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会見で記者の質問に答える藤本司・総務局長(中央)。右端は錦織啓・給与課長=大阪市役所で14日午後5時40分、幾島健太郎写す
大阪市の職員厚遇問題で、大阪国税局は14日、係長以下職員へのスーツ支給など四つの福利厚生事業について、税法上の給与所得に当たると判断、市に源泉徴収漏れを指摘した。04年度までの5年分を課税対象とする方針で、支給総額は約25億円、源泉徴収漏れは3億円前後とみられる。四つの職員互助組合による市職員互助組合連合会を通じて支給していた「ヤミ年金・退職金」も掛け金の公費負担部分が事実上の給与に当たると認定。しかし、住民監査請求が行われ、市も互助連の資産の公費分約135億円を返還させる方針を示していることなどから、課税の是非は、状況を見極めて判断する。
国税局は1月、同市の過剰な福利厚生に批判が集まったことを受け、関係部署へ税務調査に入り、公費支出の実態を調べていた。
関係者によると、源泉徴収の対象とされたのは、市長部局と市教委の職員延べ約5万3500人に「制服」として支給されていたイージーオーダースーツやワイシャツのほか▽勤続30年の職員に支給していた5万円分の旅行券、図書券など▽大学などに通う職員に貸し付け、返還免除となった奨学貸付金▽返還が免除された結婚貸付金。
スーツについては、胸に付いた「Osaka City」の刺しゅう入り布がポケットに隠せるため、勤務先だけで着用する非課税の事務服や作業服に当たらないと判断。旅行券や図書券は、源泉徴収対象の現金を含めて自由に選べる方法で支給され、現金と同じ価値があるとされた。貸付金は返還免除の時点で給与とみなされた。市は源泉徴収漏れの詳細な額を積算して確定後、現役職員については改めて源泉徴収する方向で、数千万円とみられる不納付加算税と併せて納付する。
一方、公費助成を受けた互助組合による祝い金や記念品などの支給と、職員親ぼく組織によるレクリエーション費用の負担については、市による公費負担が個別の支給と明確に結びついているとは言えず、職員への給与とみなせないと結論づけた。
また、団体生命共済の保険料負担は、市が契約しており、職員の経済的利益と結びつかないため課税対象外に。健康保険の保険料負担も、負担割合が通常の1対1より多いことを理由に課税対象にはできないと判断した。年利2%を保証する職員限定の預金制度は、利子所得が既に課税され、利息給付に公費も投入されておらず問題にならなかった。【堀雅充】
▽関淳一・大阪市長の話 指摘された内容について適切に対処して市民の信頼回復に努める。
(毎日新聞) - 4月15日10時32分更新
会見で記者の質問に答える藤本司・総務局長(中央)。右端は錦織啓・給与課長=大阪市役所で14日午後5時40分、幾島健太郎写す
大阪市の職員厚遇問題で、大阪国税局は14日、係長以下職員へのスーツ支給など四つの福利厚生事業について、税法上の給与所得に当たると判断、市に源泉徴収漏れを指摘した。04年度までの5年分を課税対象とする方針で、支給総額は約25億円、源泉徴収漏れは3億円前後とみられる。四つの職員互助組合による市職員互助組合連合会を通じて支給していた「ヤミ年金・退職金」も掛け金の公費負担部分が事実上の給与に当たると認定。しかし、住民監査請求が行われ、市も互助連の資産の公費分約135億円を返還させる方針を示していることなどから、課税の是非は、状況を見極めて判断する。
国税局は1月、同市の過剰な福利厚生に批判が集まったことを受け、関係部署へ税務調査に入り、公費支出の実態を調べていた。
関係者によると、源泉徴収の対象とされたのは、市長部局と市教委の職員延べ約5万3500人に「制服」として支給されていたイージーオーダースーツやワイシャツのほか▽勤続30年の職員に支給していた5万円分の旅行券、図書券など▽大学などに通う職員に貸し付け、返還免除となった奨学貸付金▽返還が免除された結婚貸付金。
スーツについては、胸に付いた「Osaka City」の刺しゅう入り布がポケットに隠せるため、勤務先だけで着用する非課税の事務服や作業服に当たらないと判断。旅行券や図書券は、源泉徴収対象の現金を含めて自由に選べる方法で支給され、現金と同じ価値があるとされた。貸付金は返還免除の時点で給与とみなされた。市は源泉徴収漏れの詳細な額を積算して確定後、現役職員については改めて源泉徴収する方向で、数千万円とみられる不納付加算税と併せて納付する。
一方、公費助成を受けた互助組合による祝い金や記念品などの支給と、職員親ぼく組織によるレクリエーション費用の負担については、市による公費負担が個別の支給と明確に結びついているとは言えず、職員への給与とみなせないと結論づけた。
また、団体生命共済の保険料負担は、市が契約しており、職員の経済的利益と結びつかないため課税対象外に。健康保険の保険料負担も、負担割合が通常の1対1より多いことを理由に課税対象にはできないと判断した。年利2%を保証する職員限定の預金制度は、利子所得が既に課税され、利息給付に公費も投入されておらず問題にならなかった。【堀雅充】
▽関淳一・大阪市長の話 指摘された内容について適切に対処して市民の信頼回復に努める。
(毎日新聞) - 4月15日10時32分更新