廃棄物(危険物)の運搬のポイント
[2012年3月1日]
危険物でもある運搬に関するポイントを紹介します。
■危険物とは
一般的に危険物とは、引火性、爆発性、毒劇物あるいは放射性など危険性のある物質を総称して言います。
消防法における危険物とは、消防法第2条第7項において、「法別表の品名欄に掲げる物品」とされており、性状により、以下のように第1類~第6類に分類されています。
第1類 酸化性固体
そのもの自体は燃焼しませんが、他の物質を強く酸化させるため、可燃物との混合、熱、衝撃、摩擦によって分解し極めて激しい燃焼を起こす危険があります。
具体例:塩素酸塩、硝酸塩など
第2類 可燃性固体
火炎により着火しやすい、あるいは比較的低温(40℃)で引火し、燃焼が早く消火が困難な危険があります。
具体例:金属粉(ニッケル、銅を除く)、マグネシウム、リン、硫黄など
第3類 自然発火性物質及び禁水性物質
空気にさらされる、あるいは水と接触することにより自然に発火若しくは可燃性ガスを発生する危険があります。
具体例:カリウム、ナトリウム、アルカリ金属類など
第4類 引火性液体
液体であって引火の危険があります。
具体例:石油類、アルコール類、動植物油など
第5類 自己反応性物質
固体または液体であって、比較的低い温度で多量の熱を発生若しくは爆発する危険性があります。
具体例:ニトロ化合物、アゾ化合物、硝酸エステル類など
第6類 酸化性液体
そのもの自体は燃焼しませんが、混在する他の物質の燃焼を促進する危険性があります。
具体例:過塩素酸、過酸化水素、硝酸など
■危険物の運搬に関する規制について
危険物の種類や運搬方法(陸・海・空)によって規制される国内法令は異なります。
消防法及びその関連法規は、主に陸路をトラックで運搬することを想定した規制内容となっております。
今回は、廃棄物の運搬の大半を占める陸路による、危険物の運搬に関して説明します。
海路は港則法に則り、また空路はテロ対策法などの規制がありますが、現在、海路・空路による危険物である廃棄物の運搬は、ほぼ行われておりません。
■危険物の運搬時のポイント
①運搬容器
原則として危険物は、運搬容器に収納して運搬しなければなりません。また、温度変化等により危険物が漏れないように密閉して収納しなければなりません。
- A.構造
- 運搬容器の構造は、堅固で容易に破損するおそれがなく、かつ、収納された危険物が漏れるおそれがないものでなければなりません。
具体的には、
腐食等に対して保護されたもの(特に容器内側の加工)、内圧や運搬時の応力に耐えられるもの、容器の附属設備から漏れない措置が講じられたもの、落下試験等の基準に適合したもの、などである必要があります。 - B.最大容量
- 危険物の規制に関する政令別表第3の2及び第3の4で定められています。
- C.収納率
- 固体は内容積の95%以下、液体は98%以下であり、かつ55℃の温度において十分な空間容積を有して収納しなければなりません。
- D.表示
- 運搬容器の外部には、品名、危険物等級及び化学名、数量、注意事項などを表示しなければなりません。
- E.指定数量
- 指定数量に応じた規制があります。
指定数量以下・・・高圧ガスとの混載禁止
指定数量以上・・・高圧ガスとの混載禁止に加え、以下の規制がかかります。
類を異にする物品の混載禁止(但し、さしつかえない類もあります)、
危険物の標識を車輌の前後に掲示、運搬する危険物に適応する消火設備を有すること。
②イエローカード(緊急連絡カード)の携帯
イエローカードとは、化学物質の有害性、事故発生時の応急処置、緊急連絡先などを記載した黄色いカードです。
毒物・劇物取締法に交付及び携帯が義務付けられているものです。
危険物の運搬に際しても、万が一事故が発生した場合に被害を最小限に抑えるため、DOWAグループではイエローカードの交付及び運搬時の携帯を進めています。
■危険性の高い廃棄物の運搬設計について
危険物の運搬は、どのような容器を用いて運搬するのかの、容器設計が非常に重要です。その注意点と特徴と説明します。
①成分
特に液体の廃棄物の場合、液体だけでなく固形物、汚泥などとの混合物がほとんどですので、十分に成分を確認し、容器内での反応などによる運搬中のリスクについての注意が必要です。容器の強度が十分であっても、化学反応や発熱により容器が破損、漏洩したケースもあります。
②容器:繰り返し使用する場合
容器の定期的なメンテナンスが必要です。
廃酸、廃アルカリなど容器内側に特殊な加工を必要とするものは、使い捨て容器では容器代が高くつくため、繰り返して利用される場合がありますが、容器の強度・性能・ピンホールなどの劣化について、定期的にメンテナンスを行なう必要があります。
さらに、容器を往復で利用できれば、運賃は安くなりますが、実際は往復利用できないケースがほとんどで、空の容器を返却する運賃が必要になります。この場合、トラックで運搬するよりも、鉄道や船舶を利用して運搬した方が、運賃を低減できる可能性が高くなります。
③容器:1way(使い捨て)で利用する場合
強度面などに問題ないか十分注意が必要です。
中古ドラムは、1wayの容器として多く利用されています。ただし、中古品であっても、万が一、漏洩などで第三者への損害が生じた場合、荷主が全責任を負うことになりますので、強度、性能、ピンホールがないかなどについては、使用前に確認する必要があります。
http://www.dowa-ecoj.jp/houki/2012/20120301.html