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指定廃棄物の処理に向けた基本的な考え方について

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環廃対発第120120002号
環廃産発第120120002号
平成24年1月20日

各都道府県・政令市廃棄物行政主管部(局)長 殿

環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部廃棄物対策課長     
産業廃棄物課長     

指定廃棄物の処理に向けた基本的な考え方について
 
 「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法(平成23年法律第110号。以下「法」という。)」
については、平成23年8月30日に公布され、平成24年1月1日に完全施行されたところである。
 
 また、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行令(平成23年政令第394号)」、
 「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法施行規則(平成23年環境省令第33号。以下「規則」という。)」
及び「汚染廃棄物対策地域の指定の要件等を定める省令(平成23年環境省令第34号)」並びに関係告示が公布され、平成24年1月1日の法の完全施行と併せて施行された。
 
 法に基づき、事故由来放射性物質(法第1条に規定する事故由来放射性物質をいう。以下同じ。)についての放射能濃度(セシウム134とセシウム137の合計値をいう。以下同じ。)が8,000Bq/㎏を超える廃棄物は指定廃棄物(法第19条に規定する指定廃棄物をいう。以下同じ。)となり、これらは国が処理することとなるが、先般、指定廃棄物の処理に係る事項のうち、法第16条に基づく廃棄物の調査、法第17条に基づく指定廃棄物の指定、法第18条に基づく指定廃棄物の指定の申請、法第20条に基づく特定廃棄物の処理基準については、「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境への汚染への対処に関する特別措置法の施行について」(平成23年12月28日付け環廃企発第111228002号及び環水大総発第111228002号環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長及び水・大気環境局長通知)により通知されたところである。
 

 これらに基づいて国が指定廃棄物の処理を進めていくにあたっては、関係する地方公共団体等の協力が不可欠であることから、今般、指定廃棄物の処理に向けた基本的な考え方、国及び地方公共団体の役割と今後の取組について、下記のとおり取りまとめたので通知する。貴管内市町村等に対しては、貴職より周知願いたい。
なお、本通知は地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4第1項に基づく技術的な助言であることを申し添える。
 
 
 
 
1 指定廃棄物の処理に向けた基本的な考え方
 
 事故由来放射性物質による人の健康や生活環境への影響をできる限り早く低減していくためには、
「平成二十三年三月十一日に発生した東北地方太平洋沖地震に伴う原子力発電所の事故により放出された放射性物質による環境の汚染への対処に関する特別措置法に基づく基本方針(平成23年環境省告示第98号。以下「基本方針」という。)」に示すとおり、
現行の
「廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)」
に基づく廃棄物の処理体制、施設等を可能な範囲で積極的に活用し、事故由来放射性物質により汚染された廃棄物の処理を進めていくことが重要である。
 
 事故由来放射性物質により汚染された廃棄物、とりわけ土壌等の除染等の措置に伴い生ずる廃棄物の量が膨大であること等にかんがみ、安全性を確保しつつ、可能な限りにおいて、可燃物と不燃物の分別、焼却等の中間処理等により減容化を図る必要がある。
 減容化により事故由来放射性物質が濃縮され、法第17条第1項に基づく指定により指定廃棄物に該当することとなったものについては、法に基づき、国がその処理を行う。
 
 これらの指定廃棄物の処理に当たっては、基本方針に示すとおり、当該指定廃棄物が排出された都道府県内において行うこととされており、国は、関係する都道府県毎、廃棄物の種類毎に指定廃棄物の処理の方針を、平成23年度内を目途に具体化し地方公共団体及び排出者との適切な役割分担の下、指定廃棄物ごとに処理施設を確保すること等により処理体制を順次構築する。
 
 その上で、国は、指定廃棄物の収集、運搬及び処分(中間処理後の保管を含む。)に係る処理体制が構築されたものから、順次、指定廃棄物を保管している施設の管理者等から指定廃棄物の引き渡しを受け、法第20条に基づく特定廃棄物の処理基準に従って収集、運搬及び処分を開始し、保管されている指定廃棄物を可及的速やかに処分していく。指定廃棄物の処分(中間処理後の保管を含む)において、当該施設周辺の環境モニタリングや最終処分場の浸出水のモニタリングを長期間継続的に実施する。
 
 
2 国の役割と今後の取組
 法第3条において、国は、これまで原子力政策を推進してきたことに伴う社会的な責任を負っていることに鑑み、事故由来放射性物質による環境汚染への対処に関し、必要な措置を講じることとされている。
国は、関係する地方公共団体や指定廃棄物の排出者等と連携して、都道府県ごと、廃棄物の種類ごとに指定廃棄物の処理の方針を具体化する。
 

 指定廃棄物の処理体制の構築に当たっては、指定廃棄物を可能な限り速やかに処分を行うことが望ましいため、既存の廃棄物処理施設の活用を最優先する方針により関係者との調整を図る。
 その際、既存の廃棄物処理施設の廃棄物の処理能力や最終処分場の残余容量、都道府県ごとの指定廃棄物の種類・発生量・放射能濃度、地域における自然的・社会的条件等を十分踏まえるものとする。
 また、都道府県内の既存の廃棄物処理施設の活用について関係者への協力要請、検討及び調整を尽くした結果、既存の廃棄物処理施設での処分ができない場合には、地元関係者の理解を得ながら、新たな廃棄物処理施設の立地場所を当該都道府県内に確保した上で、当該施設を建設することを検討しなければならないが、相当の年月を要することに留意する必要がある。
 
 国は、指定廃棄物の収集、運搬及び処分(中間処理後の保管を含む。)にかかる処理体制が構築されたものから、順次、指定廃棄物を保管している施設の管理者等から指定廃棄物の引き渡しを受け、収集、運搬及び処分を開始する。また、処理体制が構築されるまでの間、国は、施設の管理者等や関係地方公共団体の協力を得て、必要な保管場所の確保に関する調整や保管施設の設置等の支援を行う。
 
 なお、指定廃棄物の収集、運搬及び処分の実施は、水道施設から生じた汚泥等の堆積物等は厚生労働省、公共下水道・流域下水道に係る発生汚泥等は国土交通省、工業用水道施設から生じた汚泥等の堆積物等は経済産業省、集落排水施設から生じた汚泥等の堆積物等及び農林業系副産物は農林水産省と連携して環境省が行う。
 
 特定廃棄物に該当しないが放射性物質を含む一般廃棄物及び産業廃棄物については、廃棄物処理法に基づき、一般廃棄物は市町村が一般廃棄物処理の統括的な責任を有することから中心的な役割を持って処理を行うとともに、産業廃棄物は排出者が責任をもって処理を行うことになるが、国は、都道府県と協力してこれらの廃棄物を受け入れる廃棄物処理施設への働き掛け等の支援を行う。
 
 また、一般廃棄物及び産業廃棄物の処分が円滑に進むよう、焼却や最終処分に関する技術的な情報を提供する。
 
 
3 地方公共団体の役割と今後の取組
 法第4条において、地方公共団体は、事故由来放射性物質による環境の汚染への対処に関し、国の施策への協力を通じて、当該地域の自然的社会的条件に応じて、適切な役割を果たすものとされている。
 廃棄物処理法において、都道府県は、一般廃棄物処理行政に関して市町村に対して必要な技術的助言を与えることや、産業廃棄物の適正な処理を確保する役割を担っているとともに、市町村は一般廃棄物の適正な処理を確保する役割を担っており、地域の自然的社会的条件に応じて適切な廃棄物処理体制を構築いただいているところである。
 都道府県及び市町村においては、地域において国の指定廃棄物の処理が自然的社会的条件に応じて適切かつ円滑に進められるように、以下に示すとおり、国への必要な協力をお願いする。また、特定廃棄物に該当しない一般廃棄物及び産業廃棄物の処理が地域において円滑に進められるようにお願いする。
 
 
(1)都道府県
 関係都道府県(産業廃棄物については政令市を含む。以下同じ。)においては、国が行う指定廃棄物の処理の方針の具体化の際に、指定廃棄物の種類に応じて、自然的社会的条件に適した既存の廃棄物処理施設の選定を行うとともに、国が実施する指定廃棄物の処理体制の構築に向けて、既存の一般廃棄物処理施設及び産業廃棄物処理施設の設置者、これらの廃棄物処理施設が存在する市町村等への協力要請及び関係者の理解を得るための協力、調整を行う。
 
 また、都道府県内の既存の廃棄物処理施設の活用について関係者への協力要請及び検討、調整を尽くした結果、既存施設において処分できない場合には、都道府県内に新たな保管場所や廃棄物処理施設の立地場所を確保できるよう、市町村と協力して関係者の理解が得られる立地場所の提供、提案等の協力を国に対して行う。
 なお、特定廃棄物に該当しない放射性物質を含む産業廃棄物については、廃棄物処理法に基づき、排出者が責任をもって処理を行うことになる。これらの産業廃棄物の処理が円滑に進むように、廃棄物担当部局が中心となって廃棄物処理の受け入れ先の確保等の取組や関係者の理解を得るための協力を、他の都道府県の廃棄物担当部局と連携しながら行う。
 
 これらの取組を行う際には、廃棄物担当部局の他に、水道施設から生じた汚泥等の堆積物等は水道担当部局、公共下水道・流域下水道に係る発生汚泥等は下水道担当部局、工業用水道施設から生じた汚泥等の堆積物等は工業用水道担当部局、集落排水施設から生じた汚泥等の堆積物等及び農林業系副産物は農林水産部局等関係部局が多岐にわたっている。
 これらの廃棄物の発生状況等を把握するとともに、処理の促進に向けて、廃棄物担当部局が中心となって都道府県内の関係部局の連携を強化する。
 
 
(2)市町村
 関係都道府県内にある市町村においては、指定廃棄物の発生状況を踏まえて、国への報告及び農林業系副産物等の指定申請の手続きや国の指定廃棄物の処理方針の具体化への協力を行うとともに、指定廃棄物を排出する施設の管理者が市町村の場合は、国に引き渡すまでの間、保管基準に従って保管を実施し、指定廃棄物の保管に関する関係者への理解を得るための協力を行う。
 
 国による指定廃棄物の適正処理に向けて、指定廃棄物を排出する施設の管理者が市町村の場合であって、自ら廃棄物処理施設を有する場合は、国が行う指定廃棄物の処分に協力するとともに、処分に当たって関係者の理解を得るための協力を行う。
 市町村が廃棄物焼却施設を有する場合は、地域内で発生する農林業系副産物や下水汚泥等の有機性廃棄物の焼却を、廃棄物最終処分場を有する場合は、地域内で発生する一般廃棄物焼却灰の他、浄水発生土、下水汚泥等、通常産業廃棄物として取り扱われる廃棄物の処分について協力を行う。
 
 また、市町村内、さらには都道府県内の民間処理施設を含む既存の廃棄物処理施設の活用について関係者への協力要請、検討及び調整を尽くした結果、既存の廃棄物処理施設において処分できない場合、新たな保管場所や廃棄物処理施設の立地場所を確保する際に、都道府県と協力して関係者への理解が得られる立地場所の提供、提案等の協力を国に対して行う。
  

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