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橋下大阪市長:施政方針演説(2)=大阪の仕組みづくり

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橋下大阪市長:施政方針演説=大阪の仕組みづくり

 3年9カ月、私は知事として府庁という大きな組織を動かしてきました。市役所組織の運営にあたっては、その中で学んだことを礎にしていきたいと考えております。
 大阪市役所では、1年365日、日々、260万市民と向き合い、市民の暮らしに直結する仕事が、基本です。常に、市民の暮らしに目を配り、日々の仕事を着実に積み重ねていかなければなりません。そのためには、大阪市役所という行政機構をフル稼働させる、組織マネジメントの仕組みをしっかりと構築しなければなりません。
 まずは、私が打ち出す改革方針の下、大阪市役所という組織の力、それぞれの部局、それぞれの現場の職員の持てる能力をフルに発揮してもらい、一丸となって課題解決にあたってもらいたいのです。
 逆に、組織の隅々からトップに対して、良い情報も悪い情報も、迅速かつ正確に届き、判断に遅れや過ちを生じさせない、組織として自律的に課題を発見し、解決方策を導き出せる、こうした組織へと発展させていきたいと考えております。トップダウンとボトムアップ。大阪市役所という行政機構において、こうしたことが有効に作用する、そのような仕組みづくりを目指していきます。
 
 
 
【大阪全体の仕組みづくり】
 今回のダブル選挙での市民・府民の皆様の選択は、「大阪を変える」ということです。大阪府庁と大阪市役所の間に立ちふさがってきた「見えない壁」。長年の間、大阪の都市としての一体的発展を阻害してきた、この壁を取り払ってほしい。これが、市民・府民の皆様の選択です。
 
 これまでの大阪は、府市双方の役所の勝手な論理で、その本来のパワーが分断されてきました。まさに、市民・府民不在、不毛の「役所の縄張り争い」です。今、大阪は、熾烈(しれつ)な都市間競争にさらされています。もはや、大阪のパワーを分散させてはいけません。「全体最適」の状態を創り出し、大阪のパワーを一つに集結して、アジアとの競争に挑まないと大変なことになる。私の根底には、この危機感があります。
 
 大阪市民から託された私のミッションは、「大阪の再生」です。明治、大正時代の昔から続いてきた「府市百年戦争」。今こそ、松井一郎知事とともに、その争いの歴史に終止符を打ちます。そして、「大阪新時代」の幕をひらく。大阪に新たな大都市制度を実現させる。新たな統治機構を作り上げていく。まさに、「不連続」への挑戦です。私は「大阪にふさわしい自治の仕組みをつくる」「大阪市役所を変える」、そして「大阪から日本を変えていく」という三つのことに取り組んでいきます。
 
 まず、「大阪にふさわしい自治の仕組みづくり」。その根本にあるのは「成長は広域行政、安心は基礎行政」という思想です。この考え方を基本に、広域行政の担い手である大阪府との役割分担を整理します。そして、広域行政については、大阪全体の代表者である松井知事の考えを重く受け止めます。広域行政に関する政治的な決定権は知事にあるということを市の職員にも肝に銘じてもらいたいと思っております。直接の指揮命令権や人事権をもつ市長だけでなく、大阪市民も一票を投じて選んだ知事、その知事の意向を尊重してもらいたいのです。
 
 これらを実現するため、昨日、松井知事が本部長、私が副本部長である「府市統合本部」を設置しました。これからは、この場が、知事・市長の意思決定と合同司令塔の機能を果たします。
 
 ここで優先すべき価値は、大阪の成長のため、広域と基礎の本来の役割に基づいて、仕事をいかに効率的・効果的に配分できるか、ということです。ゼロベースで考え、決断してまいります。その結果、大阪市役所は、市民の暮らしを守る基礎自治体という本来の役割に徹し、できる限りスリム化を図ることができると考えております。
 
 港湾や水道、病院や信用保証協会、産業振興など、府と一体運用が可能なものは、どんどん実行に移していきます。地下鉄やバスなどは、行政で抱え込む必要は全くありません。当然、民間に任せることも、新たな経営主体をつくっていくことも、視野に入れております。また、大阪・関西の成長をけん引するようなまちづくりや拠点開発は、広域行政が大きなグランドデザインを示すべきです。国際戦略総合特区に選ばれた、「うめきた」や夢洲(ゆめしま)・咲洲(さきしま)のまちづくりなどについても、府と調整を進め戦略を一本化していきます。
 
 そして、新たな大都市制度の確立に向け、大阪府・市と堺市のそれぞれの首長、議会などで構成する協議会を立ち上げたいと考えております。この2月には、その設置条例案を市会に提案できるよう、準備を進めます。この協議会において、真摯(しんし)な議論を重ね、国や地方制度調査会にも働きかけを行うことにより、大阪にふさわしい自治の仕組みの実現を目指します。
 国政においても、いろいろな動きが激しくなってきております。この動きに乗り遅れることなく、むしろ我が大阪市が先導して、国の法律改正を引っ張っていけるよう、大阪府、大阪市、堺市の協議会の設置につきましては、市会の皆さんにご協力をお願いしたいと思っております。
 また、エネルギーや経済の政策、広域インフラ整備などは、関西全域を見据えた対応が必要です。府への広域行政の一元化を図りながら、関西広域連合への早期加入を目指します。あとは、市役所サイド、議会の皆さんの決断のみであります。
毎日新聞 2011年12月28日 19時56分

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