全国の廃棄物処理施設で、被災地で処理しきれない災害廃棄物を処理していただくことを広域処理といいます。
広域処理とは
全国の廃棄物処理施設で、被災地で処理しきれない災害廃棄物を処理していただくことを広域処理といいます。
東日本大震災の津波で被害に遭って倒壊した家屋や海水を被った家財等の災害廃棄物が大量に発生し、その処理を急いでいます。
岩手・宮城の両県では、全力で災害廃棄物の処理を行なっていますが、処理施設の不足で思うように進んでいません。その量は岩手県で通常の約11年分、宮城県で通常の約19年分にも達しています。被災地の1日も早い復興に向けて、災害廃棄物の早急な処理は不可欠です。そこで、廃棄物の処理施設に余力のある全国の各自治体と住民の皆さまのご協力をいただき、災害廃棄物の処理を行っていただく広域処理をお願いしています。
被災地では、災害廃棄物を一時的な置場である「仮置場」に移動しています。しかし、仮置場をさらに確保することは地形的に難しく、現在では災害廃棄物が山積みされ、火災の危険性も高まっています。被災地では仮設焼却炉を設置するなどして処理に取り組んでいますが、それだけではとても処理しきれず、日本全体で災害廃棄物の処理に協力することで、復旧・復興を進めることが不可欠です。
仙台市若林区
平成23年3月13日
平成23年3月13日
同地点
平成23年5月24日
平成23年5月24日
仮焼却施炉
阪神・淡路大震災の際には、兵庫県で発生した可燃性の災害廃棄物のうち約14%が県外で焼却され、埋め立てられました。
また、新潟中越沖地震で発生した数十トンの災害廃棄物が川崎市によって処分されています。
また、新潟中越沖地震で発生した数十トンの災害廃棄物が川崎市によって処分されています。
対象と処理方法
岩手県・宮城県のガレキのいまを現地の声で伝えます。
現地からの声
よくあるご質問
災害廃棄物は被災地で処理できないのですか?
被災地では既存の施設に加え仮設焼却炉を設置して、日夜、処理に取り組んでおりますが、現時点においても津波によって大量に発生した災害廃棄物(岩手県で通常の約11年分、宮城県で通常の19年分)の一部分しか処理がすすんでおりません。
被災地の迅速な復旧・復興に向け、災害廃棄物の広域処理は必要不可欠です。
広域処理の対象は?
広域処理をお願いする災害廃棄物は放射性セシウム濃度が不検出または低く※、岩手県と宮城県の沿岸部の安全性が確認されたものに限ります。
可燃物の場合は、放射性セシウムの濃度が240-480ベクレル/kg以下のものが対象の目安となります。
※災害廃棄物放射能濃度測定結果一覧
※災害廃棄物放射能濃度測定結果一覧
災害廃棄物の一部を測定しても安全だと言えないのでは?
放射性物質の拡散は、原発からの距離に応じて一様ではなく、地域差が大きいことから、広域処理を希望する自治体の一次仮置場において災害廃棄物の放射能濃度の確認をすることを基本としています。具体的には、災害廃棄物の山の中でなるべく均一に分散するように選定した10カ所以上の採取位置からサンプルを採取し、災害廃棄物の平均的な放射能濃度を測定し、安全に処理可能であるか確認します。
さらに、港湾エリアの二次仮置場から災害廃棄物を県外に搬出する際に、線量計で当該廃棄物全体を対象に周辺の空間線量率を測定し、バックグラウンドの空間線量率より有意に高くなるものがないことを確認します。このように災害廃棄物のサンプルの放射能濃度測定に加え、当該災害廃棄物全体の空間線量率も測定することにより、二重に確認を行います。
既存の焼却施設で災害廃棄物を燃やすと、排ガスからセシウムが漏れませんか?
ダイオキシン対策等のため、焼却施設には、排ガスを200℃くらいに冷却する装置と排ガス中の微粒子の灰を除去する高性能の排ガス処理装置(バグフィルター等)が備わっています。これにより、放射性セシウムをほぼ100%除去でき、大気中への放射性セシウムの放出を防ぎます。
廃棄物に含まれる放射性セシウム濃度が高く、広域処理の対象とはならない廃棄物を焼却している施設においても、排ガス中の放射性セシウムの放射能濃度はほとんどの施設で不検出、検出された場合でもモニタリングの目安としている濃度限度を大きく下回っていることが確認されています。
一般廃棄物焼却施設における排ガスの放射能濃度測定結果一覧
一般廃棄物焼却施設における排ガスの放射能濃度測定結果一覧
実際に広域処理を行うことで受ける周辺住民の放射線量はどの位なのでしょうか?
焼却灰の埋立終了後は、処分場の上部を50cm以上の土で覆います。広域処理の対象となる災害廃棄物(放射性セシウムの濃度が240-480ベクレル/kg以下のものが対象の目安)を焼却した場合、焼却灰の放射性セシウム濃度は8,000ベクレル/kg以下となりますが、埋立終了後に処分場の上部を土で覆うことにより、99.8%の放射線を遮蔽でき、周辺住民への健康に対する影響を無視できるレベル(年間0.01ミリシーベルト以下)に抑えられます。
埋立中の放射線量は、一般公衆の年間線量限度である1ミリシーベルトを下回り、作業者であっても安全であり、処分場周辺ではさらに安全なレベルです。
放射性セシウムを含む焼却灰を大量に埋めても平気なのですか?
放射性セシウムを含む焼却灰の埋立を実施する場合の周辺住民や作業員への影響については、埋立容量が40万立方メートルの処分場(200m×200m×10m)の処分場全てに55万トンの焼却灰を埋め立てるという非常に安全側の評価を行っています。この場合であっても、埋立終了後は、周辺住民への健康に対する影響を無視できるレベル(年間0.01ミリシーベルト以下)に抑えられます。
まとまった資料はありませんか?
災害廃棄物処理関連サイト
災害廃棄物の広域処理について
東京都による岩手県宮古市の災害廃棄物の広域処理の映像(リンク:環境省動画チャンネル)
災害廃棄物の広域処理の推進に関するビデオメッセージ(平成23年11月)
災害廃棄物の広域処理の推進について(リンク:政府広報 ラジオ番組「政策情報 官邸発」)
災害廃棄物の広域処理について(リンク:政府広報 お役立ち情報)
災害廃棄物の広域処理(説明資料) [PDF:1,532KB] (平成24年2月)
資料一覧
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津波被害による岩手県・宮城県の災害廃棄物の受け入れについて (PDF2.83MB)津波被害による災害廃棄物の広域処理について、一般の方々向けに、その処理の必要性や仕方、安全性等について分かりやすく説明したパンフレット。
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- 災害廃棄物の広域処理(説明資料) (PDF915KB)
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津波被害による災害廃棄物の広域処理について、より詳しく知りたい方々向けにまとめた資料です。
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災害廃棄物の広域処理の推進について(改定)(ガイドライン) (PDF形式:2.53MB)津波被害による災害廃棄物の広域処理について、広域処理の安全性の考え方や災害廃棄物の再生利用や焼却処理の評価等について詳しく説明した資料(ガイドライ ン)。
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100Bq/kgと8,000Bq/kgの二つの基準の違いについて (PDF110KB)廃棄物に含まれる放射性セシウムについて、100Bq/kgと8,000Bq/kgの二つの基準の違いについて説明します。
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広域処理に係るその他の資料、災害廃棄物安全評価検討会の資料等についてはこちらのページに掲載しております。
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