2012年4月11日(水)に、岡山地方裁判所4階にある「広島高等裁判所・岡山支部」に於いて、和解協議としては最終となる第4回和解協議が行われました。
第一審判決で原告(第一次訴訟3世帯住民)が勝訴したあと、被告(両備)が控訴した「控訴審」で、裁判所は結審後に和解協議を設定し、今日まで協議を積み重ねてきました。
しかし、今回でも和解に至らず、裁判所は判決期日を決定しました。
判決言い渡しは、2012年6月28日(木)、13時10分から、「広島高等裁判所・岡山支部」で行われます。
【第二審】
控訴人・附帯被控訴人・被告 ; (両備ホールディングス株式会社)
附帯控訴人・被控訴人・原告 ; (小鳥が丘団地第一次訴訟3世帯住民)
今回の和解協議の内容は、以下のとおりです。
[第4回和解協議]
①裁判官と控訴人(両備)弁護士の協議(13時32分~13時50分)。
②裁判官と附帯控訴人(住民)弁護士の協議(13時50分~13時53分)。
①において、控訴人(両備)弁護士は、「第1審判決で認定された控訴人(両備)の責任を認めるような賠償金額での和解はできない。」という話しを一方的に説明したようです。
②において、裁判官から、上記説明が有り、和解協議を終了し判決とする旨の確認がありました。
附帯控訴人(住民)弁護士は、「そのようにして下さい。」と回答し、裁判官から判決期日が伝えられました。
以上の内容は代理人弁護士の説明によるもので、住民は前回同様「被控訴人待合室」に詰めていました。
これまでの和解協議を通しての、附帯控訴人(住民)の感想を述べます。
附帯控訴人(住民)は、本件分譲地は安全な住宅地として使用することができないため、他に転居して同程度の住宅を取得できる程度の損害賠償を求めてきました。
和解協議の中で、控訴人(両備)は、附帯控訴人(住民)が本件不動産の所有権を譲渡するのであれば、土壌汚染が無いものと仮定した通常の中古物件査定価格で買い取るという考えまでは提示しました。
しかし、あくまで、控訴人(両備)には責任がなく、通常不動産取引を前提にした和解金額でなければ、控訴人(両備)は和解に応じないという方針が次第に明確になってきました。
附帯控訴人(住民)は、裁判所が和解協議を設定したこともあり、第1審判決内容が最低限の条件であると譲歩して和解も拒否しない方針でしたが、この内容では到底和解することはできません。
控訴人(両備)が提示した和解金額では、附帯控訴人(住民)は、他に住居を求めて普通の生活がしたいという生活設計が成り立たないばかりか、通常の中古物件価格では、通常の償却年数で計算すると極めて少額です。
裁判において、本件分譲地が著しい土壌汚染であることは次第に明らかになっています。
また、控訴人(両備)に責任があることは、証拠上でも明らかになってきました。
附帯控訴人(住民)は、購入したマイホームで土壌汚染事件に巻き込まれ、解決を要望しても売主の控訴人(両備)が放置するなど、無責任な対応をしたため、土壌汚染発覚から8年間もの長きにわたり物心両面で苦しみ続けてきました。
制度上に問題があるため、住民が被害を受けたからと言って直ちに問題解決するような事件ではありませんが、マイホーム土壌汚染被害は、庶民にとって生活の基盤を揺るがす重大問題であり、どのような苦難があっても、附帯控訴人(住民)が泣き寝入りできるような問題ではありません。
控訴人(両備)が真摯に対応しないため、附帯控訴人(住民)は解決のため多くの労力を注ぎ込まざるを得ない状況に追い込まれ、長期間、仕事や生活面や健康面などに相当制約が掛かり、またそれらを犠牲にしてきました。
附帯控訴人(住民)は、和解を拒否するものではありませんが、少なくとも第1審判決で認定された損害賠償金額を無視するような回答では到底納得できるものではありません。
現時点で振り返れば、結局、裁判所が和解協議を設定して4回も協議を積み重ねても、控訴人(両備)は和解する気はなかったのだと思います。
このため、附帯控訴人(住民)は、和解を断念する結果となりました。
あとは、控訴審の判決結果次第ですが、上告審までもつれる可能性も念頭に入れています。
以上。
前回までの和解協議の経過は、以下を参照してください。
(「控訴審」!結審後の和解協議(1)小鳥が丘土壌汚染訴訟)
(「控訴審」!結審後の和解協議(2)小鳥が丘土壌汚染訴訟)
2004年7月に岡山市水道局工事で発覚した小鳥が丘団地住宅地の土壌汚染公害問題は、発覚後8年近く経過し団地住民と宅地造成販売した両備バス㈱の考えが平行線のままで裁判に発展しています。2007年8月に住民3世帯(第1次訴訟)が岡山地方裁判所に民事提訴したあと、住民18世帯(第2次訴訟)も続いて提訴し係争中です。第1次訴訟(3世帯)の第一審判決は2011年5月31日に行われ、原告(住民)勝訴となり、知るかぎりでは土壌汚染裁判で被害住民が勝訴した「全国初」の判決となりましたが、被告(両備)が即刻控訴しました。原告(住民)も附帯控訴を提起し、引き続き第二審(広島高等裁判所・岡山支部)で争われます。
戸建住宅団地の敷地足下から真黒い土壌発覚!