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除去土壌の収集・運搬に係るガイドライン

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除去土壌の収集・運搬に係るガイドライン
目 次
1.基本的な考え方
 
2.除去土壌の収集・運搬のための要件
 (1)飛散・流出・漏れ出し防止のための要件
 (2)遮へいのための要件
 (3)その他の要件

3.具体的に行う内容
文末脚注
 
 
 除染によって発生した除去土壌は、運搬車などによって仮置場等に運搬されます。除
去土壌を収集・運搬する際には、除去土壌に含まれる放射性物質が人の健康や生活環境
に被害を及ぼすことを防ぐため、安全対策が求められます。具体的には、①除去土壌の
積込みや荷降ろし、運搬の際に、放射性物質が飛散したり流出したりしないようにする
こと、②収集・運搬している除去土壌からの放射線による公衆の被ばくを抑えることが
必要です。
 このうち、
①の放射性物質の飛散や流出は、除去土壌を容器に入れることなどによっ
て防ぐことができます。
 また、②の放射線量については、収集・運搬する除去土壌の量
を減らすことや、遮へいを行うことによって低減することができます。また、運搬中の
除去土壌に近づくほど、また、近づいている間の時間が長いほど放射線による被ばくは
大きくなりますので、運搬中に人がむやみに長時間近づかないための措置も必要です。
こうした安全対策を踏まえて、このガイドラインでは、放射性物質の運搬に関する既
存の規則*1 も参考に*2、除去土壌の収集・運搬のための要件を整理するとともに、具体的
に行うべき内容を示します。

 ただし、除染等の措置の一環として、除染を行った人が除去土壌を仮置場などに移動
させる場合については、本ガイドラインの対象ではありません。こちらについては、除
染等の措置に係るガイドラインを参照下さい。
 また、収集・運搬に係る作業者の安全確保に必要な措置については、厚生労働省の「除
染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のためのガイドライン(平成23 年12 月末
公表予定)」を参照下さい。
 
2.除去土壌の収集・運搬のための要件
(1)飛散・流出・漏れ出し防止のための要件
 放射性物質の飛散については、除去土壌を土嚢袋やフレキシブルコンテナ、ドラム缶などの容器(以下「容器」と呼びます)(図-3-1参照)に入れることや、シート等によって梱包すること、もしくは有蓋車で運搬することにより防止することができます。
 水分を多く含んでいる除去土壌の場合は、流出や漏れ出しを防止するために、可能な範囲
で水切りを行い、水を通さない容器を用いない場合は、防水性のシートを敷く等必要な
措置を講じてから運搬します。
 また、収集・運搬中に除去土壌に雨水が浸入することを防止するため、水を通さない容器を用いない場合は、遮水シートで覆う等必要な措置を講じることも必要です。
 容器に入れた除去土壌を運搬車に積込む際や荷下ろしする際は、除去土壌が外部に飛
散・流出しないようにします。ただし、万が一積込みや荷下ろし、運搬中の転倒や転落
による流出があった場合には、人が近づかないように縄張りするなどしてから、速やか
に事業所等に連絡するとともに、流出した除去土壌を回収して除染を行う必要がありま
すので、回収のための器具、装置等も携行します。また、車両火災に備えての消火器の
携行も必要です。

 また、除去土壌を運搬車に積込む時にはできるだけ運搬車の表面に除去土壌が付着し
ないよう心がけます。除去土壌を現場保管している場所や仮置き場から運搬車が出発す
る際には、あらかじめ決めておいた洗車場所で、運搬車の表面やタイヤなどを洗浄しま
す。
 
 
イメージ 1
 
(3)その他の要件
 除去土壌を収集し運搬車で運搬する際は道路交通法等の関係法令を守り、爆発性のも
のや引火性のものといった危険物を一緒に積載することはできません。危険物ではなく
ても、除去土壌以外の土壌などが混合されると、運搬先の保管施設で管理すべき除去土
壌が不明確になってしまいますので、除去土壌以外のものを一緒に積載する場合は、容
易に区分できるようにし、混合することのないようにします。また、除去土壌を確実に
運搬先へ運ぶために、除去土壌の積み込みや荷下ろしは運搬者または運搬者が指示した
作業者が行います。

 除去土壌の運搬中には、人がむやみに近づき被ばくすることを防止するために、運搬
車の車体の外側に、除去土壌の収集又は運搬の用に供する運搬車である旨、収集又は運
搬を行う者の氏名又は名称を記した標識を、容易に剥がれない方法で見やすい箇所につ
けておくことが求められます。
 また、運搬車には、委託契約書の写し、収集又は運搬を行う者の氏名や除去土壌の数
量、収集又は運搬を開始した年月日、運搬先の場所の名称、取り扱いの際に注意すべき
事項や事故時における応急の措置に関する事項等を備え付けておく必要があります。
 このほか、人の健康又は生活環境に係る被害が生じないように、運搬ルートの設定に
当たっては、可能な限り住宅街、商店街、通学路、狭い道路を避ける等、地域住民に対
する影響を低減するよう努めるほか、混雑した時間帯や通学通園時間を避けて収集・運
搬を行うよう努めて下さい。また、積み込みに当たっては、低騒音型の重機等を選択し、
騒音や振動を低減するよう努めて下さい。
 
 
 文末脚注
*1 :核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律に基づく省令:「核燃料物質等
の工場又は事業所の外における運搬に関する規則(外運搬規則)」及び「核燃料物質等
車両運搬規則(車両運搬規則)」、ならびに放射性同位元素等による放射線障害の防止に
関する法律に基づく省令:「放射性同位元素等車両運搬規則(車両運搬規則)」。

 
*2 :本ガイドラインで扱う除去土壌は、特別措置法の省令の基準に適合する内容を示すも
のであり、炉規法や障防法の範囲外である。また、収集・運搬する除去土壌はもともと
生活環境から回収したものであることをふまえ、万一交通事故等で環境中に漏れ出た場
合は適切に回収するという考え方に基づき、外運搬規則や車両運搬規則の基準等をその
まま適用しているわけではない。ただし、これら既存の規則における公衆の放射線防護
に係る考え方については参考としている。

 
*3 :外運搬規則では、収納放射能量の限度等に応じていくつかの輸送物の型が定められて
いる。除去土壌の性状や含まれる放射性セシウムの放射能濃度をふまえると、このうち
LSA-2 という輸送物の概念に近く、対応する輸送物の型はIP-2 型と呼ばれるものであ
る。同規則では、IP-2 型輸送物が有すべき技術的な性能基準が満たされていることを
設計段階で評価するために、輸送物が激しい降雨にさらされたり、運搬車等への積込み
や荷下ろしの際に取り扱いを誤り地上に落としてしまったり、炎熱の太陽の下に放置さ
れたりするなど、輸送状態で遭遇する可能性のある事象に耐える能力を試験で実証する
ことが求められている。一方、*2 で述べたとおり、本ガイドラインで扱う除去土壌はも
ともと生活環境から回収したものであり、万一環境中に漏れ出た場合は適切に回収する
という考え方を基本としている。また、除染現場から仮置場等への運搬は基本的に市町
村やコミュニティ内であり、長距離の運搬は基本的には想定されない。これらを踏まえ、
除去土壌の収集・運搬にあたっては、主として積込み時の飛散・流出を防ぐ観点から容
器を選定すべきとの考えのもと、IP-2 型輸送物に係る性能基準は求めない。
 

*4 :車両運搬規則において、車両の前面、後面、両側面から1m 離れた位置での最大線量当
量率が毎時100 マイクロシーベルト、前面から1m 離れた位置での最大線量当量率が毎
時20 マイクロシーベルト。このうち、運搬車の前面から1m 離れた位置での基準値は、
運搬作業者の放射線防護の観点で定められている。作業者に対する放射線防護のための
対策については、厚生労働省の「除染等業務に従事する労働者の放射線障害防止のため
のガイドライン(平成23 年12 月末公表予定)」を参照。
 
 
*5 :20 トンのトラックコンテナに除去土壌を充てんして運搬する際に生じる被ばく線量に
ついて評価した結果より、運搬する除去土壌の放射能濃度が100 万Bq/kg以下であって、
一度に運搬する除去土壌の積載寸法が全長530 cm、幅220 cm、高さ120 cm を超えない
場合、トラックコンテナ表面から1m 離れた位置での最大の線量率は89 マイクロシーベ
ルト毎時。
主な解析条件
・無蓋状態のトラックコンテナに除去土壌(密度2.0g/cm3、Cs-134 とCs-137 の放射
能比は1 対1)を充てん。
・トラックコンテナサイズは全長530cm×幅220cm×高さ120cm(トラックの荷台寸法
(内法)から設定)で、トラックコンテナによる遮へい効果は考慮しない
・評価点はトラックコンテナ側面(530cm×120cm)と全面(220cm×120cm)の中心か
ら100cm 離れた位置。

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