な体制をとっていることもあり、その詳細についてはなお不明な点が多いが、北朝鮮は、軍事能力強化の観点に加え、政治外交的観点や外貨獲得の観点14などからも、弾道ミサイル開発に高い優先度を与えていると考えられる。

ア スカッド
北朝鮮は、80年代半ば以降、スカッドBやその射程を延長したスカッドC15を生産・配備するとともに、これらの弾道ミサイルを中東諸国などへ輸出してきたとみられている。

イ ノドン
北朝鮮はまた、90年代までに、ノドンなど、より長射程の弾道ミサイル開発に着手したと考えられる。配備が進んでいると考えられるノドンは、単段式の液体燃料推進方式の弾道ミサイルであると考えられる。射程は約1,300kmに達するとみられており、わが国のほぼ全域がその射程内に入る可能性がある。
93(平成5)年に行われた日本海に向けての発射においては、ノドンが使われた可能性が高いほか、06(同18)年7月に北朝鮮南東部のキテリョン地区から発射された計6発の弾道ミサイルは、スカッドおよびノドンであったと考えられる16。また、09(同21)年7月、同地区から計7発の弾道ミサイルが発射されたと考えられるが、それらについては、それぞれスカッドまたはノドンであった可能性がある17
ノドンの性能の詳細は確認されていないが、命中精度については、この弾道ミサイルがスカッドの技術を基にしているとみられていることから、たとえば、特定の施設をピンポイントに攻撃できるような精度の高さではないと考えられる。

ウ テポドン1
北朝鮮は、射程1,500km以上と考えられるテポドン1の開発を進めてきた。テポドン1は、ノドンを1段目、スカッドを2段目に利用した2段式の液体燃料推進方式の弾道ミサイルで、98年(同10)年に発射された弾道ミサイルの基礎となったと考えられる。北朝鮮は、最近、さらに長射程のテポドン2の開発に力点を移していると考えられ、テポドン1はテポドン2を開発するための過渡的なものであった可能性もある。

 
図表I-2-2-2 北朝鮮の弾道ミサイルの射程



 
 
図表I-2-2-3 北方限界線(NLL)付近における北朝鮮の軍事行動の一例

転載元: 西太平洋の平和・繁栄歴史・・・中国や韓国の放射能リスク


Viewing all articles
Browse latest Browse all 2268

Trending Articles