№761 もし、あなたがドラッカーを応用したいと思ったら。
1. 企業理念と顧客との関係は実践的だろうか
もし、あなたがドラッカーを応用したいと思ったら、まず、あなたの人生を振り返ってみよう。あなたの事業は誰に支持されて存在してきただろうか。あなたは他に負けない魅力で事業を維持してきたとしたら、顧客はあなたの何に魅力を感じたかを考えてみよう。それがあなたの顧客だ。そして、あなたの社会での存在意義でもある。
次に、顧客はどこからやってくるか考えてみよう。顧客の一人一人を思い浮かべ、どうやってあなたのところにたどり着いたのだろうか。顧客はあなたと会いたいと思っていても会えないでいることはないだろうか。
2. 利益について考えてみよう。
あなたの顧客が分かったら、事業は利益をあげているか考えてみよう。利益は顧客からの支持を示すバロメーターだ。利益は事業活動の限界を示すと同時に企業理念と顧客とを具体的に結びつける。
あなたの事業に対して,適切な利益は得られているだろうか。事業価値に見合った利益となっているだろうか。
価格の設定、仕入原価、一般管理費、販売管理費など適切なバランスはあるだろうか。在庫の回転はどうだろうか。
3. 組織は実践的になっているだろうか。
社員は企業を通じて自己実現をしたいと思っている。会社に仲間を求め、会社を通じて社会貢献したいと思っている。社員が満足するのはそこによい仲間があり、顧客に喜ばれる仕事をしたという実感があるからだ。労働条件だけの話ではない。自分の仕事が顧客(=社会)に支持されているという実感が満足につながる。
会社は自治会ではない。社員にはトップマネジメント(社長)より責任が与えられ、社長にはできない作業を受け持つ。従業員は社長の作業の一部を受け持つのではなく、社長にはできない作業を責任を持って受け持つのである。
責任ある労働者というのは、既に決められた任務、ミッションを主体的に、かつ責任を持って引き受ける労働者だ。責任ある労働者で構成された組織においては、与えられた任務を実現するために組織各部が生き物のように判断して動くことになる。そのために、任務は明確でなければならないことは言うまでもない。
4. 時間軸を考える
トップマネジメントは常に未来を展望して事業方針を決めていく。未来は不確定だが、未来のあり方を決めることはできる。3年、5年、10年を展望して未来はこうだと決めることはできる。そして、未来は「現在を決断」するために決める。それは、社長にしかできない作業だ。