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[転載]転載 岡山で両備が販売した小鳥が丘住宅団地土壌汚染事件の 2.土壌・水質汚染の実態

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2.土壌・水質汚染の実態
 現状における地下水および土壌の油汚染の状況、地下水を経由して「沼川」の護岸に浸みだしたと思われる黒いシミの成分等について、把握することを目的として、裁判の原告住民が環境総合研究所に油汚染に関する実態調査を依頼した。
 調査は油汚染に関連する下記3項目を対象とした。
 
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2-1 分析項目
(1)ノルマルヘキサン(N-ヘキサン)抽出物質
 主に水中の油分の評価指標。動植物油脂、脂肪酸、脂肪酸エステル、リン脂質などの脂肪酸誘導体、ワックスグリース、石油系炭化水素等の総称。
 溶媒により抽出される不揮発性物質、農薬、染料、フェノール等も含まれる。

(2)油分溶出試験
 廃棄物中の油分が水を汚染する可能性を調べる方法として、海洋投入できる産業廃棄物の油分の検定方法が「環境省告示第3 号」に示され、有機汚泥、廃酸・廃アルカリ、建設汚泥等の基準値を定めている。同告示の溶媒、四塩化炭素はオゾン層破壊物質であり使用できないため環境省が代替方法N-ヘキサンを示している。
 しかしN-ヘキサン抽出法では溶媒を加熱、揮発さ、軽い油が揮発し低い濃度となる。そこで本調査では理論的に四塩化炭素と同等の結果が出る方法として、溶媒に
H997 を使った分析法を用いた。

(3)TPH(Total Petroleum Hydrocarbon: 総石油系炭化水素類)
 土壌の油臭・油膜問題への対応の考え方として中央環境審議会が「油汚染対策ガイドライン」に、TPH の試験方法及び対策の概要を取りまとめた。
 揮発性の高いガソリン等から重油や潤滑油等の粘性の高い比重の重い油汚染までを3 つの区分に分けてGC/FID 法により分析する。石油系の油の濃度と油種判定が可能。
 
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 (4)BTEX(ベンゼン・トルエン・エチルベンゼン・キシレン)
 原油や天然ガス中に含まれるVOC(VolatileOrganic Compounds:揮発性の有機化合物)である炭化水素類の総称である。

2-2 調査実施日・採取地点の様子
  日時:2009 年6 月13 日11 時48 分~14 時天候:晴天 採取時の様子を表2-3、試料採取地点を図2-2に示す。
 
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3.調査結果
3-1 分析結果の概要と評価
(1)N-ヘキサン抽出物質
 中須加氏宅前の地下水(B)は鉱物油含有量が排水基準の約3 倍、柳川氏宅前の地下水(C)は鉱物油含有量が約7 倍、動植物油脂類含有量が約4 倍と高濃度であった。一般に環境基準は排水基準より厳しく設定されるため、地下水としては極めて高い。
 竹中氏邸駐車場の土壌(D)は、油分の合計が水産用水基準の底質基準の約17 倍であり、非常に高い油汚染であった。
 沼川団地側護岸の護岸付着物(E)は水産用水基準の底質基準の約7 倍と高い。本戸氏宅庭の地下水(A)からは検出されなかったが採取時には油臭があった。
 なお地下水中の汚染物質は水量等によって左右される可能性があるため、1 回の調査で汚染が検出されない場合でも、汚染が存在しないと判断することは出来ない。
 
 
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(2)油分溶出試験
 竹中氏邸駐車場の土壌(D)、沼川団地側護岸の付着物(E)は、いずれも海洋に投棄できる産業廃棄物の基準値を大幅に超過している。
 
 
 
 
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(3)TPH
 柳川氏宅前の地下水(C)、竹中氏邸駐車場の土壌(D)から幅広い種類の油汚染が検出されたが、中でも重い油の方が多く検出された。
 竹中氏邸駐車場の土壌(D)は特に著しい油汚染である。中須加氏宅前(B)および本戸氏宅庭の地下水(A)採取時には強い油臭があった。また中須加氏宅前の地下水(B)からはN-ヘキサン抽出物質は検出されている。
 TPH の検出範囲は炭素数6 から44、N-ヘキサンの検出範囲は炭素数28 前後程度以上であることから、炭素数44 を超える重油、潤滑油等の重い油が含まれていたものと考えられる。
 
 
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(4)BTEX
 ベンゼンは本戸氏宅庭(A)と柳川氏宅前の地下水(C)が、地下水の環境基準を超えていた。トルエン、エチレンベンゼン、キシレンは竹中氏邸駐車場の土壌(D)がワイオミング州で浄化レベルの3倍と大きく上回っていた。
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評価基準:( 地下水)
ベンゼン:地下水環境基準、
トルエン:水道法の目標値、
キシレン:水道法目標値、
( 土壌)
国内基準が無いため、ワイオミング州の浄化レベル
 
 
 
 
 
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4.まとめ
 本調査およびこれまでに行われた調査全般を通じて分かることは小鳥が丘団地の土壌油汚染が極めて著しいことである。
 現行の土壌汚染対策法は、この事例のように明らかに著しい汚染があり、健康影響が懸念される事例であっても、問題解決につながる制度となっていない。工場の操業者、住宅団地の開発者、当該自治体に加え、制度設計と運用を行っている国の責任も問われる事例である。
 
 
 
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転載元: 水.土壌.心の汚染や、アジア太平洋の歴史を現場で考え真実を伝える


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